愛国

 皆さん、息してますか?
人間は呼吸して空気(酸素)を取り込まないと生きていけません。それくらい空気というものは人間にとって大事なものです。空気には常日頃からお世話になっているといえますね。

 ところで、皆さんはお世話になっている人に対して感謝の気持ちを述べる機会が少なくはないと思いますがどうでしょう。職場や身内にいなくとも、いつも贔屓にしているコンビニの店員さんにおつりを渡す時に「ありがとう」と、言葉に出さなくとも心の中でさえもつぶやかない…なんてことはないと思います。

では、空気に対しては?感謝していますか?蛇口から出る水道の水に対しては?水も空気も生活になくてはならないものですが、日本に生活していて(そしてインターネットに繋いでこの記事を読むことができる環境にいられる時点で)水や空気に困っているなんてことはないと思います。お世話になってはいるけれども、あまりに当たり前な存在であるがゆえに、水や空気に対して感謝の気持ちを述べるなんてことはなかなかないでしょう。

 日本にはご飯を食べる時に「いただきます」と言う風習があります。食べ物とするために殺した動植物に対して自らの命を生き長らえさせるために、作ってくれた人に対して感謝するために、命をいただきます、食事をいただきます、と述べるのです。(諸説あります。詳しく調べたことはないので正確にはよく知りません)他の国には同じような言葉があるのでしょうか、詳しくは知りませんが、このいただきますという言葉とそれが意味するもの、そして日本という国の食文化の中でこの言葉が生きているというのは、とてもすばらしいことだと私は思っています。

 というわけでそろそろタイトルに話を戻しましょう。2022年5月現在、日本の海の向こうでは砲弾や爆弾が飛び交い、時計の秒針が進むたびに天命を待たずして亡くなっている人や動物が数多くいます。
ひるがえって我が国はどうだろうか。皆さんの住宅に銃弾やミサイルは飛んできてますか?来てませんよね?この日本でそんなことあるわけないですよね?武装組織の攻撃による死の恐怖に脅かされず、いつでも食べ物が買えて食えて、ネットに繋げて楽しいものいっぱい見れて、SNSで自国のお偉いさんとかをボロクソにこき下ろしても官憲に捕まったりすることはなくて、毎日風呂に入れてきれいな空気を吸える。平和ですね。そんな平和な日々が過ごせることに感謝していますか?平和というものが当たり前になりすぎていませんか?

今やこんな平和な日々が過ごせる国は世界広しといえども日本くらいなものでしょう。平和に暮らせる国、いただきますの心のある国。和を以て貴しとなすとはよく言ったものです。日本最高ですね。感謝してもし足りない、愛せないわけがないですね。愛国ニッポン。

 水、空気、食べ物、平和。日本に住んでいると当たり前に存在しているかのようなものですが、世界のどこかにはこれらにすら事欠いて苦しんでいる人もいます。どこへ行っても大きないさかいがなく、いつでも食べ物や新鮮な空気にありつける日本という国こそ、我々の愛すべき国であると言えるでしょう。
では、それらが失われた時は?今まで当たり前のように存在していた食料にも事欠き、天地には火薬と毒物が飛び交い。自らが生きるためには平気で他者を貶め動物を殺し、木を焼き水や空気を汚す。日本がそんなことになっても、日本という国を愛し続けることはできますか?ここでできると言い切れるのならそれはもはや愛ではなく妄信と呼ばれるものでしょう。

 国を愛することとは?愛すべき国とは?ちょっと重いテーマかもしれませんが、国家に所属して生きている以上、よくよく考えておきたいものですね。


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