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【読書記録#2】世界でいちばん透き通った物語/杉井光 電子書籍化不可能!?紙の本でしか体験できない感動!

※今回紹介する作品はネタバレ厳禁のため、ネタバレには配慮しておりますが、未読の方はご注意ください。


作品の概要

作品タイトル:世界でいちばん透きとおった物語
ジャンル:ミステリ小説
著者:杉井 光(すぎい ひかる)
出版社:新潮文庫
発売日:2023年4月26日

著者プロフィール
1978(昭和53)年、東京都生れ。電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006(平成18)電撃文庫『火目の巫女』でデビュー。その後電撃文庫「神様のメモ帳」シリーズがコミカライズ、アニメ化。ほかの著書に「楽園ノイズ」シリーズ、『世界でいちばん透きとおった物語』などがある。


この本を手に取ったきっかけ

きっかけは、本の帯に目を惹かれたからだ。帯にはこう書かれていた。

電子書籍化絶対不可能⁉”紙の本でしか”体験できない感動がある!

なんだこれ。電子書籍化できないって、どういうことだろう。

タイトルに関しては、最近、こういうタイトルの作品多いな、くらいにしか受け取っておらず、あまり惹かれなかった。

本を裏返し、あらすじを読んでみるも、あまりピンとこなかった。

あらすじ

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。

『世界でいちばん透きとおった物語』 杉井光 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)

これもまた、よくあるあらすじ、という印象を受けた。

タイトルもあらすじも私には刺さらなかった。なんなら、著者の名前すら知らなかった。

しかし、それを上回る「電子書籍化絶対不可能」への興味。気づけば、私はレジに向かっていた。

結果的に、あのとき興味に従って大正解だったと思う。

感想

※一応、再度書いておきます。未読の方はご注意ください。

この小説は確かに、電子書籍化は難しいだろう。仮にできたとしても、それはこの小説の魅力を大きく損なってしまうだろう。

紙の本でしか体験できない感動。電子書籍が普及している現代に、デジタルの波に逆らい、紙の本に限定した小説。素晴らしい。


この本の仕掛けに関するヒントは散りばめられていたのに、終盤になるまで気づくことができなかった。

仕掛けに気づいた瞬間、全身に鳥肌が立ち、心臓の鼓動を感じられるくらい高揚した。

著者の根気に感服せざるを得ない。まさに神業。どうしたらこんなことを思いつくのだろう、そしてそれを実行できるのだろう。

その直後、終盤まで気づけなくて悔しい、と思ったが、今思えば終盤に気づいて良かったかもしれない、とも思う。

なぜなら、序盤とか中盤で気づいてしまうことは、犯人が分かっている推理小説を読むようなものだと思うからだ。

終盤に気づくことで、この小説を最大限楽しむことができると、私は思う。


また、ストーリー自体も普通に面白く、私のようなミステリ初心者でも楽しめる作品だった。


おわりに

電子書籍は、サンプルを無料で読める、場所を取らずどこでも読める、文字の大きさや画面の明るさを変えられる、単語の意味を調べられるなど、紙の本にはない魅力がたくさんある。

私自身もKindle端末を持っており、何十冊か端末に入っている。確かにすごく便利だと思う。

しかし、私は紙の本も好きだ。紙の手触りや匂い、場所を取るがインテリアとしての見た目が好きだ。Amazonでモノを購入することが多い私だが、書店に足を運ぶのも好きだ。そういった「不便性」すら楽しいと感じる。


本記事を読んでくださったあなたにも、ぜひ紙の本でしか体験できない感動を、味わっていただきたい。

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