MW論文について補足
そもそも私がマスター・オブ・ウイスキー(MW)をはじめとするウイスキーコニサー資格を取得しようと思ったきっかけは、MWの論文試験にあります。
当時、ジャパニーズウイスキーに関するある種の怨念(論文その4「Ⅴおわりに」に詳しいです。)を抱いていた私は、
ジャパニーズウイスキー(JW)の現状を何とかしないと
⇒私がひとりで叫んでも仕方ない、誰かを巻き込まなければ
⇒巻き込むならレジェンド土屋守先生だ、訴えるにはどうすればいい?
⇒そうだ、論文書こう!
という、今にして思えば相当飛躍した理屈で、コニサー取得を(というか、論文試験の受験を)志したわけです。
なお、論文を提出した時点で目的は達成することから、その後のことはあまり考えておりませんでした。ですので、MW取得まで至れたのは(もちろん勉強はしたものの)運がよかったとしか言いようがありません。
ともあれ論文のテーマは初めから決まっていたようなものですし、何を書こうかということも、それこそウイスキーエキスパート試験を受験し始めた2年前から着々と準備していました。
具体的に書くと決めていたこと(そして実際に書いたこと)は、次のとおりです。
【論文に書こうと決めていたこと】
1 まず現状の問題点と、法制化の必要性を明らかにしよう
2 その上で、どのような形で法制化するかを検討しよう
3 その法制化実現の手段を検討しよう
4 その手段のための具体的なアクションとロードマップを示そう
色々と調べながら書いた論文は、結果的には3万字を超える大きなものとなってしまい、それこそ論文の「レギュレーション違反」となってしまったため、泣く泣く項目の4その他、論文の一部を削ることとなりました(削った部分は次回のMW試験で提出しようと考えていました。)。
論文が大きくなったのは、項目2に多くの分量を割いたためです。
誰でも法制化すべしと簡単に言えますが、だからといって「(スコッチなどと同様)法律を作ればいいじゃないか」などと軽々な結論はありえないわけで、現実問題として現行法令のどこにJWのレギュレーションを位置づけられるか、詳細に検討する必要であると考えたからです。
書きあがった論文によって明らかになったのは、次の1点でした。
【論文によって明らかになったこと】
JWに関する問題解決のために改正等を考えうる法令は以下の4つ
1 景品表示法に基づくウイスキー表示規約の改正
2 JAS法に基づく特色JAS規格の制定
3 酒類業組合法に基づく表示基準の制定
4 酒税法の改正
今回、私が論文で明らかにできたのは「どの法令ならばJWのレギュレーションを受け入れられるか」について。そこまで踏み込んだ議論は、少なくとも私の見える範囲にはありませんでしたので、それなりの成果がもたらされたのではないか、と自負しています。
その上望外なことに、私はMWを拝命できました。
これは大変にありがたいことで、自分が論文において明らかにした法令改正に向けて、自らあちこちに働きかけができる資格を得たと考えています。
というわけで早速、MW取得後にあれこれと動いてみたところですが、実際に動いてみて初めてわかる壁というものがあり、なるほど、なかなか一筋縄ではいかなさそうだなと思案しているところです。
それでも、根気よく時間をかけて取り組めば突破できないものではないはず! という楽観的な所感もあり、今後も引き続き、関係各位とお話をしつつ、この問題に取り組んでいこうと考えています。
ですので、この記事をお読みいただいた皆様におかれても、どうか、お力添えをいただければ幸いです。