【読書記録#2】世界でいちばん透き通った物語/杉井光 電子書籍化不可能!?紙の本でしか体験できない感動!
※今回紹介する作品はネタバレ厳禁のため、ネタバレには配慮しておりますが、未読の方はご注意ください。
作品の概要
作品タイトル:世界でいちばん透きとおった物語
ジャンル:ミステリ小説
著者:杉井 光(すぎい ひかる)
出版社:新潮文庫
発売日:2023年4月26日
この本を手に取ったきっかけ
きっかけは、本の帯に目を惹かれたからだ。帯にはこう書かれていた。
電子書籍化絶対不可能⁉”紙の本でしか”体験できない感動がある!
なんだこれ。電子書籍化できないって、どういうことだろう。
タイトルに関しては、最近、こういうタイトルの作品多いな、くらいにしか受け取っておらず、あまり惹かれなかった。
本を裏返し、あらすじを読んでみるも、あまりピンとこなかった。
あらすじ
これもまた、よくあるあらすじ、という印象を受けた。
タイトルもあらすじも私には刺さらなかった。なんなら、著者の名前すら知らなかった。
しかし、それを上回る「電子書籍化絶対不可能」への興味。気づけば、私はレジに向かっていた。
結果的に、あのとき興味に従って大正解だったと思う。
感想
※一応、再度書いておきます。未読の方はご注意ください。
この小説は確かに、電子書籍化は難しいだろう。仮にできたとしても、それはこの小説の魅力を大きく損なってしまうだろう。
紙の本でしか体験できない感動。電子書籍が普及している現代に、デジタルの波に逆らい、紙の本に限定した小説。素晴らしい。
この本の仕掛けに関するヒントは散りばめられていたのに、終盤になるまで気づくことができなかった。
仕掛けに気づいた瞬間、全身に鳥肌が立ち、心臓の鼓動を感じられるくらい高揚した。
著者の根気に感服せざるを得ない。まさに神業。どうしたらこんなことを思いつくのだろう、そしてそれを実行できるのだろう。
その直後、終盤まで気づけなくて悔しい、と思ったが、今思えば終盤に気づいて良かったかもしれない、とも思う。
なぜなら、序盤とか中盤で気づいてしまうことは、犯人が分かっている推理小説を読むようなものだと思うからだ。
終盤に気づくことで、この小説を最大限楽しむことができると、私は思う。
また、ストーリー自体も普通に面白く、私のようなミステリ初心者でも楽しめる作品だった。
おわりに
電子書籍は、サンプルを無料で読める、場所を取らずどこでも読める、文字の大きさや画面の明るさを変えられる、単語の意味を調べられるなど、紙の本にはない魅力がたくさんある。
私自身もKindle端末を持っており、何十冊か端末に入っている。確かにすごく便利だと思う。
しかし、私は紙の本も好きだ。紙の手触りや匂い、場所を取るがインテリアとしての見た目が好きだ。Amazonでモノを購入することが多い私だが、書店に足を運ぶのも好きだ。そういった「不便性」すら楽しいと感じる。
本記事を読んでくださったあなたにも、ぜひ紙の本でしか体験できない感動を、味わっていただきたい。