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中国という国(政府・国民)が目指しているもの望んでいるものとは何か?(1)


これまでNOTEで色々中国にまつわることを書いてきたが、中国及び中国人を理解する上でこれを読めばおおよそ理解できるという本が2冊ある。中国ビジネスに関わる人々や配偶者が中国人の方は最低でもこの2冊を読んで頂きたい

一つ目は、
スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」である。

下記NOTEをご参照頂きたい。
https://note.com/kathikun19901990/n/n9326efa1aee5


で、もう1冊が今回紹介する本で、
中国の行動原理 国内潮流が決める国際関係 (中公新書)」である。

スッキリ中国論が、中国人の思考や行動がどういったものから来るのかを分析した本であったのに対し、この本は「中国と言う国は何を理想とし、何を追い求めているのか」を全体的な視点で分析した本である。つまり、国単位として中国を見た時、中国が何を考えているのかがより深く理解できるような本になっている。

1.中国はわけのわからない存在ではない


この本の最初の方にいきなりでてくるフレーズだ。日本人からすれば隣国は摩訶不思議な国であり、何か胡散臭いというイメージがまとわりついてくるのだが、筆者は中国はそのような存在ではないという。逆にポイントを理解していれば非常に理解しやすい存在だとしている。

中国の息吹に触れることの多い隣国として、日本人が強く戸惑うのは、中国の指導者がある特定の決定を下したとき、中国でなぜそれが社会のおおきなうねりとなり、政府から距離のある人々までがなぜ主体的・積極的に参入していくのか理解できないから


2.習近平国家主席は正統派の指導者である


習近平国家主席が国家主席になる前、江沢民や胡錦涛の時代(特に後者)中国内でも統制がとれていないことがあり、対外的に無茶を行い反感を買い、諸外国との関係が大いに亀裂が入ったことが多々あった。

それを防ぐために習近平国家主席は自分に権力を集中させ、うまくコントロールを行うことでバランスをうまくとり、内外の情勢に対して上手に立ち回れるようにしたのである。

よく毛沢東と比べられる彼だが、ある意味では毛沢東と似たようなことをやっており長期独裁政権をもくろんでいるなど色々言われているが、正直彼が国家主席に就任してから中国という国がかなり「まともな」方向に向かって歩き出し、うまくまとまってきたということは否定できない。そういう意味では、彼は歴代のトップと比べてもかなり優秀な指導者であるということは言えるであろう。

ただ、問題は彼が国家主席から退いた後の「習近平後」である。彼の後は、恐らく相当大きな反動が来ると思われ、中国国内は一時混乱状態に陥るかもしれない。


3.中国の世界観と帝国の喪失感


筆者は、中国の全ての行動の原因をいわゆる中国が世界の中心だとする「中華思想」に求めるのはバランスに欠けると述べる。

強烈な被害者意識、力への信奉、現状に対する不満といった中国の志向性は、歴史的優越性から自動的に導き出されるものではない。

では、どういったものから彼らの行動は導き出されるのであろうか。筆者下記のように指摘する。

中国の世界観は、基本的に現状への恐怖で満ち溢れている平和で安定した状態は現在ではなく、未来に達成される。この世界観は具体的には三つの要素で三つの要素で構成されている。第一に中華帝国への喪失感、第二に強烈なリアリズム、第三に中国共産党内の組織習慣である。

要は彼らは常に何かに怯え、その不安を解消するために行動し、その不安は未来には解消されると信じていることだ。

第一の中華帝国への喪失感は言うまでもないだろう。元々、東アジアにおいて圧倒的な存在感を放ち、自分達を頂点とする平和な国際的秩序が存在したことに非常に強いプライドをもっており、西側諸国のように近隣国のみならず遥か遠方の国までをも武力侵略したことがなく、中国の近隣国には常に徳をもって接していたと考えているのである。(これはある意味正しいのかもしれない)それゆえに、中国人からすれば、歴史的な影響という点において、元々あった国際秩序を劇的に失った喪失感がすごいのである。

中国にとって内政不干渉は絶対的原則であり、多くの中国人はかつての列強のような行動を諸外国に二度と許してはならない、と固く信じている。

中国は実は国境問題に関しては、

陸上国境を接する14カ国のうち、中国は12カ国とはすでに話し合いで国境問題を解決

している。意外に思われるかもしれないが、中国はこれまで係争地域における半分以上の面積を相手方に譲り、清王朝の最大版図の内340万km2を放棄しており、これは実にインドの面積を上回るのである。

基本中国は話し合いによる問題解決にかなり協力的で、CCTVで報道されるような「うん?本当か」と思うような報道と実はかなりリンクしているのである。ただし、例外はある。国内政治が不安定なときである。そういう時には概ね対外的に武力にまかせた策をとりやすい傾向はある。

中国は小国には大きな譲歩を行い、外交上の見方を増やそうとするが、自国への服従が期待できず、ライバルとみなす隣国には強硬な姿勢で臨む

これを読んで直ぐに思い浮かぶのはアメリカと我が国日本ではないだろうか(アメリカと親しい韓国も入るかもしれない)。ここは非常に大事なポイントである。

とはいえ、いわゆる「中華思想」で片づけがちな日本のメディアが報じる中国はやはり違うと言わざるを得ない。

中国は一般原則として、各国の主権を平等とする近代主権国家体制を受け入れ、それにかなり忠実である。中華思想が現代中国の対外行動の決定的な要因とは、とても言えない。

また、国際的に諸外国が中国を脅威と感じる理由の一つとなっている国防費の増加についてだが、中国人は概ね肯定している。

一般に中国人は権威には力による裏付けが不可欠と認識しており、だからこそ政府による国防費の急拡大を大多数が支持

つまり、国防費が増大しているのも他国を侵略する為ではなく、他国から舐められないように「権威による裏付け」の為であるという点である。


長くなりそうなので、また次のNOTEにて引き続き「中国の行動原理」についてみていきたい。今日はここまで。ぜぇーうぇー(上海語でさようなら)。






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