【きくこと】 第10回 建築家 高橋昌之、ハラヒロカズ
髙橋昌之
建築家。髙橋昌之建築設計事務所代表。1986年茨城県出身。2011年から西沢大良建築設計事務所にて勤務し、2016年に独立。店舗や住宅を中心に、さまざまな空間を手がける。2020年に、JCD中部支部の第5回中部商空間賞にて金賞を受賞。
原広和
建築家。ハラヒロカズアトリエ代表。1986年神奈川県出身。2012年から三家大地建築設計事務所にて勤務し、2019年に独立。2019年に、小田原市立豊川小学校内装木質化基本設計・実施設計業務プロポーザルにて最優秀賞を受賞。2020年に、JCD中部支部の第5回中部商空間賞にて金賞を受賞。
染谷:「図書館について語るときに我々の語ること」を始めていきたいと思います。
廣木:よろしくお願いします。
染谷:株式会社ひらくの染谷拓郎です。よろしくお願いします。
廣木:図書館総合研究所の廣木です。よろしくお願いします。
染谷:今日は超図書館総合研究所という場所ができたばかりでして、ここからお送りしていきます。今日のゲストは、この超研を設計してくださった高橋さんとハラさんお2人をお呼びしております。今日は割と設計とか空間の話が中心になっていくかなと思うので楽しみです。早速呼んでいきましょうか。高橋昌之さん、ハラヒロカズさんお願いします。
高橋:よろしくお願いします。
原:よろしくお願いします。
染谷:横並びだとちょっと話しづらいというか緊張しますね。今回の超研の設計と空間の全部を作っていただいたお二人ということで今日は色々お話を聞いていきたいと思います。簡単にお二人の自己紹介とかキャリアみたいなところをお話しいただいてもいいですか?
高橋:こんにちは。高橋昌之建築設計事務所の高橋と申します。よろしくお願いします。
原:ハラヒロカズアトリエの原と申します。よろしくお願いします。
染谷:高橋さんと原さんの今までのキャリアというか、どういうものを今までやってきたとか、どれぐらいから設計活動をやっているかとか、今までの背景みたいなところをお話していただいても良いですか?
高橋:建築設計事務所で、原さんとは同門です。そこで設計活動、修行時代を経まして、基本的に設計を教えていただいたボス的なところがほぼ同門ですから、考え方がちょっと似ているところがあります。30歳前後で独立したんですけど、そちらを機に原さんと一緒に設計活動を行っているという経歴になります。
染谷:原さんも独立したタイミングが高橋さんと同じぐらいということですよね。
原:僕は2年ぐらいに後になるのですが、タイミング的に独立した時にお声がけいただきまして、先に高橋さんが独立されていたのでそれで一緒にやらないかと言われまして、一緒に今やっている形です。
染谷:いわゆる建築設計事務所で修行というか、所員として働いて、30歳ぐらいで独立するみたいな形が建築家の王道というか、コースとしてはあるという感じですかね。
高橋:そうですね。確かに大体30歳というところを目途に修行を。
染谷:タフな時代を越えて。
廣木:どういう事務所で修行というか、30歳までいらっしゃったんですか?
高橋:西沢大良さんという建築家がおりまして、ちょうど僕が入った時に三家大地さんという、またこちらも建築さんとして活動されてるんですけども、その方が独立した先にちょうど原君が。
原:三家大地さんがちょうど西沢大良さんのところを独立した時に、僕は(三家大地さんの事務所の)第1号の所員として働かせていただいたっていう。
染谷:西沢大良さんがまずいて、そこで働かれてた方が独立して、そこに原さんが入ったと。
原:そうです。
染谷:暖簾分けじゃないけど。
廣木:一緒にいたわけではないということなんですか?
原:一緒の事務所ではないんですけど、その時にまだ西沢大良さんのところに高橋くんがいて、三家大地さんが西沢大良さんのところに片足突っ込んで仕事をしていたのですが、その時にちょうど三家大地さんの事務所にちょっと呼ばれたりとかして、高橋さんとそこで初めて知り合ってという経緯です。
染谷:お二人とも大学で建築を学んで建築事務所に入って、そこから独立されてというルートなんですかね。
原:そうですね。僕は神奈川大学の曽我部昌史研究室にいたんですけども、みかんぐみの。そこで学部と大学院を過ごさせていただいて、そこから独立っていう感じですね。なので確かに高橋さんとは大学もちょっと違うんですけれども。
高橋:ただもう同級生なんです。1986年生まれなんですけども、年代が全く一緒なのでそこは話しやすいです。
染谷:一緒にやり始めて今何年ぐらいになるんですか?
高橋:4年目ぐらいです。
染谷:前にいろいろ話していて、手掛ける案件は美容室とかそういうのが多いみたいな話を聞きましたけど、結構いろんなジャンルの建物があると思いますけど最近だとどういうのがありますか?
高橋:やっぱり改修系が多いのかなと思います。新築って今はオーバー状態で。やっぱり手っ取り早く設計できるというと、こういう改修案件ですね。今回もテナントありきの改修案件ですから、そういったところでの設計活動が多くはなっていますね。
染谷:確かに新築で建てるっていう機会がもう建築家のフィールドとして結構少ないということですよね。そもそもリノベーションとか改修が多いんですよね。
原:そうですね。都内だと空き家問題がありますよね。郊外も一緒なんですけど、そういった問題からリノベーションのお話を受けることがやっぱ多いですね。そういう昨今の問題に取り掛かれるというのは、これからの建築の問題定義にも繋がるので、そこに今取り組めるというのはちょっと楽しい部分ではあります。
廣木:図書館も計画とか構想とか作るんですけど、今だいたい改修、改築とかなんですよ。新築って全くゼロからってやっぱりほとんどなくて。今築40年、50年とかっていう図書館ってすごく多くて、建てられたのもその頃いっぱい建てられてて今ちょうどそのピークが来てて、改修とか改築しないととかっていう案件が多いので、今お話聞いて普通の図書館以外の建築もそういう傾向なんだなっていうのはちょっとなるほどと思いました。
原:近代以降に作られた建物が今ちょうどピークを迎えていて、それが耐震補強だったりとか、そういう使われ方っていうところを更新する時期でもあるということですね。
染谷:やっぱり改修とかの方が諸条件っていうか前提があるじゃないですか。ゼロから考えるんじゃなくて前提が多いと思うんですけど、やりやすさ、やりづらさで言うとどうなんですか?逆に前提とか取っ掛かりがあった方が思考が進んだりもするんですか?
高橋:僕らの事務所はやはりゼロから作るっていうクリエーションをメインにやってきた部分がありますから、やっぱりどうしても躯体部分の設計、そこをどう取り掛かるか、どう作るか、これはやっぱり本来的には考えたいところではあります。なので今回もここをやらせていただいたときに、天井をいじれない、壁も触ってはいけない、その時に建築的にどう解釈というかアプローチできるのかなっていうのはすごく悩んだところではありますね。
染谷:この空間がどんな空間なのかっていうのはまた別の紹介動画で流していこうかなと思ってるんですけど、今回設計する上でこういう使い方をしたいですっていうお話は僕の方からお伝えしたんですけど、実際にこの印象的な大きいテーブルとかも含めてどんな風に思考していったんですか?
原:諸条件で今いただいていますが、ラボ、スタジオ、オフィスというのをどう繋げるのかというところをまず考えさせてもらいました。あとは先ほどの話にも繋がるんですけども、やっぱり改修の案件だとどうしても内装で躯体をいじれないと。それで常々最近考えてることとして、「内装を超えていきたい内装」という形でやりたい。どうその内装を超えるかというところを昨今ずっと考えてまして。ここの超図書館研究所さんと同じような形だとは思うんですけども、やはりどうしても内装は内装で止まってしまうので、それをどう変えていけるかというところが今興味があるところなんですね。なのでここも大きいテーブルっていう形で作らせてもらったんですけども、仕上げとかもちょっと特殊塗装で石っぽくしたんですよね。そうすることによって、外部環境みたいなのを取り込みつつ、なおかつ鏡面にさせてもらったことによって、外の光関係、自然現象みたいなものを室内に取り込むことによって、来た時、その時間帯によって移り変わっていくとか、そういう体験のところまで含めて何かできないかなっていうので、でっかいテーブルで、人の行為みたいなものをちょっと誘発しながら、屋外環境みたいなところも作れないかっていうところを考えさせてもらったっていう形ですね。
廣木:お二人の役割分担っていうのはどういう感じになってるんですか?
高橋:基本的にこういうアイデアはお互いに出します。それがよりよく伸びそうな方をベースに、ブラッシュアップして作ってます。
廣木:そうすると割とこのビッグテーブルとかは原さんアイデアとかそういう感じなんですか?
原:そういうことでもなく、お互いのディスカッションによってこのビッグテーブルは生まれてきました。
染谷:いいですね。その「内装を超える内装」っていうのはなんかキーワードとして面白いなと聞いてたんですけど、建築と内装っていうか、インテリアデザインの大きな違いというのは、躯体とか構造に触れないっていうのが内装の定義になるんですか?どういう定義というか、建築と内装は何によって分かたれるものなのかっていうのはなんかあるんですか?
高橋:確かにそこの定義は人それぞれもちろん違って然ると思いますね。例えば高級なホテルとか、いかに良い素材を使ってきらびやかな装飾をしてお金をかければ、内装というのはいくらでも多分(お金を)かけられると思うんですよね。ただもちろんそうではなく、そこで起こる行為みたいなところをどう解釈して、どう新しい場を生み出すか、これが多分建築的な意味じゃないかなと思っています。なのでここもすごくきらびやかな内装や装飾的なものがあるわけではないんですけども、見たことのない長さの距離感であったり、そういったところでいろんな機能が内在している。(この超研は)オフィス、ラボ(という場で、この場で起こる)行為から机っていうのは必要不可欠なものでありましたから、そこをどうしたらより面白い机として使えるか。
廣木:例えばこの机とかも実はこれ固定されてないじゃないですか。床材の上に実際のところは載せてるだけっていう。結構この建物のハードルがすごい高くて、いろんなところをいじっちゃいけないみたいな中で、それはまさに内装の中でどれだけそこから超えていくかっていう形だったと思うんですよ。だからその内装を超えるっていうのは、なるほどしっくりするっていうか、すごい制限の中でもどれだけこう魅せてやろうっていうか、そういう今までないアイデアを出してくれたんだなと思ってずっと見てたんですけど、そういう感じですかね。
原:そうですね。そういう形っていうのもあるんですけども、行為っていうところ、やっぱり人が必ずしも内装も入るので、このでっかいテーブルを作ったことによってそれが人の行為をどう誘発できるかっていうところだとは思うんですよね。
染谷:空間が人の行為を誘発するっていうのは、その建築的なアプローチでは大学時代とかに教わるものなんですか?アフォーダンスみたいな話ですが、その空間によって人の行動が定義されたり、こういうふうに想起されるみたいな、そっちにこう寄せていくみたいな感じっていうのは、建築学的には割とベーシックな考え方なのか、お二人がいろいろやっていく中でそういう風になってたとか、何か師匠とかそういうところから来たものなのかっていうのはどちらですか?
原:ベーシックに建築の計画学では確かに学ぶところではあります。街中のアフォーダンスっていうところで、どうやって人が誘発されてそれを使うのかっていう勉強はしますが、計画学的に学ぶだけなので、それを実際にどう設計に落とし込むのかっていうところまでは、学ぶっていうよりかは自分で自発的に進めていくっていうところではあるんですよね。でもそこを、アフォーダンスもそうなんですけどもアフォーダンスだけじゃなくて、外部環境とかその自然現象だったりとか、そういうものも取り込みながら人の居場所みたいなものを作れれば一番いいかなと最近は思ってますね。
廣木:今日の午前中にVIVITAの穴山さんたちが遊びに来てくれて、VIVITAさん(穴山さん)ってこの「語ること」にも出てくれたんですけど、ファブスペースというか、いろんな3Dプリンターとかデジタル工作機器を使って子どもたちのクリエイトを支援する人たちなんですね。この超研の中にもそういうファブ機器っていうのがあって、それも含めて遊びに来てくれたんですけど、パッと空間見て「これいいね」と。なんかこれだけのビッグテーブルだといろんな活動が個々にもできるし、あるいはこの中で一つの活動ができるしっていうのが直感的に、ここでできる行動がすぐ頭の中に思い浮かんだみたいで、なんか今の話とすごいリンクするっていうか、そういうのを呼び起こす設計なんだろうなと。
染谷:みんなが一緒に同じ空間の中にいる時にみんなが一緒のことをしてるっていうのは、僕は個人的にはそんなに得意じゃなくて。同じ空間なんだけど、それぞれのことをしていて、でもなんかちゃんと繋がってるみたいなのが大事っていうか。僕らがその本を読めるスペースみたいなのとかを作ってる時に、みんなそれぞれ違う本を読んでいるんだけど同じ空間にいる感じっていうか、なんかこの空間にいる仲間じゃないけど、知り合いでもないんだけど、なんかこう許せあうっていう、同じ空間をシェアできてるみたいなその感じが僕はすごい好きなので。同じ空間の中で違うことをやっているけれども、それは全体としてはなんか認められているみたいなことってすごいいいなと思ってます。
原:最初確かにここを見させてもらった時にザ・オフィスみたいな感じの空間だと思ったんですよね。割と正方形に近いと言いますか、その中でどう区切るのかっていうところを考えてしまうと、やっぱ開口部も限られてしまいますし、それを区切ったところで、オフィス感がより増してしまうというところをちょっと気にしてまして、それだったらいっそのこともうそんな間仕切りなしで、みんなが入れる居場所みたいなものを作ってあげた方がこの場所にとってはいいのかなっていうところは思ったので。それでもう全部ワンルームみたいな感じで使わせて頂いて、それででっかいビッグテーブルで、距離感のお話も先にあったと思うんですけど、人がそれぞれ個々でもいれるし、みんなで集まれるしっていうところに繋がっているのかなと思ってます。
廣木:あとすごい広々してるんですよね。まだオープンする前ですけど、結構お客さんとかちょこちょこ呼んだりしてみてもらったりすると、「広いですね」という感想があって。元々ここに他の組織が入ってた時は「狭いですね」って感じだったので、これは成功なんだと思うんですよね、広々したこの空間っていうのは。
染谷:広さを感じるみたいなのは設計するときにどういう風に考えるものなんですか?
原:この前の設計した案件もそうだったんですけど、僕らは設計するときに、行き止まりとか溜まるような所っていうよりかは、空間の中でシームレスに続いているような感じでデザインすることを心がけています。前回は守谷市の守谷駅の近郊で「ブランチ」というところですね。和菓子兼カフェの内装の設計をさせてもらったんですけど、その時はちょうど真ん中に全部諸事情の水まわりとかを置いて、その周りを人の居場所兼カフェで使える座席っていう形で使わさせてもらったんですけども、その時もシームレスに人が行き止まりがなく、個々で居場所を作りながらそのカフェを楽しめるっていうところを心がけて設計したんですね。なのでそこから同じ考え方で、今回もシームレスにずっと繋がっていくような形で考えさせていただきました。
染谷:例えばこの木下さんのビジュアルとかもそうですけど、一目見るとこれは木下さんのものだみたいな、その人らしさとかシグニチャーみたいなのってすごい大事だなと思っていて、「この人にお願いしたい」みたいに思うのってやっぱその人らしさが出ないといけないと思ってるんですけど、そういう意味ではお二人のシグニチャーとか、らしさみたいなところは、今のそういうシームレスみたいなところの他に、これは俺たちがいつもらしさとか武器とか建築家としてこういうところが出てくるんだ、滲み出るんだみたいなところでいうとどういうのがありますか?
高橋:決めてはないですね。その場所ごとに特性だったり性格だったり条件がバラバラですので、やっぱりそこより最大限にかつ良いものにっていうのが常々の設計思想なので。確かにでも今回のこの特殊塗装だけは他にはない、ここだけで類似ものはないので、これは確かに僕らがやったというはいえるかもしれないです。設計思想としてはそういうのはないです。場所ごとに考えているというのが常です。
染谷:超大御所と言われる建築家の方って、これを見ればこの人だみたいなのってあるじゃないですか。このコンクリートの使い方とかこのルーバーがみたいな。例えば今30代とか40代ぐらいの建築家の方っていうのは、そういう自分はこの素材を使うぞとかじゃなくて、場所ごとにやっていくみたいな方がどっちかっていうと多い感じなんですか?今の話だと、これが自分の必殺技だみたいな仕方じゃなくて、場所ごとに変わってくっていうことですよね。でもその考え方とかに思想が出るっていうからしさが出るみたいな、アウトプットの色とか素材じゃなくて、考え方にらしさやシグニチャーが出るみたいな話なのかなと思ったんですけど、どうですか?ご自身もそうだし周りのその建築家の動きとかも含めてそういうのってどういう感じですか?
原:確かにおっしゃる通り、昨今僕らの世代はやはり抱える問題が結構複雑になってきてるなという風には思ってまして、大御所たちの世代が近代建築以降抱える問題は、それほどパラメーターが多分多くはなかったと思うんですよね。なので今は皆さん共通してるとは思うんですけど、どう自分たちの方向性を考えるのかっていうところを含めて、その建築の思想をこれだっていう感じで決めず、それをどう自分らしさという形で解いていくのかっていうところに今向かっているのかなと思ってます。なので扱うものが多様化になってきたためだとは思いますね。
廣木:割と3,40代ぐらいの建築家とも色々図書館なんかでお付き合いありますけど、やっぱり色々まあ土地土地で、その土地に特有の、案件特有のそこから考えるってみんなされてるんですけど、やっぱりなんかこうこの人が作ったなっていうのが滲み出るものってあると思うので、多分なんかそういうのあるんでしょうけどね。
染谷:そうですよね。公共図書館とかいつかやってみたいとかありますか?なんかこういうのをやりたいみたいなのあるんですか?例えば劇場を作りたいとかホールを設計したいみたいな方もいれば飲食店が得意な人もいればとか、住宅をひたすらやり続けるみたいな建築家の方もいるじゃないですか。なんかこういうゾーンはちょっと興味あるなとかやってみたいなみたいなのありますかお二人。
高橋:僕なんかは比較的あまり人対人みたいな用途でないもの。だから本当に馬小屋とか、豚小屋とか、トイレだけを作るというのも面白いですし、用途があまり人の思想が及んでないような場所をやりたいです。あんま機会ないですけどね。
染谷:それ面白いですね。人の用途がない場所。
廣木:それはなぜですか?
高橋:人じゃなくなりたいのか…。冗談ですけど、なんかまだそのあたりっていうのは考える余地が本当にあるというか、ちょっとまだあまり深く考えられてない気はします。
染谷:建築家のまだ領域として入ってないみたいな。
高橋:求められてないっていうのもあるんですよ。でもそういったところ行くとまだまだやり方はあるなと。
染谷:確かにそれは面白いですね。原さんはこういうのをやってみたいとかありますか?
原:僕はどっちかというと、今まで大学で学んできたのが街づくりとかがメインだったので、そういう街に対してなにか提案できるようなところに突っ込んでいきたいなとは思ってます。それは公共施設なのか何なのかっていうのはあるんですけども。なのでそうですね、高橋さんとは少し違うかもしれないんですけど。
高橋:原君は王道ですね。
染谷:建築家の上がりみたいなのは、住宅から始まって最後はすごいでっかい公共施設みたいなところが割とこうオーセンティックな建築家としての始まりからゴールみたいな言われ方するじゃないですか。でも今は建築家でも全然いろんなアプローチがありますよね。自分で商売をしながら場所を持つ人だっているしみたいな。街づくりに行きたいっていうのはどういうところから来るんですか?人のより良い暮らしを自分の作ったものでそれが少しでも寄与するといいみたいなそういうところがあるって感じなんですか?
原:そうですね。やっぱり街づくりっていうのは自分の周辺環境を含めて変えていける可能性があるなと思っていまして、それが人の住みやすさだったりとか暮らしやすさだったりとか、これからの人に対しての可能性がすごい含まれているところだと思うんですよね。
廣木:高橋さんと真逆じゃないですか。
染谷:人じゃないところと人と。それこそシームレスじゃないですけど、あったら面白いですよね。動物が暮らすところと人間が暮らすところって別に離れてない。離れてるところもありますけど繋がってるようなところもあるわけだし。ちょうど僕昨日たまたまですけど近所のギャラリーで、そんな高いものじゃないですけど絵を1枚買ったんですけど、それは牧場で暮らしながら馬のお世話をしてる人が描いた絵で、馬とか犬とか人間とか描いてるんですけどそれがすごいいいなと思って。2頭の馬がいるだけの絵を買ったんですけど、その人間じゃないものを見る眼差しみたいなのがすごいいいなと思ってそれを買ったんですけど。ちょっと今リンクしました。
廣木:こういう2人だからいいんでしょうね。なんかこの塗装と一緒で混ざらない塗料を2つ混ぜてこういう模様を、美しさが出てるんですけど。なんか思想的には多分お二人ちょっと違うっていうか、違うものを目指していて、話は多分合うっていうのはあるんでしょうけど、それがだからこうやって一緒に混ざり合って一つのものを作る時に、他にない美しさが出るっていうそういう感じなんじゃないですか?違いましたか。
高橋:よくいっていただいて。ありがとうございます。
染谷:意見が全く割れることはあるんですか?
高橋:確かに意見が割れることはありますけども、最終的に出来上がるものはやっぱり好みも似てるのか、ある程度まとまって出てくるなと。
染谷:それはいいですね。それは大事ですね
原:なので2人でやってるその良さが出ていたらいいなと思ってます。なのでこのテーブルも廣木さんがおっしゃった通り、科学反応で分離してるそのままの模様になってるので、そういう現象みたいなところが僕と高橋さんの中で少しあるのかなと。二人でこういう話す機会ってあまりないのでいい機会をもらえたなと思います。ありがとうございます。
染谷:ありがとうございます。いやいいですね。この空間は実際に見てもらわないとなかなか体感できないと思うんですけど、超研は今は一般開放って形ではないですけど、今後メンバーシップとか、なんかいろんな方を巻き込んでいきたいなと思ってますので、お二人にも何かその建築的なアプローチでのワークショップとか本と絡めてみたいなのはぜひ今後もできたらなと思いますので、その際はよろしくお願いします。
原:ぜひよろしくお願いします。
廣木:最後に質問、藤子不二雄で言ったらどっちがFでどっちがAなんですか?
高橋:なかなか考えたことがないですね。
廣木:でもあれですよね、絶対高橋さんAですよね。
染谷:そうですね、そんな感じがします。
廣木:原さんは広がりのあるというか、高橋さんはなんかこうダークなところをついていくっていう。
染谷:そうですね。結構わかりやすくキャラが違う感じはしていて、それがやっぱり魅力的だなと思いますし。
原:そうかもしれないですね。
廣木:すいません変な質問して。
染谷:ありがとうございます。お二人が言ってたこれから建てたいものみたいなところで、もし僕らのプロジェクトが合流できるのであればご一緒したいなと思ってます。
高橋:それはぜひ呼んでいただきたいです。
染谷:それでは図書館について語るときに我々の語ること、今日のゲストは高橋さんと原さん、こちらの超研の設計をしていただきました。お二人ありがとうございました。
廣木:ありがとうございました。
高橋:ありがとうございました
原:ありがとうございました。
2022年11月25日収録