無事終演しました
◎演劇集団ふらっとよりごあいさつ
本日は暑い中、ご来場頂きありがとうございます。
演劇集団ふらっとは2014年に旗揚げし、広島で朗読会の開催や朗読劇の上演を重ねてきました。
「朗読劇少年口伝隊一九四五」実行委員会の活動を引き継ぎ、原爆をテーマにした作品に継続的に取り組む一方、楽しい文学作品にも取り組むことでカラフルな読みができるようになることも目指して活動しています。
劇団旗揚げから2018年に亡くなるまで主宰であった朗読家・富永芳美は「自分は戦後生まれだけれど、戦争の時代と今の若い人達の繋ぎ役になりたい。原爆について一緒に考える人達を増やしたい」という思いを抱いて作品を作り、朗読指導をしていました。主宰の意思を受け継ぎ、少しでも原爆や戦争を自分に近い問題として捉えてもらえれば良いなと思っています。
朗読は言葉にフォーカスしたアートです。朗読者は同時にふたつの行程を行いながら舞台に立ちます。
ひとつは台本に書かれている作品を読解すること。もうひとつは台本に書かれていることを声で表現すること。
観客は、朗読者が台本を声に出して読むのを鑑賞します。もちろん声だけではなく、朗読者の表情、身体の動き、台本のめくり方も朗読者の表現として鑑賞することになりますが、朗読者から発せられる言葉そのものが最も重要な鑑賞の対象となります。
朗読は一般的に映像や演劇作品に比べると視覚的な表現が少ないため、朗読された言葉が映像化される場所は、それぞれの観客の心の中です。
被爆体験記の当事者達が書き記した過去の記憶を、当事者が残した言葉を、私たちと一緒に体験していただだけたら嬉しいです。
◎企画•構成•演出より 梅屋サム
演劇集団ふらっとは今年結成11年目を迎えました。私は、立ち上げメンバーでしたが、2019年より業務提携という形で関わっています。
昨年、朗読者であり制作のキャサリンより、創立10周年の企画として何かしたいと相談があり、そこで提案したのが、今回の朗読と写真展の企画です。声で繋ぐことにこだわってきた私たちが、写真(視覚)から見えるヒロシマを体験する事で、新たな視点でヒロシマを見つめることができるのではないかと思ったのです。
テーマは、『出会いなおすヒロシマ』。全ての“ヒロシマ“を取り上げる事は難しいけれど、慣れず澱まず、改めて知らないヒロシマに出会っていきたいと考えたからでした。
原爆と出会いは、小学校1年生の時に初めて被爆者の方の講話を聞いた時でした。『なんでアメリカは、人にそんな痛い事をしたんだろう。』と思ったのを覚えています。
そして、それを家に帰って母に
報告すると、「教えててありがとう。」と言われたんです。私も母に出来ることがあるのか!と思った私は、次の日、母に読んでもらうために、図書室で『おこりじぞう』を借りました。優しい顔をしたお地蔵様が、原爆後とてつもない怒りみちた表情になったのを見て、とんでもない事が起こったんだと感じ、その時の衝撃から少しずつ原爆を意識するようになりました。
その後、移動演劇桜隊の研究や原爆の戯曲を書くこと、声でつなぐ祈りの構成するようになってから、毎年いくつもの被爆体験記を読むようになりました。まだ見ぬ体験記に出会うために、古本屋に通いまくるので、家の本棚は原爆関連の本ばかりです。被爆者の声や、当時の広島の様子、ヒロシマに関わり続けていた人達の原動力など、一年中多岐にわたって情報を集めています。
しかし、こういう風に書くと、私がとてもやる気があるように聞こえるのですが、決してそうとは言えません。
台本も、毎年、演劇集団ふらっとのメンバーと右往左往しながら完成させている状態です。被爆者でもなく、研究者でもなく、遺族でもなく、強いイデオロギーを貫いているわけでもない。何もわかっていない私が、原爆の構成をしたり、演出をしていいのだろうかとずっと思い続けています。
しかし近年、『一緒に誰かともがき、誰かと共に考える人になることならできるかもしれない』という風に、気持ちが少しずつ変わり始めました。たくさんの学びをくれた
方々の言葉を、私の中だけにしまっていてはもったいないよなぁと思い始めたからです。
私はこれからも悩み続けると思います。しかし、今日だけは、朗読者やスタッフ、そしてご来場いただいた皆さんと一緒に、ヒロシマと出会い直せたらいいなと思っています。
写真展は2024年8月21日より、合人社ウエンディひと・まちプラザ(広島市まちづくり市民交流プラザ) 南棟1階ロビーで開催します。ぜひ、そちらも足を運んでいただけたらと思います。
(構成・演出 梅屋サム)
◎被爆体験継承の課題:何を継承するのか
声でつなぐ祈り2024で朗読した、川野徳幸先生とファン デル ドゥース ルリ先生の論文です。
国際平和拠点ひろしまHPより
https://hiroshimaforpeace.com/fukkoheiwakenkyu/vol4/4-2/