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「もしときサバイバル術Jr」ウォーター解説(指導用)
導入
日本に住んでいると、水があることは当たり前になっています。
蛇口をひねると飲める水が出てくるという国は、世界中で15か国くらいしか無いと言われています。
その中でも、日本の水はとても安心です。
40ページの導入では、普段飲み水をどこで手に入れるかという質問から入り、もし水道が止まった場合、自分は水を手に入れられるのか、を考えるところから始まります。
当たり前の日常がもし当たり前でなくなったら、ということを参加者が事前にイメージ出来たら、このプログラムが終わるころには少しは備えについて自分事として考えられるようになっているのではないでしょうか。
ステップ1 泥水の不純物をとりのぞく
茶色く濁った水をそのまま飲むのは、ほとんどの人が無理と言うでしょう。
それをコーヒーフィルターでろ過すると、どのくらいきれいになるのか確かめてみようというところから、この講習は始まります。
勉強が嫌いでも実験は好きという子は多いですよね。
この講習では子どもだけでなく、大人でもテンションが上がる人が多いです(笑)
実験をしながらも、42ページで太字で書いているように、何をやっても絶対飲めないケースもしっかり説明しておくことも大切です。
42ページから43ページにかけて、市販のものと手作りのものを使ってろ過する実験を提案していますが、講習会では先に手作りのろ過装置を作って試した後で、市販のものを使う方が、感動が大きいと思います。
この時点で、これなら飲めるという子が現れることがありますが、よっぽど高性能のもの以外は、そのまま飲むのは避けて、次のステップに移行しましょう。
ステップ2 殺菌の方法を知る
ステップ1で触れた絶対飲めない水以外なら、44ページに書いてあるような殺菌をすることで飲むことが出来ますが、指導者として最低でも、殺菌をしたら自信を持って自分が飲めるというリハーサルはしておかないといけないでしょう。
ここでちょっと指導者論になります。
もしあなたが水道水やミネラルウォーター以外は飲まないと心に決めている、またはちょっとそういうの苦手なので飲みたくないというなら、それは個人の信条なので、尊重されるべきですが、そうであればこの講習は実践出来る指導者をもう一人用意する方がいいでしょう。
飲めるようにするためのうんちくを垂れておきながら「自分は飲まない」という指導者しかいなければ、「なんだよ、飲めるって言ってるけど本当かよ」となり、信頼が失われませんか。
出来ないという指導者はサブに回って、同じように出来ない参加者に「私も出来ないから大丈夫、安心して」と寄り添う役割を担いましょう。
とは言いながら、この講習で一番大切なことは、飲める水を作ることではなく、自分の許容範囲を知ることです。
そのあたりは次のステップで触れていきます。
ステップ3 水の大切さについて考える
せっかく性能の良いろ過装置があっても、消毒液があっても、無理と言う人はいるのです。
災害時に向けて性能の良い道具を備えるのか、飲み水そのものをたくさん備蓄しておくのか、人それぞれの許容範囲によって変わってくるでしょう。
46ページに書いてあるようなことを投げかけることで、他人が作ったマニュアルに思考を委ねるのではなく、自分に合った方法を自分事として考えることが大切だと気づいて欲しいと思います。
そして最後のクイズをきっかけに、48ページに書いてあることをふりかえりの材料と今後の課題に繋げていただくといいと思います。
ウォーターマスター検定
この講習では、いかに精度の高い手作りろ過装置を作るなどということが目的ではないです。
ですので、実技試験はなく、講習内で体験したことをもとに、自分ならこういう備蓄をする、などという自分なりの対策を考えることが出来れば合格となります。
協会公認の講習では、筆記試験にも合格すればワッペンがゲットできます。
ワッペンをゲットした後も、最後に書いてあるように水を節約する画期的なアイデアを募るなどして、学びの継続に繋げていきたいですね。