愚かで哀れな生き物の気持ちは今日も後ろをむくばかり。
ハローワークで職務経歴書を見てもらった。
応募用のものではなくて、とりあえずこれまでどんなとこでどんなことをしてきたかを箇条書きにして、この中から使えそうな経歴はありますかねという相談をするための土台のつもりでつくったもの。
何しろ職を転々としているし、別に資格があるわけでもないしで、どうしたものやら行き詰ったので、こんな41歳の無能でも就職ってできるの?と訊きたかったのだ。
で。
作っていったものに目を通してくれたのは、この日の担当のAさん。
時折、小首をかしげたり持っていたペンで文章をなぞったりしつつゆっくりと読み進めていき、やがてA4で5枚に渡るプリント用紙をまとめて机でトントンと整える。
そして顔を上げ、緊張するやら恥ずかしいやらでじっと待っていた僕に一言。
「とりあえず、かとちんさんが仕事の出来る方だということは分かりました」
……あ、バカにされた。
もしくは、気を遣われた。
瞬時にそう思った。
自分がかわいそうで気の毒で哀れな生き物になったことを実感した瞬間だった。
その時の自分がどんな表情をしていたかは分からないけど、とりあえず「……恐縮です」と答えたことは覚えている。
静かに傷つき、傷つく資格もないかと思いつつ。
あちこちの職場を転々とし、色んな仕事をしてきましたと言っておきながら、そんなのを羅列しただけの小学生の宿題よりも工夫のない文書しか作れない生き物。
傷つく暇があったら忙しいAさんにそんなものを見せたことを悔いるべきだと思う。
言うべき言葉を失ったAさんが僕を傷つけまいと必死で言葉を搾り出してくれたんだから、仕事って大変ですねと同情し、感謝をするべきなのだ。
それをなんだ、静かに傷ついた、とは。何様か。
その後も、応募先に合わせて経歴を抽出していくといいですよ、と優しく教えてくれたAさん。
さらに大きな枠組みの中にも細かい仕事がたくさんあるから、そういうものを抜き出してまとめるといいですよ、などと具体的なアドバイスをくださったAさん。
そんなAさんに「僕が帰った後、バカが来たよとお茶請けのネタにするんだろうな」などと失礼なことを一瞬でも思ってしまったことを一生詫びて生きていきます。
ここのところ、あまり他人に触れてなかったので、久々に自虐スイッチが発動して面白かった。元々そんな感じだったけれど、状況が状況だけに、スイッチの感度が上がってるご様子。
失業手当の説明会に行ったときもひどかったし。
それにしても。
高校にしても大学にしてもそうだったけど、なんでこんなに入るまでがめんどくさいの、と今日も今日とて履歴書を目の前にして気持ちがくじける。
入るまでに力尽きちゃっうから、貴社に貢献とか発展に尽力とかやれる気がしない。
職務経歴書とか志望動機とか、ああ、めんどくさい。
でも、よくよく考えてみたら、別にお茶請けのネタにもしないだろうなというのは分かる。
いちいち覚えてられないだろうし、話題にするほどの価値もない。