災害 〜スペイン バレンシア地方〜
「世界で起きている災害」はたくさんある
「災害」。このシリーズでは世界の災害についてまとめていきます。実際に起きた災害をベースに、これからの災害対策をその国の特徴に沿って考えていきます。
避けては通れない災害について、日本だけでなく世界に目を向けてみましょう。
スペイン、バレンシア地方での洪水
2024年10月29日、スペインのバレンシア地方は集中豪雨により多大な被害を受けました。2021年以降、ヨーロッパで最も深刻な洪水と言われており、スペイン最悪の災害になる可能性があります。
概要を簡単にまとめてみます。
被害の詳細
10月29日、集中豪雨がスペインを襲い、大規模な洪水を引き起こしました。10月30日時点では少なくとも95人の死亡が確認されています。10月31日に救助活動を専門とする軍の部隊が、探知犬とともに泥や瓦礫を調べ始めるという。
よって木曜日以降から大きく死者数が増えると予想されています。ヘリコプターから撮影された映像には、高速道路で崩壊した橋や積み重なった車やトラックが映し出されています。
最も被害の大きかった地域ではインフラだけでなく、学校やその他の必要不可欠なサービスが停止されているようです。
また南部のアンダルシア地方を含み他地域でも洪水が発生しており、嵐が北東方向に進むに連れ、今後さらなる悪天候が続くと予想されています。
さらにスペイン最大の農家グループの一つである「ASAJA」は10月29日に「農作物への大きな被害が予想される」と報告しました。この農作物、主にオレンジについて見ていこうと思います。
オレンジで有名なスペインのバレンシア地方
スペインは生オレンジと乾燥オレンジの世界最大の輸出国であり、バレンシア地方はスペインの柑橘類生産の約60%を占めています。
柑橘類は日当たりと水はけの良い温暖な気候を好みます。土壌の条件としては通気性や排水性のよい砂状土の方が適しています。そのため、スペインの地中海性気候や土壌がオレンジにうまくマッチしているのです。
米国農務省によると、スペインの主要オレンジ生産地はバレンシアとアンダルシアで、バレンシアのオレンジ畑は120,000ha以上の面積を有しているらしいです。
近年、バレンシアのオレンジは、主にウルグアイやアルゼンチン、南アフリカなどの南半球諸国の生産や競争の激化による価格暴落で不安定な輸出をしている状況。
そのため自分の土地を放棄して売り渡す農家が出始めるなど、生産量が減少してしまう可能性を持っています。スペインにおいてオレンジの経済的重要性が問題になっている中の洪水で、打撃を受けることになってしまいました。
ここで一つの知識ですが、スペインのGDPは第三次産業が60%以上を占めています。第一次産業は3%ほどしかありません。ですが、バレンシアのシンボルでもあるオレンジがめちゃくちゃになり、鉄道や道路が止まっている事態は少なからずとも観光業に影響しそうです。
これが初めての洪水ではない
今回の事象で注意すべきことは、「初めての洪水被害ではない」ということ。地理的にスペインは洪水に弱いところがあります。
スペインの盆地やデルタ地域では、居住地や街が川沿いに集中しているため、一度洪水になると大きな被害につながりやすい点があります。また、バレンシア地方とアンダルシア地方は海外沿いに位置するため、特に洪水の被害が大きいです。
今回の災害では、道路の浸水や電線の遮断の影響で、救助支援に向かった部隊が被害を受けた街にたどり着けていない状況です。
過去数十年で最悪規模と言われている通り、被害がまだ未知数です。
スペインの保険制度
スペインには、公的機関である保険補償協会が自然災害を補償する異常リスク保険があります。保険料率は地域的な差はなく、全体で協会の積み立て金を超える支払いが生じた場合には、政府による無制限の支払保証があります。
この保険は民間保険に強制付帯される制度設計になっているため一定の普及率を確保でき、保険料の設定をすることが可能になります。
しかし、この保険制度で適用とされる巨大自然災害認定の基準が明確でないため、契約者の防災対策への動機が働きにくいなどの課題が存在します。
言ってしまえば、「お金もらえるし多少被害にあってもいいか…」みたいな気持ちに十分すぎる保険のせいでなってしまうということでしょうか。
例えが間違えていたら申し訳ないです。
スペインの建物の特徴
スペインの建物の特徴はいくつか存在します。簡単に見ていきましょう。
①壁
スペインの気候は先程書いた通り、地中海性気候です。1年を通して全体的に晴れた日が多く、地球温暖化の影響で40度を超える日もあるそうです。日差し対策として有名なのが、「厚い白石壁」と「スペイン瓦」です。
石壁は厚みがあって暑さが軽減されるうえに丈夫で耐久性があります。またスペイン瓦は寿命が長く、粘土でできているのにもかかわらずきめ細かいため、水分の浸透が少なく雨漏りがしづらいです。
②断熱材
スペインでは建物の基準が法律で義務化されており、断熱材の厚みがその一つです。スペインの住宅は石や漆喰といった自然素材による質の高い家づくりが特徴的です。手入れをして寿命を伸ばしていくという考えが建築の思想に根付いています。
ニュースの動画を見た感じ
ロイターニュースの動画を見た感じ、レンガや石造りの家が多く見られます。屋根はトタンで作られており、風で歪んだ屋根を直している様子が見られます。
今回の災害を総じて気になったこと
特に気になったのは、「スペインには日本のような避難所が存在しないのか」です。今回、スペイン最悪規模の被害と言われていますが死者数も過去数年で多い方です。
日本の災害ニュースでは避難所の映像などがよく映し出されますが、スペインのニュースでは皆さん家から出てきていました。もしかしたら避難所というものがあまり存在しないのかも…?
どうしてなのでしょうか。
考察
ここからは個人的な考察になります。
スペインでは日本にくらべて頻繁に災害が起きないため、災害に対する対策意識が日本人にくらべてあまりないのかもしれません。洪水は起こるけど年に一度程度。そこにお金をかけるくらいなら…と後回しになっている。
さらに手厚い保険制度により、ますます災害の被害を軽くしようという意識が芽生えにくくなっているのかもしれません。ですが、ここにきて地球温暖化によって一つ一つの災害の大きさが計り知れないほど大きくなってきました。
後回しにするには、一つの災害の被害が大きくなってきたのです。私は沿岸部だけでも避難所として高台を作り、洪水が起こる前に避難警告を出し「住民が避難をする意識」を作っていかなければいけない段階にあると考えます。
避難所はあくまでもひとつの建物であり、人々が立ち寄らなければ忘れ去られていく存在になってしまいます。よって避難所も街の一部として存在する絶妙な関係性が重要になると私は考えます。
そのためには、スペインの第三次産業の一つ、観光業の景観を崩さないような土地に溶け込みかつ避難所として機能する建物デザインが必要になってきます。
私は、普段はコミュニティやスペインにある「シエスタ文化」のような、日陰で昼食後に長い休憩を取って仕事場に戻る習慣を生かした広場にし、人々が日常的に集い戻る空間を避難所と融合して作ることを提案します。
避難所内部には軽い昼食を取ることができるレストランを設置することで、そのまま長い休憩をとることができます。
素材として日差しを防ぎ、通気性の良い木製のルーバーと白壁を融合させることでスペイン特有の自然素材の良さを活かす事ができます。また、スペインはガラスの芸術も有名であります。
ボコボコしているガラスと日光を使うことで、地面に映し出される影や光を演出することができ、波の模様を描くことができるため地中海の美しさを表現することも可能です。
私はこれらの建築デザインを施し、人々が集い戻るコミュニティとしての避難所を作り、スペインの災害被害者を減らすことを提案します。
小論文みたいに書いてみたけど
初めてなので、打つだけでもここまでボロボロだとは。いきなり小論文っぽくしてみたのもだめですが、自分の意見が即興でここまでまとまりがないとは。残り30日で上手くなるのか。
不安しかないですが書くしかない。
スペインへの災害募金の話はまだないけれど
なにか日本もできるとよいですね。募金の話は調べてみた感じまだないです。
参考文献はこちらhttps://www.bbc.com/japanese/articles/c80l5j3rzl0o
https://www.reuters.com/world/europe/heavy-rains-cause-flash-floods-spains-south-east-2024-10-29/
https://www.giroj.or.jp/publication/earthquake_research/No17_s_5.pdf