基礎学力到達度テスト直前~詰め込み政治経済
頻出の三権についてまとめました。直前の整理にどうぞ。
国会
1.国会の地位
・「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」(憲41条)
2.国会の構成
ⅰ.二院制(両院制)・衆議院と参議院で構成
ⅱ.国会議員の特権(憲49~51条)
・歳費特権:相当額の歳費(給与)を受ける
・不逮捕特権:会期中は逮捕されない
※会期前に逮捕された場合、議院の要求があれば会期中は釈放
※院外での現行犯逮捕、議院の許諾があれば逮捕される
・免責特権:院内での発言や評決について、院外で法的責任を問われないⅲ.両議院の関係
・衆参両議院は基本的には対等
・議案によっては衆議院の優越が認められる
ⅳ.衆議院の優越(憲59・60・61・67・69条)
・法律案の議決
・予算の議決
・条約の承認
・内閣総理大臣の指名
について優越の規定あり
※衆議院にのみ認められている権限
・予算の先議権
・内閣不信任の決議
3.国会の種類(憲52~54条)
①常会(通常国会)
・毎年1回、1月中に召集
・会期は150日間
②臨時会(臨時国会)
・内閣の決定により召集
・あるいは衆参いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求で召集
③特別会(特別国会)
・衆議院議員総選挙から30日以内に召集される
・内閣総理大臣を指名する
④参議院の緊急集会
・衆議院の解散中に緊急の必要がある場合に、内閣の要求により召集
4.国会の権限
①憲法改正の発議
②立法権:法律の制定
・法律案は内閣か議員が提出
・議長→委員会→本会議 の順に審議→もう片方の議院でも同様に審議
・委員会:常任委員会と特別委員会がある
・公聴会:専門家や利害関係者の意見を聞くこともある
※予算審議では必ず開く
・成立した法律は天皇が公布(国事行為)
③条約の承認
・条約は内閣が締結し、国会が承認する
④内閣総理大臣の指名
・国会議員の中から指名する
⑤弾劾裁判所の設置
・裁判官を裁判:辞めさせるかどうかを決定
⑥国政調査権
・国政に関する事項を調査する権限
・国会が内閣を監視する手段の1つ
・証人喚問や、内閣に記録の提出を要求することができる
内閣
1.内閣の地位
①内閣の地位
・「行政権は、内閣に属する。」(憲65条)
②内閣の構成
・文民である内閣総理大臣とその他の国務大臣で構成される(憲66条)
※国務大臣は内閣総理大臣が任命し(憲68条)、天皇が認証(憲7条)する※国務大臣の過半数は国会議員から選出されること(憲68条)
・閣議:全大臣が参加する会議→内閣の方針を決定※全会一致で決定
③内閣の権限
・法律の執行
・外交関係の処理
・条約の締結
・予算の作成
・政令の制定
・恩赦の決定(以上、憲73条)
・天皇の国事行為に対する助言と承認を行う(憲3・7条)
・最高裁判所長官を指名する(憲6条)
・長官以外の最高裁判所裁判官を任命する(憲79条)
・下級裁判所裁判官の任命(憲80条)
2.議院内閣制
①議院内閣制について
・内閣が国会の信任にもとづいて成立し、国会に対して連帯して責任を負う政治のしくみ⇒(内閣は国会に対して連帯して責任を負う)(憲66条)
②内閣総理大臣について
・国会議員の中から国会が指名(憲67条)→天皇が任命(憲6条)
③国会と内閣の関係
・衆議院は内閣に対し不信任の決議をすることができる(憲69条)
・衆議院が内閣不信任決議(案)を可決(または内閣信任決議案を否決)
→内閣は、10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければならない
・内閣は衆議院を解散できる(憲7条、憲69条)
→解散の日から40日以内に衆議院議員総選挙を実施
→選挙の日から30日以内に特別会が召集される
※特別会召集時に内閣は総辞職し、新しい内閣総理大臣が指名される
司法(裁判所)
1.司法権の独立
・司法権が内閣や国会から干渉を受けず、独立していること
①裁判所の独立
・他の国家機関からの独立(憲76・77条)
・すべて司法権は、最高裁判所及び下級裁判所に属する。(憲76条①)
・大日本帝国憲法下で設置されていた特別裁判所を禁止(憲76条②)
②裁判官の独立
・「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」(憲76条③)と規定
・個々の裁判官が干渉を受けず、独立して職権を行使することを保障
・他の権力だけでなく他の裁判官からの干渉も排除
※裁判官が罷免される場合
・心身の故障(憲78条)
・公の弾劾(憲78条)
※国会設置の弾劾裁判所で罷免される場合
・国民審査で罷免が決定された場合(憲79条②③)
※対象は最高裁判所裁判官のみ
2.裁判所の構成
・最高裁判所と下級裁判所で構成(憲76条①)
①最高裁判所
・15人の裁判官で構成:長官1人とその他の裁判官14人
・最高裁判所の長官は、内閣が指名し天皇が任命する
・最高裁判所の裁判官は、内閣が任命し天皇が認証する
②下級裁判所
ⅰ.高等裁判所
・全国8か所
・最上位の下級裁判所
・おもに第2審を扱う
ⅱ.地方裁判所
・全国50か所。各都府県に1か所、北海道に4か所
・おもに第1審を扱う
ⅲ.家庭裁判所
・全国50か所(地方裁判所と同じ)
・少年事件、家庭内事件などを扱う
ⅳ.簡易裁判所
・全国438か所。比較的軽い事件を扱う
③その他
・知的財産高等裁判所:2005年設置
・東京高等裁判所の特別支部として設置
→知的財産権に関する訴訟を専門的に扱う
3.裁判の種類
①民事裁判
・私人間の争いを解決するための裁判
→お金の貸し借り、交通事故など
・原告・被告の主張を聞き、裁判官が法に基づいて判決を下す
・和解すれば、裁判の途中で終了する
②行政裁判
・国や地方公共団体を相手に起こす裁判
※国や地方公共団体が被告となる
・民事裁判の1つ。手続きは民事裁判と同じ
③刑事裁判
・法律で犯罪とされる事件を審理する裁判
・検察官が被疑者を起訴して行われる
・被疑者:犯罪をした疑いのある者
・被告人:被疑者は起訴されると被告人とよばれる
・裁判官が法に基づいて判決を下す
→有罪の場合は刑罰も決める
・裁判は罪刑法定主義に基づいて行われる
・被害者参加制度:2008年から導入
4.三審制
・1つの事件(裁判)について3回まで裁判を受けられる制度
※民事裁判・刑事裁判のどちらも
・控訴:第一審の判決に不服の場合に上訴すること
・上告:第二審の判決に不服の場合に上訴すること
5.再審制度
・判決の確定した裁判をやり直す制度
・再審請求を受理して行われる
※合理的な疑いがもたれる新たな証拠が出てきたとき
・冤罪発生時の救済のためにも必要
※冤罪:無実であるのに有罪とされること
6.違憲法令審査権(違憲審査権)
・法律・命令などが憲法に違反しないかを審査する権限
・最高裁判所だけでなく、すべての裁判所が有している
・最高裁判所は「憲法の番人」とよばれる
→違憲審査に関して最終的な判断を下すから
7.裁判員制度
・司法制度改革の1つとして開始
・2004年、裁判員法の制定→2009年から実施
・事件ごとに、20歳以上の有権者からくじ(抽選)で裁判員が選ばれる
・重大な刑事事件が対象
※法定刑に死刑・無期刑が含まれる罪の事件
・事実審理を行う:有罪・無罪の判断
・法律判断も行う:有罪な場合、具体的な量刑を決める
・原則として、裁判員6名、裁判官3名で審理
・裁判員裁判が行われるのは第一審のみ