note小説 三十路のオレ、がん患者 第13回 病理結果
話が前後してしまうが、手術の病理結果の話が主治医よりあった。
4月なのに、随分と冷房の効いた部屋に通された。
母も同席している。
生まれつきなのか、人生の経験則からなのかオレは物事を最後の最後で悲観的に考えない。
受験にしても就職にしても恋愛にしても最後の最後は「どうにかなる」「ダメならその時に考える」という発想でいる。
例の如く、今回もそう考えていた。
まだ若いし、早期でないと言っても転移がなくて5年すりゃ完治だろ。
こう考えていた。
宣告され、検査入院を済ませ帰宅した時は、いろいろなガン患者のブログを読みあさった。
実に いろいろな例がある。
自分と一致する人を見つけるのが目的だったが、いなかった。
ガンとは、そういう病気なのだなと知った。
考えてみれば、身体中のどこの細胞にできるかわからない。
完全一致する方が おかしい。
きっとオレは進行性であるが、転移が見られず、今後は経過観察。
そう言われると思っていたので不安がありつつも根底は楽観的だった。
主治医の説明が始まった。
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