【第十回】【Math AI SL IA】構成で克服するReflection〜IBから点をもぎ取る〜
この記事は前回の記事と繋がっています。今回は、Math IAに関する記事の続きで、ReflectionとUse of Mathematicsを取りやすい構成について話したいと思います。この構成は自分で発明したものではなく、IBから出されている公式のExemplarのうち、満点のものから援用したものになっています。
【1. 構成】
1. Introduction and Rationale (超短く、数学的な仮定を入れると数学の理解を示せるから良いと思う。例えば、定義域と値域とか)
2. Aim and Approach(実社会に関するものであっても良いが、数学的なものも含められれば良いと思う。例えば、「100個の点からなるJordan Curveの面積を積分することによって求めることを目標とする」のように。)
3. Preliminary Reflection・Prediction(数学的な根拠に基づいた予測をあらかじめ立てる→この工程をやっている人は少ない気がします。でも、これができると思考の深みが違うと思います。予測をするときには、概算でも良いので数学的な根拠に基づいているとさらに良くなります。例えば、)
4. データの提示(収集する場合は収集方法とその正当性(一文程度で良いと思う)について言及できると良い、インターネットからデータを引っ張ってくるのも良くある(Googleが出してるAnalytics、World Data Bankとか))
5. アプローチ1
6.アプローチ1の軽い振り返り(Interim Reflection)
7.アプローチ1の反省を踏まえたアプローチ2・もしくはアプローチ1の改良版(このとき、アプローチ2が1の弱点を克服するようになっているとさらに良いと思う。例えば、1のやり方だと、xが0のとき、値を返さないが、2のやり方だとxが0の場合を含めた全ての実数範囲で解が算出される…とか。
8. アプローチ2の振り返り
9.両方のアプローチの比較・振り返り
10. Final Reflection(結果の妥当性についての検討・改善案の更なる提示)
【2.この構成の長所】
私のIAもこのIAの構成を基本的に踏襲したのですが、これはいくつか良かった点があると感じます。これをいくつか検討してみたいと思います。
a.イントロとPrelim Reflection・Predictionを通じて、数学的な洞察・理解を示すことができる。自分がどのように実社会の状況を数学的な問題に変換しているか、あるいはどのようにその数学的問題を見ているか(解の範囲等)を理解するかは、数学的なメタ認知力でもあります。そして持論をあげるなら、これを理解している人はIBの数学、特にSLの場合はかなり少ないと感じています。だからこそ、状況の設定を自分で注意深く行えるという技能を示すことで、採点官にとって好印象になりますし、また共通理解を持った上でIAを読んでもらうことができます。
また、自分でデータを収集する場合、方法の妥当性と限界についてメタ的に捉えることも欠かせないでしょう。これは言語化するのが難しいのですが、自分の中で数学的な「思考の範囲」(さまざまな仮定や限界を考慮していることを示す)の広さを示すことで、数学的な理解、そしてAuthentic Personal Engagementを示せると考えます。
b. アプローチ1の反省に立ったアプローチ2を出すことで、「試行錯誤の痕跡」をIAに残すことができること。これがこの構成の中で要になってくると思います。一番良い状況はアプローチ1がアプローチ2と繋がっている場合です。そしてその弱点を克服する形に2を作り上げられれば、非常に、好印象になると考えます。例えば、私のIAではアプローチ1は中間の振り返りで3変数を用いるため、計算効率が悪いということを指摘し、アプローチ2においては、二変数しか用いないで、かつ計算効率が良いやり方を提示しました。
アプローチ1と2が本質的に異なってしまう場合でも、両者を比較対比していく視点を持つことは、自分のIAをメタ的に捉える方法でもあり、Authentic Personal Engagement以外の何ものでもありません。なので、この視点を持つこと、そして、それにIAで明確に言及することも欠かせないでしょう。
c. 最後の振り返りの重要な用い方
ここはこれを読んでいる皆さんならわかると思いますが、Reflection=振り返りではないかもしれません。振り返りというと、「OOだと思った。これからXXXしていきたい」のようなものではなく、もっと自己批判的で、建設的なものです。個人的には、ここの最後の振り返りは自分のわからない数学を示すチャンスだと感じています。例えば、「もっと効率的に積分をするやり方に、一つ一つの長方形の厚みを同じにするのではなく、重みを変えるガウス=ルシャンドル公式というものがあると聞いた。もし私のIAに適応するならばアプローチ一の精度と計算効率がさらに向上すると考えられる」のように自分の理解レベル以上の数学を適応できる可能性を示せる場所でもあります。
【3. 最後に】
これは私の学校の先輩方も言っていたことでもあるのですが、数学のIAはそこまで点数を取らなくても良いと割り切っても良い部分かもしれません。特にPaperが得意な場合は、それを伸ばした方が、IAで良い点を取るより効率が良いということもありえます。ただ、Paperテストはどのようになるかわからない(Boundaryが高くなるかもしれない)ので、ある程度IAで点数を稼ぎたいところでもあります。
今年もそろそろ終わりに近づいています。このブログを書くことは自分にとって今年を、そして高校3年間を振り返る良い機会になっているように思います。それでは皆さんまたの機会に。メリークリスマス!