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【Hello, Tomorrow】パリのスタートアップイベントに参加してきました
MBA生活も早いもので全プログラムの半分が終了しました。私が通うIE Business Schoolのプログラムは全部で4つのTermに分かれており、Term1とTerm2がコアコース、Term3とTerm4はElective ClassやIEの目玉コンテンツであるLab Periodを選択することができます。
実はこの記事自体は3週間程前に書いていたのですが、Term3が始まりすっかりバタバタしてしまいリアルタイムで更新ができず…..反省。
Term2終了後、約10日間のSpring Breakの間にパリへ行ってきました。今回はパリ訪問の目的の一つであるHello, Tomorrow参加レポートを書きたいと思います。
Hello, Tomorrowとは
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“Hello, Tomorrow”は2011年にパリで設立されたアクセラレーターで主にDeep Tech領域に特化しフランスのスタートアップ企業や投資家、様々なステイクホルダーとのネットワークを持っている団体です。
世界150以上の大学と連携してアクセラレータープログラムやコンペティションを提供したり、私が今回参加しているGlobal Summitのようにプライベート&パブリックセクターなどを含めエコシステムに関わる様々なプレイヤー達を繋げるB to Bのネットワーキングイベントを主催しています。
Official Websiteによるとこれまで30,000以上のネットワーク、500以上のファンドレイズのディール実績を持つなどDeep Tech領域において大きな影響力を持つ団体だなと感じます。実は日本でも2021年からEnglish Pitchを開催しているようですが(知らなかった)今年の情報はまだ発表されていませんでした。
Hello, Tomorrow Global Summit 2024
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Global SummitはHello, Tomorrowが開催するイベントの中で最も大規模なイベントのようで、パリの”The CENTQUATRE”という施設をほぼ貸し切り2日間に渡って行われていました。私はExamの関係で2日目しか参加ができなかったのですが、今回Volunteer Staffとして参加しました。
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カンファレンスの大きな構成は日本と変わらず、大小のステージで60以上のトークセッションが行われていたり、その他70以上のスタートアップ企業がブース出展していたりと、来場した投資家やエンタープライズ企業とのコミュニケーションが活発に行われていました。
印象的だったのは、具体的な交渉や1 on 1ミートアップのエリアが充実していたこと。実際に投資家やスタートアップ企業としてイベント登録をしないと仕組みはわからないのですが、事前にオンライン上で繋がりイベント当日にミーティングをセットしてラウンジと呼ばれるエリアで実際にディスカッションや具体的なディールをすることができるようで、多くの来場者がそのラウンジを目掛けて来場している姿を見かけました。単にお祭り感覚としてイベントに参加している印象は受けず、皆がこの機会を有効に使うことができるWin-Win-Winな環境だと感じました。
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Partnership
もう一つ印象的だったことは、スポンサーやパートナーシップの豊富さです。
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Global Partnerの”LOREAL”からはResearch & Innovationというロレアルの開発研究部門が会場の中央に大きくブースを構えていました。Green Sciences Incubatorという彼らが主催するアクセラレータープログラムに参加するスタートアップ企業を求めており(Start-up Callと書かれていた)主にBio-tech領域における協業先を探しているとのこと。日本ではあまり見かけなかったので新鮮。
エンタープライズからはフランスを本社に置く航空エンジンなどを製造するグローバル企業”SAFRAN”、核燃料サイクル企業”Orano”など、インテルからはDeep Tech特化したアクセラレータープログラム”Intel Ignite”などが出展。
EUの政策執行機関からは”European Innovation Council”(EUの中小企業やスタートアップ企業に資金供給するための組織|2021年〜)、EIT Community(European Institute of Innovation and Technology)、そしてフランスからは”Republique Francaise”、フランスのスタートアップ・エコシステムの代名詞と言える”La French Tech”(この辺りはまた別途まとめたい)、バイオテクノロジー研究所 ”Genopole”などエコシステムの醸成に欠かせないキープレイヤー達が勢揃い。
その他、Supporting Partnerとして”Cartier Women’s Initiative”の名前があったり、ラトビアやエストニアの政府直下の投資開発部門が出展していたりと国全体としてこの領域に向き合っていく姿勢を会場全体から感じました。
ブース出展をしていたスタートアップ企業は様々で、ドイツ、アイスランド、オランダ、イギリス、イスラエル、スイス、スウェーデン、ポーランド、ラトビア、イタリア、ベルギー、ハンガリー、香港、シンガポールなど世界中のDeep Techスタートアップが集結しており、そのバラエティの多さに驚きと興奮を隠せませんでした。
特に気になったスタートアップを3つ紹介します。
1:Kepler|Japan 物理的物質と情報の境界線をブレンドするInformation-texturing tech
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MEDIというディスプレイを開発しており、そのディスプレイに映る映像は実物と見分けがつかないほど。ピクセル単位で周囲をセンシングし、人工的な反射光を通してリアルな質感を再現することができ、目や脳に環境と調和した情報の質感を自然に伝えることができることがポイントで、現代のスクリーン過多から起こる睡眠障害や視力低下、学習や記憶効率の支障の開発を目的にしているとのこと。実際に絵画を写したディスプレイを見せてもらったのですが、かなりリアルで興味深かったです。
2:Momentum Health|Canada AIを活用しスマホから人間の身体をリモートでデジタル化
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背骨の湾曲(脊椎奇形)をスキャンして予測するモバイルアプリ(Momentum Spine)小児の3%、高齢者の最大60%が疾患している脊椎奇形。実は他の慢性疾患よりも健康関連QOLが悪化するそう。Momentum Spineでは自宅にいながらたった15秒のスマホの動画で撮影することで実寸大の3Dモデルを再現でき、独自のアルゴリズムで非対称性を分析し、変形の進行を予測することができるとのこと。現在はCommercialize phaseらしいのですが、超高齢化社会の日本でもかなり需要がありそう。
3:Empyrio|Ratovia 中小規模の下水処理場における下水汚泥の活用
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中小規模の下水処理場では処理プロセスの中で不要となった下水汚泥を農地に肥料として散布しているそうなのですが、その結果利用コストが高くなり環境にも悪影響を及ぼしていることを課題として掲げ、独自開発したコンテナを使用することでその場で下水汚泥を少量化しコスト削減だけでなく環境に配慮した循環型経済のアプローチを実現している企業。現在はMPV Phaseとのこと。国によって需要や状況は異なりそうですが、今後の実用化が期待されます。
書き始めたらすっかり長くなってしまいましたが、様々な国のスタートアップに触れられただけでなく、業界を支えるエコシステムのステークホルダーが集結する場所そしてLobbyingの場所としても大きな役割を果たしているイベントだと感じMBAでの学びが少しだけConnecting Dotsしているようで個人的に素晴らしい体験だったと感じています。
ちなみに当日はボランティアで参加したにも関わらず、担当者と連絡が着いたのが集合時間の2時間後、そして今日は役割がないと言われたので参加者としてイベントを十分に楽しめました(笑)海外のイベント運営も垣間見られて非常に有意義でした。