なんで話が嚙み合わないのかやっと理解した話。
期せずして、またフェイスブックでの話になりました。
前回のは単なるフェイスブック内のコミュニティの話で、言ってみればどこの誰かも分からないアホの話だったからまだマシだったのかも知れません。
というのは、今回のはリアルで面識のある方の話だから。
ことの発端は今を去ること数日前、八月二十四日のこと。
福島第一原発の汚染水を放出し始めたことにあります。
日本政府や東電は「薄めているから安全」だと主張し、大手メディアもそれを垂れ流すだけの広報と化しています。
IAEAが「お墨付き」を与えた(という、これまたデタラメ)ことで、「処理水は安全」という主張をする連中は図に乗り始めました。
で、今回私にしつこく絡んできているのは、そんな連中の一人。
アホらしくて見返す気にもなりませんが、その主張をざっくりまとめてみると、
「専門機関、専門家が安全だと言っているんだから放出はなんの問題もない。処理水を『汚染水』などと呼んでいるのは『運動家』 などの反対派だけ」
だそうです。
それを言うなら、汚染水を「処理水」などと呼んでいるのは賛成派のアホだけなんですけどね。
彼の主張はこう続きます。
「薄めているから危険はないし、海水の量に比べれば微量だから無視してもかまわないレベル。安全性は確定している。もし反対派が主張するような危険性があるならば、なぜ専門家はテレビでそう主張しないのか」
この国のメディアが本来の権力監視機能を維持していると思っているあたり、彼は実に「良い人」なのだと思います。
一応言っておきますが、今回の放出が100%生態系に影響を与えるとは、私も主張していません。
ただ、データ(科学的根拠)も無いのにその危険性を完全に無視しているのはおかしいと言っているのです。
彼は「モニタリングを続けながら放出して、なにかあったら放出をやめればいい」とも言っていました。
「なにかあったら」じゃ遅いという、小学生でも分かりそうなことを言い出したあたり、もはや憐憫すら感じます。
そんなことを主張して良いのは、「なにかあった場合に垂れ流す前の状態に復旧させられる者」だけじゃないですかね。
味噌汁をこぼした後に、こぼす前の状態にしろという話なのです。
布巾で拭くんじゃダメですよ、布巾が汚れるという「変化」が残るので。
言うまでもなく、海中にばら撒かれた汚染核種の原子レベルまで責任を持って回収しろという話です。
世界中の何処を見ても、「メルトスルーした核燃料に直接触れた汚染水を長期に渡って垂れ流した場合の環境に与える影響」なんていう実証実験は存在していません。
データが存在しないということは、当然「その安全性が確定」するわけがないのです。
つまり、どれだけ採点を甘くしようが、彼の主張は「科学的」とはほど遠いものだと断言できるのです。
そして、科学的な根拠もなしに盲信するのは、カルト新興宗教の思考回路と完全に同じです。
似非科学は数々ある昨今ですが、最新のネタが「処理水安全教」ですね。