僕も、この街に就職したいなあ
「すいませーーん」
「あのぉ、きょうから働きたいんですけどー」
「はい、部署はどちらを希望されますか?」
「都市開発部ですうー」
「志望動機を教えてください。」
「はい。」
「最近、木が減ってきていると感じてー、どうしたものかと思っていたら、僕の住んでいた森がまるごとなくなっちゃったんですー。それで帰れなくなってしまってぇ、隣森のくまさんとも話していたんですが、ここは未来のために私たちが譲歩して、都市開発の一端を担うべきだとかんがえたんですぅー」
「わかりました。スーツは着用可能ですか?」
「はい、サイズはXXXXXXXXXLくらいかと思いますー」
「特技を教えてください」
「この手さえあれば、どんなものでも一瞬で破壊できますーー」
「どういったものを破壊すれば役立てるとお考えですか?」
「はい。」
「本当ならば、私の住処を壊した人間を恨んでますがぁ、一応、私も子供がいるもので、養ってかなきゃいけないもので、これでも、感情を押し殺そうと、なんとかこうして左手だけは横に向けて抑えてるんですぅー。壊すものは、これから先、人間が「要らない」と感じたもの、例えば、古いものをどんどん壊してお手伝いしたいと思いますー。きっとその中には、私たちの森もあるかと思いますがー、そんな時に、実際に住んでいる人が目の前にいたのならば、一度考える機会になるかとおもってぇ、力ではなくて、そんな既成概念を私の「手」で壊したいとぉ、思ってるんですぅー。」
「面接は、以上です。おつかれさまでした。」
「しつれいしますぅー」
「あれぇ?帰れなくなっちゃった・・・これってもしかして採用ってことなのぉ?拘束時間ちょっと長すぎませんかぁ?地方の山岳部からでもリモートできるって書いてあったのにぃー、都会で仕事するのは大変だぁー」
三沢厚彦
Animal 2017-01-B2 2017年-2019年制作
ランドリー・・・
http://www.dagarossi.com/news_event/index.html