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撮影現場の"ガイコクジン"

最後の投稿から久しいことはさておき、昨日ついに東京オリンピックが幕を開けました。ここに至るまで森元JOC会長の女性差別発言や小林賢太郎氏のユダヤ人虐殺ネタ、小山田圭吾氏の過去の障害者虐待問題などをはじめ色々な問題が生じてきました。緊急事態宣言中なのに開催するとか国や都のリーダー達のナラティブの欠落によってコロナ対策に納得できていない国民は振り回され国際的に醜態を晒しまくったトリガーになったのではないでしょうか。もはやこの一連の出来事を無視してただ競技に感動する暇なんてないのではない気がします。今の日本の姿は敗戦することが分かっていても太平洋戦争をはじめてしまった昔の姿と酷似しているように見えるのは僕だけでしょうか。

前置きはここまでにしておいて、今回のテーマはここ最近のコロナや五輪騒動で問題になりつつある"外国人差別"についてです。今や外国人というワードは差別的なニュアンスすらあります。グローバル化しているとはいえ、島国の単一民族で排他的な性格の日本国民だけあって、このコロナ騒動で基準も筋も通っていない"外国人規制"なるものが各所で多発していました。

撮影現場でも差別まではいかないにしても、海外からきたモデルに対する接し方の違いは顕著に感じることが多々あります。例えば日本人モデルになら懇切丁寧にどんなビジュアルにするのか方向性などの説明するのに、海外モデルにはしないとか、メイクルーム内でも海外モデルには話しかけないで日本人クルーだけで盛り上がっているとか、撮影に行き詰まったときに日本人だけで日本語で話してモデルにその内容は共有しないだとか、そういったことが僕は物凄く気になってしまいます。

*ちなみに僕が助手をしていたときは師匠も周りの皆さんも当たり前のように英語で話していましたが、ときたま外部の撮影のヘルプなどにいったときに散見された経験をもとに話しています。そういった点においてもハイレベルな現場を経験させて頂いたことに師匠はじめ周りの撮影クルーの方々には感謝しております。

別に喋るのがそんなに好きじゃないクールな性格のモデルもなかにはいますが、現場を担う人として最低限のコミュニケーションを取るのが普通なのではないでしょうか。そして、モデルのケアをするのもプロとしての仕事の一部だと思います。感情の起伏を含めて撮影するドキュメンタリー的なポートレートならまだしも少なくとも広告の現場ではそういうものは撮影しませんよね。

ただ、これを改善するのってちょっとした一言で変えられると思っていて、例えばヘアメイクや衣装、ライティングが何かしらはまらなくて日本人クルーの間で日本語で議論しているときだって、"We are talking about 〇〇〇(=ヘアメイク、衣装、ライティングetc.) It's not your problem." と一言あるだけでも「それなら安心したよ。言ってくれてありがとう」と言ってくれます。誰だって異国の地で自分の知らない言語でなにか議論されていたりしたらそれは自分のせいなのかと思うことは無きにしもあらずだと思います。ましてや他の民族よりも気にしいな日本人が同じ立場に立たされたらツイッターとかで絶対愚痴っていると思います。海外にひとりで行ったことがある経験のある人ならばこの孤独感と疎外感はどんなに苦痛か分かってもらえると思います。

僕は申し訳無い程度に英語は喋れますが、苦手なひとでも中学までの英語で伝えれることは沢山あります。その一言で少しでも自分のいる現場で安心して仕事してもらえるならば欠かさずに言っていきたいです。何よりも日本にモデルの仕事できてよかった、この現場最高だったと思われたいです。それは海外からきたモデルに限らず撮影現場のスタッフ全員が思っていることだと信じています。モデルに対してではなく、現場にいる全員に対しても。

最初に日本を卑下したような言い回しをしましたが、この国が嫌いな訳ではありません。ここには美しい文化が沢山あります。ことに谷崎潤一郎や川端康成など日本文学から得られる日本の美を僕はこよなく愛しています。だから日本の素晴らしいところは全面に押し出し、日本人としてのアイデンティティ、日本人としてのプレゼンスをしっかりとした方法で世界に提示できればいいなって一国民として思う訳です。なんにも事を成していないお前が何を大層なこと言ってんの、とか思われるかもですがこれは自分のスタンスの話です。

もはや右翼とか左翼とかそんなカテゴリーは意味を成していないと思っています。某氏がチャイニーズと言い間違えるという事案も発生しましたが、そんなことに対しても毅然とした態度でいたいものです。

少し感情的に書き綴ったこともあり、少々論理展開や表現に無理があった箇所もあるかもですが悪しからず、です。

ちなみに海外からきているモデルの大半はクラブカルチャーが好きなので4つ打ちのテクノとかハウスを爆音で流すとノリノリになってくれます。なんなら一緒に踊ってくれます。音楽とかそういったカルチャーは言語を飛び越えたコミュニケーションツールです。海外モデルとの撮影の際には必ず好きな音楽聴いて、その音楽で一緒にテンションあげられるようにしてます。大体僕も好きな系統だったりするのでそこはやりやすいと感じています。(*注: ここでいうクラブミュージックってコテコテのEDMとかそういうのじゃないです。あと僕自身はパリピじゃないです。)

カルチャーは幅広いジャンルを深堀りしていて損はないです!

以上。五輪開催で浮き彫りになった社会問題から思うことを思うままに綴ってみました。


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