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民間企業からユースセンターへ。中高生のキャリア教育が私のテーマ

学校でも家庭でもない、中高生(ユース)のための第3の居場所である “ユースセンター” 。カタリバでは文京区の中高生が放課後や休日を自由に過ごすことができる「秘密基地」として、ユースセンターb-lab(文京区青少年プラザ)を運営しています。

そんなユースセンターで働くスタッフ(ユースワーカー)へインタビュー!第3弾のゲストは、キャリア教育に軸を置いてユースセンターb-labで働いている山口 さゆり(さゆりん)さんです。

民間企業で働いたのちにユースワーカーとしてのキャリアを築く選択をしたさゆりんさん。ユースセンターに興味をもったきっかけや、中高生と接するときに意識していることについて聞きました!

若い頃から自分のキャリアと向き合う大切さ

 ー まずは簡単に自己紹介をお願いします。

ユースセンターb-labへ入る前は、日本郵便とエン・ジャパンの2社を経験しています。日本郵便では個人宅への営業や、社内の人事労務の仕事としてメンタルヘルス不調になった方の復職支援、営業パーソンの育成などを行い、エン・ジャパンでは求職者の転職サポート業務を行っていました。

 ー 民間企業からユースセンターへ転職したきっかけについて聞かせてください。

まず日本郵便からエン・ジャパンへ移った経緯からお話しますね。日本郵便でメンタルヘルス不調になった方たちの復職支援をしていたときに、仕事や人間関係が上手くいかずストレスを抱えている人をたくさん見て “人と職のマッチング” はすごく重要なことに気づき、キャリアコンサルタントの仕事をしたいなと思いエン・ジャパンへ転職。

エン・ジャパンへ移った後は、主に求職者の転職サポート業務を行っていました。そんな中でなぜカタリバへ転職したかというと、きっかけは求職者との面談でした。「なぜこの大学へ入ったのですか?」「なぜこの会社を選んだのですか?」と質問を投げかけると、「なんとなく選んだ」と、あまり深く考えずに進路や職業を選択をしている人が多い印象を受けたんです。

10代のもっと若い頃からキャリアについて向き合う時間が作れていれば、また違ったのかな……?と感じるとともに、10代の意欲と創造性を引き出すことを目指したキャリア学習プログラムを運営していたカタリバに魅力を感じ転職しました。

学校と家庭があるからこそ、第3の居場所が機能する

 ー 現在、カタリバが文京区で運営するユースセンターb-labで働いているさゆりんさん。主にどんなお仕事をしていますか?

大学生ボランティアやインターンの方々のマネジメント、職員の研修・育成をメインで行っています。

また、文京区にある中学高校にb-labのスタッフが出張し、キャリア学習プログラムを届ける「出張b-lab」や、文京区在住・在学のまだ見ぬ中高生に出会うためにb-labが地域に出張する「One Day b-lab」の運営、地域の方々とコラボしてb-labの中高生が地域で活躍するステージを作る地域連携事業なども私のミッションです。

ユースワークをやりたいと思っている人を裏で支えるのが、私の役割だと思っています。

 ー マネジメントを行ううえで意識していることはあれば教えてください。

私が正解をもっているわけではなく、むしろボランティアやインターン、他の職員から学ぶことの方が多いので、こちらから「こうした方が良いよ」というのではなく、きちんと対話するのを意識しています。

 ー スタッフだけでなく、日々中高生と関わるうえで気をつけていることはありますか?

子どもたちが、相手が不快に思うような行動や、誰かを傷つけるような行動をとっていたら、「私は心配してるよ」というように自分が思っていることを伝えたうえで、ときには叱ることもあります。

ユースセンターの価値はもちろん理解していますが、学校があって、家庭があって、それらを尊重してこそb-labが第3の居場所と言えると思うので、b-labが中高生の発達を阻害していないかな?ぬるま湯になってないかな?というのは常に意識していますね。

 “ユースセンター” や “キャリア教育” の専門性を高めていく

 ー ユースワーカーとして働くさゆりんさんが、今後実現したいことがあれば聞かせてください。

ふとした瞬間に自分のキャリアを考える機会は1年を通して何回かあると思うので、その瞬間瞬間に気づいて寄り添えるユースワーカーを増やしていきたいです。そのためには子どもたちだけでなく、スタッフとも一緒に「自分らしく生きるとは何か」について対話していきたいですね。

また、公教育を知らずにユースセンターの価値は語れないと思っているので、いつか公教育の現場に行きたいです。

 ー それは、教員として働くということでしょうか?

はい。第3の居場所だけでなく学校現場も経験することで、キャリア教育に関する考えの幅を広げてその道を極めていきたいと思っています。


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編集後記
ボランティアやインターンの方と接するときだけでなく、中高生と接するときも「自分の意見を押しつけず対話する」ことを意識しているというさゆりんさん。常に周りの人から学ぶ姿勢をもちつつも、 “キャリア教育” を軸に自分にしかできない関わり方を模索している姿が、周りの人をまた押し上げていく……そういう良い循環が生まれているように感じました。

文:森田 晴香

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