続・大学入試ついて思うこと
以前の記事「大学入試について思うこと」 https://note.com/katobungen/n/na46d30884aa5 は多くの人に興味をもって読んでもらえたようです。大学入試について思うことはたくさんあります。その中には口外することを憚られるものある一方で、大学入試の現状を鑑みると、社会に門戸を開いて問いかけるべきなのではないか?そして本当の問題は何なのかということについて一石を投じるべきではないか?とも考えています。私は複数の国立大学に教員として四半世紀以上奉職してきた身ですから、お話しできることも限られてくるでしょう。しかし、お話しできる範囲内で、大学入試の出題や採点などの現状についても、できるだけお話しして、議論を盛り上げていければと考えています。
今回は、大学の側から見た入試について、特に「大学はどんな学生を欲しているのか?」という観点から書いてみたいと思います。
私が思うに、日本の大学というところは、おそらく、英語でいうブライトな学生を欲しがっているようです。要するに「頭のいい学生」に来てもらいたいと思っている。そんな風に思ってなんかいない!という大学人も多いと思いますが、入試のあり方を見るにつけて、そうとしか思えないのではないと思います。
つまり、こういうことです。大学は入試問題の「解き方」をたくさん知っていて、職人芸にまで熟達した学生を欲しいのではない。そうではなくて、頭のいい人が欲しい。だから、入試ではまだ誰も見たことがない問題を出題したがります。通り一遍の問題ではなく、見たことも 聞いたこともないような問題に触れた時、その場で受験生はどうやってそれを乗り越えるのだろうか?こういうところを大学側は見たい。すなわち、問題解決の発見の能力で合否を判定したいという理想をもっている。
もちろん、日本の大学が本当にそう思っているのかどうかは、また別の話です。あくまでも私は、入試制度や問題のあり方から透けてみえることとして、「スキルではなくてブライトネスなのだ」と言っているだけです。それが大学の理想ではない!とおっしゃる方がいたら、その方は私と同じ考えの人です。私はあくまでも「大学入試」が抱える構造的問題があぶり出される視点として、「大学は一体どんな学生が欲しいのか?」と問うているわけです。
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