区議会でインクルーシブ教育について一般質問しました!
東京都北区議会議員の加藤みきです。
2024年11月27日、令和6年第4回北区議会定例会にて個人質問で登壇しました!
今回は北区のインクルーシブ教育と特別支援教育について取り上げました。
今年は障害児、特に発達障害に関わるテーマを中心に議会質問していますが、調べれば調べるほど、あちこちの課題が部署をまたいでリンクしていき、あらゆる部署で発達障害への対応をスルーしてきた結果が今なのではないかと思わざるを得ません。
原稿と答弁を書き残しますので、ぜひご覧ください!
北区のインクルーシブ教育について伺います。
北区教育ビジョン2024ではインクルーシブ教育について「人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的のもと、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みのこと。 」と説明しています。
しかし、現実は少子化で子どもが減っているにも関わらず、特別支援学校、特別支援学級、特別支援教室の在籍者は増加傾向にあります。
また社会問題となっている不登校では学校に戻ることをゴールとせず、多様な学びの場が整備されています。
子どもの特性に適した環境整備の取り組みこれ自体は大変評価していますが、障害や特性がある子どもが次々と普通教室を離れていく過度な分離教育に進む大きな流れを感じます。
多様性の時代であり、自分に向いた仕事や気のあう友達をオンラインで見つけることは簡単になりました。
しかし、人間に肉体がある限り、地域の人と接すること、街に出ること、仕事をすること、家庭を営んでいくこと、からは逃れられません。
分離教育で育ち、異なる背景をもつ人々との共生経験が不足した子どもたちが、大人になり、地域や職場で関わるようになったときに、互いに平等な人権を持つ人間として、対等に接することができるのでしょうか。
普通教室から離れていく児童生徒の特性だけではなく、普通教室が彼らを受け入れられる器を持つことも課題に据える必要があります。区の見解をお聞かせください。
障害のある子どもと障害のない子どもが共に学び、体験し相互理解を深めるための取組みが重要であると認識しており、東京都モデル事業を活用するなど、交流および共同学習の推進に尽力している。
個人の障害特性を考慮しながら、児童・生徒にとって最適な学びの場を決定し、そこを基盤としながらも、可能な限り障害の有無にかかわらず共に学べる機会の創出に努めています。
次に北区の特別支援教育の課題として知的障害のない発達障害児への対応について伺います。
令和5年度時点で北区の知的障害特別支援学級(以下知的級)に通う児童生徒のうち知的障害とされているのは約半数にすぎません。
残りの半数の児童生徒は知的障害ではなく、ASDやADHD、LDなど発達障害等に起因する学習上又は生活の困難から、普通級で過ごすことが難しく、やむなく知的級に在籍しています。
全国の多くの自治体ではこの知的障害のない発達障害の児童生徒は自閉症・情緒障害等特別支援学級(以下情緒級)に在籍し、特性に合わせた支援と学年相当の学習を行います。
全国的に見れば、知的級と情緒級は同数程度設置されているのですが、東京都では情緒級の設置数がとても少なく、北区でも区内の知的障害のない発達障害児を抱えられるキャパシティーはありません。
知的級と情緒級の最大の違いは、学年相当の進度で学習が進むかどうかです。
現状の学級構成のままでは、知的障害がない児童が知的級に振り分けられた場合、学習の遅れから普通級へ転籍することは非常に難しく、将来の可能性を狭めてしまっているという懸念があります。
そこで伺います。北区では知的障害がない発達障害児に学年相当の学習機会は確保できているとお考えでしょうか。
北区で情緒級の新設が難しいのは、空き教室の不足や教員確保の課題があるためと承知しています。そこで、既存の知的級を再編成し一部を情緒級として活用することで、特性に合った教育を提供する余地があるのではないでしょうか。その際、考えられる課題をお示しください。
知的障害のない発達に障害のある児童・生徒の学習の機会の確保のため、今年度新たに、都の北学園に自閉症・情緒障害特別支援学級を設置したところであり、教育ビジョンにおいても、来年度以降、この状況を踏まえ検証し方向性を検討することとする。
知的障害学級を自閉症・情緒障害に転換することについては、今後の利用状況などを十分に踏まえつつ、より障害特性に応じた支援が行える人材の育成・確保に、ひきつづき努めてまいります。
次に、特別支援教室、いわゆる巡回指導について伺います。
巡回指導は、普通級に在籍しながら週1〜8回、取り出しの指導を行うことで学習上や生活上の困難を支援するための制度です。
しかし、北区では利用者の99%が週1回の指導であり、週2回の指導を受けているのはわずか6名しかいません。
特別な支援が必要な子どもの学びが、週1回の巡回指導か、支援級への転籍の2択しかないのはあまりにも極端ではないでしょうか。
普通級と支援級のハザマにある児童生徒に、巡回指導の柔軟な回数設定を求めます。
この指導回数が増やしにくい理由は2つあると考えられ、1つは週何回も取り出してしまうと普通級の学習に取り残されるという課題があります。しかし、巡回指導は児童生徒を取り出すだけでなく、巡回教員が普通教室に出向くことも可能です。
2つ目の理由として巡回教員の多忙さがあります。
現在北区には小学校10校、中学校3校の巡回拠点を設置していますが、多い拠点は5校を担当しています。
教員は各校それぞれに担当の児童生徒がいますから、毎日拠点校に出勤した後に、日替わりであちこちの学校に出向き、夕方には拠点校に戻るという勤務をしています。
このような移動時間が多く、管理が煩雑な働き方は改善の余地があると考えます。
拠点校を2校に1校、大規模校は1校単独とし、教員の負担軽減を図るような計画をして頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、拠点校を増やすことで担当教員と児童が同じ校舎にいる日数を増やすことができます。指導がない日でも、担当児童の様子を観察したり、話しかけるなどの支援ができますし、普通級の担任教員にとっても、児童の特性を理解した教員との相談や連携が取りやすくなります。
実際、足立区では全校を拠点校とし、全校に固定の通級教員を配置することで指導時間を確保しています。
続いて、巡回指導での教科指導について伺います。
巡回指導は、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための特別な指導ですが、「教科に関する指導は行わない」と断言している拠点が見受けられます。
例えば、4年生が3年生の学習内容を全く分かっていないという場合、これは「学習が遅れており」巡回指導以外の場所で対応すべきです。
しかし学習障害等を原因として、現在やっている単元への理解が不足している場合、巡回指導の目的である「学習上の困難の改善・克服」のため、特性に応じて教科指導を一部組み込む柔軟な対応が可能です。
児童生徒の特性によって取れる手立ては多岐に渡りますが、例えば、1度音読をして教科書の流れを理解しておく、教科書の拡大コピーを作る、教科書に振り仮名を振る、普通級で使える合理的配慮グッズを検討する、デジタル教科書の導入、小テストを実施し理解度を確認するなどが考えられます。児童にあった対応を探し普通級担任にフィードバックをする。これは全国的に珍しくない通級指導の対応です。
「教科に関する指導は行わない」と断言する方針はそもそもの巡回指導の設置目的と合致しません。
巡回指導での教科指導に対する、区の取り扱いをご教授ください。
巡回指導を含めた障害に応じた特別の指導については、教育委員会として「教科に関する指導は行わない」という方針を定めてはおりません。
一方、学校教育法施行規則において、学習上または生活上の困難を改善・克服すること目的とした指導とし、特に必要があるときは、障害の状況に応じて各教科の内容を取り扱いながら行うことができる。とされていることに準じ、個々の状況に応じて、自立活動と関連させながら教科に関する指導も行っています。
巡回指導に関する、巡回指導の在り方を含めた出張支援や拠点校の増設については、特別支援学級等の設置に関する検討会において検討しており、東京都や国の制度なども活用しながら、どのような対応が可能か、今後も議論を進めてまいります。
最後に、特別支援、とくに発達障害の支援を進める上で欠かせない5歳児健診について伺います。令和6年第1回定例会にて、区長からは「調査研究を進めるとともに、関係機関とも協議しながら、事業実施に向けた環境を整備する」との発言があり、前向きなご答弁と捉えています。
インクルーシブ教育、特別支援教育の推進に非常に重要で、慎重かつ迅速に進めるべき事業です。今後の検討スケジュールについてお示しください。
5歳児健診の実施につきましては、健診方式の検討や専門職の確保、更には一番重要なフォローアップ体制の整備などの課題があるものと認識しており、今後、先行自治体の事例を参考としながら、北区に合った5歳児健診の実施について、関係機関と協議してまいります。