春の消えた2020年
あなたに会えなくなって4ヶ月が経とうとしている
2月、3月、治療法のない新種の疫病に感染した人が世界に広がり
私は5月中ばまでの大半を自室で過ごした
あなたの顔を思い浮かべては
一緒に出掛けた時の写真を眺めて
寝る前にベッドの中で声や表情を思い出しては
夢で会えることを望んで
突然昼間にかかってくる電話に胸を躍らせ
気づくと話し込んで1時間以上が経過している
後日あなたが共通の女友達にも
同じ話をしていることを知って
がっかりした軽い嫉妬のような気持ちと
否、私はあなたのただの友達だからと考える理性と
混ざり合った寂しさを埋めるかのように
また翌週あなたは電話を寄越すのだ
しかし、メールの返事もあまり来なくなり
電話も来なくなって1ヶ月が過ぎようとしている
7月、気温は言うまでもなく夏を表しているが
春にあなたと沖縄に行く機会を逃した私の心は
まだ雪が降っているみたいに寒い
バレンタインのときにフラれたくせに
想い続けるこのしつこさ
私は以前人に執着するのはやめようと誓ったはずだ
帰国するときに一言もなくて
私の誕生日も覚えていなくて
自分の都合のよい時にだけ連絡をよこして
いつまでも私があなたのことを好きなことがバレているから
あなたは多分私のことを都合の良い日本人だと見ているだけだ
と思えば心が楽じゃないか
ときめいた気持ちは心の中にしまって
あなたと一緒に未来を過ごしたいとか
妄想とか、空想とか
そんなことを一切やめよう
夕焼けを見て
あなたのことを思い出さなくなったら
私は成長した
私の心は前を向いたということだ
あなたと過ごした去年の秋・冬
私の今年の夏の思い出で塗り替えよう
春を失って温めつづけたあなたへの気持ちを
そろそろ手放して幸せの欠片をあつめていこう
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