つぶやき 〜ニュータウンってなに?〜
ふと、目にした文章や事象をただ反芻している。そんなつぶやき。前回のつぶやきはこちら。
ニュータウンってなにって今更思った
共テ模試の地理で「ニュータウン」についての問題が出るたびに、ニュアンスでしか理解できていないなとずっと思っていました。
このつぶやきでは、ニュータウンとはなんのためにできたのか、実際の事例や社会問題について触れていこうと思います。
ニュータウンってなに?
国土交通省によると、ニュータウンとは「都市の過密化への対策として郊外に新たに建設された新しい市街地」と表現しています。
国の機関や地方自治体が「新住宅市街地開発法(①)」や「土地区画整理法(②)」に基づいて計画を起案し、自らが開発者となって建設するものと、民間開発者が任意に建設するものがあるそうです。
知らない言葉だらけなので、一つずつ調べて読み解いてみましょう。
①新住宅市街地開発法ってなに
新住宅市街地開発法とは、1963年ごろの高度成長による人口の都市集中にともない、増大した住宅需要に対して住宅地を大量に供給することを目的とした法律です。
新住宅市街地開発とは、言い換えれば本格的なニュータウンづくり事業であり、道路や公園、学校、病院、ショッピングセンターなどの高い複合都市機能を持った街づくりのことです。
開発の際は、事業区域の土地を全面的に買収し、開発後は公募を原則として住宅の需要者に売却するという方法をとります。
この法律の制限として、開発者が売却する際に原則として購入希望者を公募すること、希望者に住宅の5年以内の建築義務を課すこと、義務違反時は買戻特約を付けることなどが必要とされています。
簡単に言えば、売った側が購入者にお金を返せば、売った側は自分の手元に不動産を戻すことができるよということか。
また、購入した土地や建物を10年以内に売却する場合には、都道府県知事の承認を受けなければなりません。不動産の転売による利益阻止が目的です。
②土地区画整理法とは
新住宅市街地開発は業区域の土地を全面的に買収し、開発後は公募を原則として住宅の需要者に売却するという方法でした。
それに対して土地区画整理は、地権者が公平な負担に基づき土地を出し合って、一部を売却して工事費に当てる方法です。バラバラでまとまりのない街を整備することで、土地を効率よく活用できます。
また、木造住宅が密集しているような地域では、公園、道路等を整備し直すことで、防災上の観点から安全な都市空間を構築できる利点があります。
地権者は原則としてお金を出さず、代わりに自分の土地の一部を提供するのが特徴です。
ニュータウンの例
ニュータウンの定義と新住宅市街地開発、土地区画整理事業について簡単に理解したところで、ニュータウンの実例を見ていきましょう。
千里ニュータウン
千里ニュータウンは、大阪府吹田市、豊中市に横断するように存在しています。日本で最初の大規模ニュータウンです。
高度経済成長期の大阪や都市圏の人口増加に伴う住宅不足の解消と理想的な生活環境の創出のために、1961年に開発されました。想定されていた人口は15万人、37,330戸もの大規模開発でした。
この街づくりの特徴としては、大規模な土地を公園の緑地や道路などに使い、街路樹をならべてゆったりとした緑豊かな街に仕上がっていることが挙げられます。
北・南・中央の3つの地区に分割し、地区センターをはじめ幼稚園や保育園、小学校、診療所、近隣公園、街区公園などを計画的に配置しています。
住区の中には一戸建てだけではなく、集合住宅や様々なタイプの建物を混在させ、多くの人にマッチするような環境を整備しているのも、当時では画期的でした。
また、住民の安全のために車道と歩道の動線が分離されているのも特徴です。子どもや高齢者が安心して過ごすことができます。
最近では「歩いて暮らせる街」の核として、近隣に生活支援施設やコミュニティ施設を配置するなど、少子高齢化対策にも取り組んでいます。
多摩ニュータウン
多摩ニュータウンは、東京都の稲城市、多摩市、八王子市、町田市をまたがり、1965年から2006年まで約40年間開発されていました。
こちらも人口や産業が一極集中した1960年代の高度成長期に、良質な住宅を大量に供給することを目的として作られました。
自然と人とが共存する街づくりとして、街路樹はもちろんのこと3路線が利用できるターミナル駅が存在することも特徴です。多摩ニュータウンでも、駅前に地区センターが配置されています。(地区センターとは、商業や行政、業務施設等をまとめて配置したものです。)
この街づくりの特徴は、東京都や都市機構、民間事業者などが連携してインフラや住宅が整備されていること。そして、公的施設がその周りに計画的に配置されていることが挙げられます。
魅力としては、豊かな自然を抱く緑あふれる街として街路樹はもちろんのこと公園の設備が充実していること。そして地盤がしっかりとしたところに立地しているため、地震の災害リスクが少ないとされています。
また、こちらも車道と面していない歩行者専用道路を設備することで、子どもや高齢者も安全に暮らせる街になっています。
高蔵寺ニュータウン
高蔵寺ニュータウンは、愛知県春日井市東部の丘陵地帯にあります。2023年4月時点で人口は4万2153人です。『ほっとできるふるさとでありながら、新たな価値を提供し続けるまち』として、7つのエリアに分かれて発達しています。
特に個人的に面白いなと思ったのは、ニュータウンにある「グルッポ ふじとう」の取り組みです。
この建物は多世代交流拠点施設として存在しており、旧小学校の校舎をリノベーションして開所されています。まなびや交流、居場所などをコンセプトにしており、図書館や児童館、カフェや支援センターなどの充実した施設で構成されています。
感動したところは、開所して6年経った今でもイベントが続いていることです。私の小学校や地域は少子高齢化によって、どんどんイベントがなくなり、またコロナもあり消えてしまったイベントが数多くありました。
私の地域にも、もっとこのようなイベントがあったら、よかったのにな…と思っています。継続の力は大きいです。
ニュータウンの課題
少子高齢化の進行に伴い、住居者の孤独死、土地の利用と居住者のニーズの乖離や空き家が増加するという問題が考えられています。
空き家とは、いわば適切に管理されなくなってしまった住宅のため、そのまま放置すると老朽化による倒壊だけでなく、景観の悪化、放火による火災、雪の降るところでは落雪などが考えられます。
また、持続力のないニュータウン開発では、インフラの老朽化問題もあげられます。
継続的に管理する費用や管理体制を整えないと、災害時に水道管が破裂し断水になりやすかったり、救助活動までの道が液状化でふさがってしまったりと様々な問題が考えられます。
オールドニュータウン問題として、これらの課題は挙げられており、オールドニュータウンの再生として多くの都市が構想を出し合っています。
個人的にはニュータウンには「誰もが住みやすい工夫」、言い換えればユニバーサルデザインやバリアフリーの施設があるのか気になります。これに関しては実際に行ってみるまでわからないので、大学に受かったら行ってみたいです。
まとめ
ニュータウンとは、高度経済成長期において都市部の過密化による住宅不足に対応するため、大規模な都市開発を行い、多くの住宅を提供する街づくりの方法でした。
その材料はもとある街を区画ごとに整備しなおしたり、土地を丸ごと作り変えてまったく新しいものにしたりと2つの方法が主に存在しました。
日本三大ニュータウンである千里ニュータウン、多摩ニュータウン、高蔵寺ニュータウンを主な例として、現在のニュータウンについて触れていきました。
他人とのコミュニティとともに生きていく人間。今日の夜寝るときの考え事は、街のコミュニティのあり方を、ここ岡山で考えてみた…ですね……すや………….