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#007 日本語教育機関認定法施行に向けて

「日本語教育機関認定法」が、2023年6月2日に国会で成立してから1ヶ月半たちました。その間に、2つのワーキンググループと、審議会(文化審議会国語分科会日本語教育小委員会)がすでに1回ずつ開かれ、そこでそれぞれ、法律の下、より具体的な内容が示される政省令案についての論議が始まりました。


◾️「登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録手続き等の検討に関するワーキンググループ」

2023年6月26日(月)10:00-12:00に開かれました。
リンク先の「資料4」が、この第1回ワーキンググループの時点で示された政省令(案)です。

主に、日本語教師養成講座を運営する側のことが書かれていますが、これから日本語教師を目指す方、それから現職の日本語教師の方に直接関連してくるのは、上のリンク先、資料4の11ページ「登録日本語教員の資格種等ルート(経過措置)(案)だと思います。
この表もこれからの議論の中で修正されていくことが予想されるので確定ではありませんが、ご自身が登録日本語教員になるためにはどのルート(AからF)にいるのかということはしっかり見ておきましょう。

◾️「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会」

2023年6月28日(水)15:00-17:30に開かれ、上記ワーキンググループで出た意見を受けた議論がありました。

小委員会では「認定日本語教育機関の認定基準等の検討に関するワーキンググループ」で出された意見を受けた議論も同時にしています。
リンク先の「資料4」が、この第1回ワーキンググループの時点で示された政省令(案)です。

認定日本語教育機関は、登録日本語教員が日本語教育を行う場で、「留学」「生活」「就労」の3分野について議論されています。

◾️これからのスケジュール

各ワーキンググループと日本語教育小委員会で示された今後のスケジュール案

これを見るとわかるように、次のワーキンググループと小委員会でほぼ政省令案が決まり、それについてパブリックコメントの募集をし、秋にはそれを受けた形で案がとりまとめられる、つまり決定されていくということになります。

また、登録日本語教員になるための新たな「日本語教員試験」の施行試験が今年の冬頃に実施され、来年の秋には本試験が実施されるということになっています。

◾️次回、第2回のワーキンググループ開催日程

  • 2023年7月21日(金)10:00-12:00
    「認定日本語教育機関の認定基準等の検討に関するワーキンググループ」(第2回)

  • 2023年7月24日(月)10:30-12:30
    「登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録手続き等の検討に関するワーキンググループ」(第2回)

  • 2023年7月25日(火)10:00-12:00
    「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会」(第120回)

日程の1週間前に報道発表されます。そこに記されたリンク先から事前登録することによって、すべてのワーキンググループと委員会の視聴ができます。

◾️国会審議等における指摘

時間が遡りますが、国会での成立までの過程で指摘された主な内容です。

●認定日本語教育機関関連
 ○認定制度によって悪質な学校がきちんと排除されるような仕組みとすべき。
 ○個々の機関の認定について透明性・適正性を担保すること。
 ○認定日本語教育機関における生徒の在留管理を徹底させるべき。
●日本語教師関連
 ○日本語教師の国家資格化による処遇改善につながるような取組が必要。
 ○日本語教師の魅力を発信し、社会的意義及び役割についての社会的認知を高めることが必要。
 ○国家資格取得後のキャリア形成を図れるような仕組みが必要。
 ○現職日本語教師への配慮を含めた丁寧な経過措置が必要。
●地域における日本語教育関連
 ○日本語教育の地域差を解消するための支援を行うべき。
 ○地域の日本語教室間の連携や、地方公共団体との連携を促進することで、地域の日本語教育推進体制を整備すべき。
●制度活用促進、その他
 ○認定機関の活用や、登録日本語教員が活躍できるよう、留学生、就労者、生活者に向けた日本語教育の提供に関し、外務省、法務省等の関係省庁と連携して推進すべき。
 〇就学前の子供や児童生徒を含めた様々な年代に向けた日本語学習機会の提供をすべき。
 ○地域の日本語教室間の連携や、認定機関と地方公共団体等との連携を促進すべき。
 ○法案の内容について丁寧な周知が必要。

審議を視聴する際、これらのことも念頭に置かれるのがいいと思います。秋のパブリックコメントの募集の際、意見を言う機会もあります。

(記:インターカルト日本語教員養成研究所所長 加藤早苗)

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