椎葉村の観光スポットvol.2 「閣下」とも呼ばれる大迫力の「上椎葉ダム」
椎葉村の中心部、上椎葉地区を訪れたらまず見ていただきたいのは「上椎葉ダム」です。その迫力は、全国のダムファンの方々に「閣下」の愛称で親しまれているほど。
上椎葉ダムは、1955年に完成した日本で初めての大規模アーチ式ダムです。高さ110m、長さ341mで、その総貯水量は9155万立法mにもなります。と、数字だけ耳にしてもなかなか想像ができませんよね。そのダム湖の様子がこちらです。下の写真の右奥が源流である耳川、左奥が支流の小崎川へとつながっています。
このダムを建設するにあたって、149億円の総工費が投じられ、延べ500万人もの動員があったといいます。工事は台風などの影響で難航し、完成までの5年間で105人の命が犠牲になったそうです。この事実は、当時の工事がいかに過酷で、また建設に関わった方々にとっての大きな挑戦であったかを物語っています。
その犠牲者の霊を慰めるために、ダムには女神像が立てられ、「女神像公園」と名付けられています。女神像公園からはダムの堤体をちょうど真上から見下ろすことができるので、その迫力を俯瞰で感じるには申し分のないところです。もちろん、撮影スポットにも最適。駐車場が広いので、休憩にもおすすめです。
ちなみに、筆者が上椎葉ダムを訪れてみて一番驚いたのは、このダム堤体の上を車で走行可能だということ。調べてみるとダム界では珍しい話ではないようですが、ダムの上が道路になっているなんて本当に衝撃的で、初めて車で走った時にはちょっとしたアトラクション気分を味わったことを思い出します。
さらに迫力を感じたい方は、ダム放流の機会をチェックしてみてください。雨の多い時期や観光放流など、年に数回の放流を行っています。こればかりは天候によることなのでチャンスは少ないのですが、もしもタイミングが合えば、ダムにかかる虹が見られるかもしれません。
夏は新緑、秋は紅葉と、囲まれた山々と相まって、また雨量によって水位や水の色も異なり、いつも違う表情を見せる上椎葉ダム。一度ではなく、二度三度訪れても、なぜか飽きることなく清々しい気持ちになるのは、壮大でいつもそこに静かに佇む「山」と「湖」そして「空」の組み合わせでしょうか。ぜひ皆さんにも何度も訪れていただきたい、そんな場所です。
執筆・中川薫(https://note.com/kaoru_nakagawa/)
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