マクド〜ナル、ギブミーアパワー!
北京のユースホテルまじ最強
時は遡ること、2000年の夏、北京。
当時、北京国際ホテルの裏にユースホテルがあった。北京が好きな私は留学時代も合わせて10回以上北京を訪れていた。このユースホテルは当時の私の定宿だった。
昔は北京南駅近くの京華飯店というのがあったが、ロケーションが悪く移動も大変なので、出来たばっかりのこのユースホテルは新しく最高のドミトリーだったのである。(一晩確か60元)ここから歩いて西単や天安門、胡同にいけるし、天安門広場の朝と夜の国旗掲揚、国旗降納も見るのも楽だった。
ドミトリーと言えば、多国籍の宿泊者が多いことは言わずもがな。私が滞在していた7日間で、イギリス、アメリカ、フランス、韓国、日本、ドイツ等色々な国のバックパッカー達と出会うことが出来た。今でもFacebookで繋がっている人もいて、いいお付き合いをさせて頂いている。
突如現れたスーパー爺ちゃん
とある日、昼食を終え、部屋でアメリカ人と談笑していると、突如大きな音を立ててドアが開き、背は190㎝はあるだろうと思われるがりがりのひげ面で初老の欧米男性が仁王立ちしていた(笑)
私はふと彼と目があってしまったため、恐る恐る「ハロー」と声をかけた。すると、
「ハロー!!!ふーあーゆー??」
突如の不意打ちにどう反応していいか分からない自分。
いや、つか、お前が誰やねん(笑)
そこから彼は自分のベッドに荷物を置くとどすんと座り込み、私達に話かけてきた。話が長い爺ちゃんだったので、簡単に言うと彼は北京来る前モンゴルのウランバートルに1か月滞在していたらしい。しかし、モンゴルでの旅行は過酷を極めたと、理由は「羊料理しかない」ということ。あまりに料理が単調過ぎて数日で飽きるんだそう。
モンゴルという国を語る際、人によって極端に2つに分かれたような気がする。モンゴル大好きという人と、モンゴル二度と行かねえという人(笑)この爺ちゃんはまさに後者であった。
「のーもあーもんごーりあ〜!!!てりぼぉー!!!」(モンゴルはもうごめんだ!!!ひでぇよあそこは!!!)
を叫びまくる爺ちゃんに圧倒され困惑するドミトリーの住人達(笑)そこで私は彼に北京の印象を聞いてみることにした。
私「じゃあ、北京はどう?着いたばっかりでよく分からないだろうけど」
爺ちゃん「ん?北京だと!!?」
私「(やべっ、北京もノーモアーペキンとか言いかねない…)」
爺ちゃん「北京は最高だ!グレイトだ!エキサイティングだ!」
私「ほえ??」
爺ちゃん「北京はグレイトだ!なんといっても北京にはマクドーナルがある!!!」
私「はあ??」
爺ちゃん「まくどーなる、ぎぶみーあーぱぅわぁー!!!」(マクドナルドは私に力を与えてくれる!!!)笑
今度は、マクドナルドの素晴らしさを滔々と喋り出す爺ちゃん、またもやドミトリーの住人たちは困惑し、この所謂「マクドナルド演説」は2時間近くにも及んだ(笑)
本当にきんに君みたいなポーズでパワー!!!を連発するので、腹が痛くて腹筋が崩壊太郎するかと思った。
やっと演説が終わったと思ったら、爺ちゃんが「おい、お前ら、今から飯行こう!」とか言い出すので、私は冗談で「まさか、マクドナルドじゃないよね?」とか言うと、
「オフコース!マクドーナル、ぎぶみーあー(文字数)!!!」
その日の夜は本当にマクドナルドに連れていかれてしまった(笑)まあ、旅の色々な面白い話を聞かせてもらったり、オランダの英語名「Dutch」の発音が悪いと指摘され、何度も正しい発音(オランダ語発音?)である「デュッチ!!デュッチ!!デュッチ!!」と大勢の前でやらされたり(脳裏にはダッチワイフのイメージしか浮かばずムラムラもやもやさせられたが笑)、結果的には楽しかったが。食事しながら次の目的地を聞くと「山西省大同」(石窟と懸空寺で有名な場所)に行くというではないか。すかさず私は彼に「大同って、マクドナルドないよ??」(当時はほんとになかった)と注意喚起を行った(笑)
「ほわっつ!!??のーまくどーなる??おーまいがっど!のーもあだーとん!!!(大同)」
いや、まだ行ってもないのにノーモア大同は早過ぎやろ(笑)結局その爺ちゃんはユースホテル滞在中3食全てマクドナルドで食事を取っていたそうだw
モンゴルのマクドナルド??(余談)
同じユースホテルで、モンゴルで留学しているという日本人で出会った。彼もスーパー爺ちゃん同様モンゴルの多様性のない食事にうんざりしており、北京は天国だと言っていた。その彼も、最近モンゴルにマクドナルドが出来喜んだのだが、喜びも束の間、それは実は偽物だったという話をしてくれた。マクドナルドっぽいロゴに、名前が「モンドナルド」(笑)
多くのウランバートルのモンゴル人が、モンゴルにもマクドナルドがやってきた!と狂喜したのも束の間、モンゴルでマクドナルドの運営を計画している会社より訴えられ、すぐに閉店に追い込まれたという(笑)