演劇人コンクール
兵庫県豊岡市で開催された
演劇人コンクール2021に参加しました。
「演劇人コンクール」は
演出家の方のコンクールで
いくつかの課題作品の中から一つを選び
それを1時間の作品として上演するというコンクールです。
仕込み・バラし(舞台面準備・片付け)の時間まできちんと規定があり
上演後も演出家は審査員からの質疑に回答して、
トータルで審査対象となります。
豊岡市の河畔劇場で開催され
期間中参加者は市内に泊まりこみます。
河畔劇場は神戸から3時間くらいの場所。
山々と自然が美しい豊かな土地ですが
華々しい都会から離れた場所にいわば「隔離」される状態になります。
私は神保治暉さんのチームにお声掛けいただき、
「胎内」という作品の「村子」という役を演じました。
「胎内」オリジナルは朗読だけで3時間近くかかる戯曲で、
戦後直後の時代に生と性と死を考える内容で、
村子は私よりずっと若い女性の役で、
そしてメンバーはみんな10歳近く年下で、
私は集団行動と密な人間関係が苦手で、
冷静になって考えるとお断りする理由しか出てこないのに
私は一つ返事で「参加します」と答えてしまいました。
神保さんとエリア51というアートチームが好きです。
だから彼らが「胎内」を作る過程を間近で見られるという誘惑に抗うことができませんでした。
「必ず賞を獲る」という神保さんの熱意にも胸を打たれました。
結果。
奨励賞をいただく事ができました。
神保さん、おめでとうございます。
目標の最優秀賞ではなかったけれど
私たちにとってはとても大きな「ごほうび」でした。
今回のお芝居、チームメンバーが素晴らしかったのです。
エリアのメンバー、
エリアと縁深いメンバー、
はじめましてのメンバー、
みんなそれぞれ別の価値観と世界を持つ人ですが、
「より良い作品を作る」「賞を獲る」ということに一切妥協せず、かつ協力しあえる人々でした。
私は外部の客演という立場でした。
いつも俯瞰の立場に立つことでいろんなことから逃げがちな私も今回ばかりは作品や人と向き合わざるを得なかったです。
もちろん自分の最も弱く嫌な部分とも向き合うことになり、
それはやっぱり苦しい作業で、
その弱さのせいでメンバーのことを
意識的にしろ無意識にしろ
傷付けてしまう場面もありました。
それでも向き合う事を止められなかったのは
チームメンバー一人ひとりの優しさと人間性に支えられたからです。
優しい目でじっと世界を見つめているメイクのなどちゃん。
細やかな心の揺れやささやかな幸せを感じて音に変えていく音楽の志保ちゃん。
荒ぶる感情と冷静な思考を同時に表現して想像する美術のかなちゃん。
どんなときも明るく、人物や物語を表現するスタイリングをしてくれるみっちゃん。
柔らかな心で喜びと悲しみを全身で表現する歩ちゃん。
どんな人にも寄り添う優しさと純粋な子供の心を失わない原さん。
独自の視点と爆発力と繊細な心を持つこうへいさん。
芸術を具体にするために必要なことを一つひとつ丁寧に行う演出助手のともちゃん。
全体を一人ひとりの人として見て、必要なことを瞬時に判断し実行していく美結ちゃん。
誰も見たことのない世界を作ろうとする神保さん。
チーム一人ひとり
それぞれの魅力が重なって炸裂する瞬間に
ご一緒させていただいたこと、
感謝しかありません。
あきらめていた人間関係に
この歳でもう一度向き合うことは
私にとっては大きなチャレンジでした。
でも、挑戦してよかった。
メンバーの皆さんそれぞれから
素敵な宝物をもらうことができたような気がします。
「深い深い愛情」、本当にありますね。
コンクールでは
他の団体の方の素晴らしいお芝居、
特に山口真由さんの圧倒的なお芝居に心震えました。
役者としてまだまだ取り組むべきことがあると心の底から実感しています。
どんな芝居がしたいのか、
そのためには何をすべきか、
大きな宿題をいただいた気持ちです。
また、共演する仲間や神保さんから
あの場で語ることでしか聞けなかった
ストレートなご意見をいただくこともできました。
宝物と宿題を手に
これからも精進していきたいと思います。
応援してくださった皆様、
ありがとうございました。
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