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「生贄にならないあなたへ」あとがき

 こんにちは。電楽サロンです。
 先日、note創作大賞2023に向けて書いた「生贄にならないあなたへ」が完結しました。

 無事に終わった……。
 読んでいただきありがとうございました。連載中の感想や読んだ後の感想を読んではニコニコしていました。本当にありがとうございます。

 せっかく完成したので今日は、お話の後書きを書いていきます。
 お話を振り返って文章にしておけば、あとで自分が何が好きで何が書きたかったか思い出せますしね。良いことづくしです。
 では、やっていきましょう。

 そもそも、「生贄にならないあなたへ」は遊戯王の二次創作で考えていたアイデアでした。塚本の生贄を出さないと告白できない体質は、「漆黒の豹戦士パンサーウォリアー」からきています。

遊戯王OCGカードデータベースより/KONAMI

 かっこいいですね。効果は

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの攻撃宣言の際に、自分はこのカード以外の自分フィールドのモンスター1体をリリースしなければならない。

 と書かれています。こんなイカつくて無頼な感じなのに、生贄にしないと攻撃できないなんてかわいらしいですね。
 まず、パンサーウォリアーの効果を現実に当てはめて考えました。現実にいるならどうなるだろう。生活してて攻撃するってあんまりないよな……。じゃあ行動するには生贄が必要だとして……そういえば、好きな人にアプローチするのもアタックって言うなぁ……告白に生贄が必要なのかも……これならいけそうだ。
 こんな連想ゲームで骨子が思いつきました。ただ、それ以上話の展開が思いつかず長らく塩漬けにしていました。
 それが今回、note創作大賞に恋愛小説枠で応募があったのでもう一回考えてみることにしました。
 告白に生贄が必要なシステムを残して、登場人物を作りました。それが塚本です。告白でバラバラになるのは面白い。できればたくさんバラバラにしてほしい。彼は氷川にガンガン告白してガンガン振られるので、友達が端から肉吹雪になっていきます。
 すごい自分勝手なんですね。だから、生贄にしても思い悩まない。そもそも告白で振られるほうが彼には悲しいことですから。

 塚本がこんな調子で、話の主軸に置くには異常すぎる……となりました。ならまともな友人役に語らせることにしようと、木戸が出来ました。結局、塚本と格を並べさせないと友達にならないので、思ってた性格とは別に進んでいったわけですが……これはこれで良かったです。

 恋愛小説は主人公と相手が、色んなシチュエーションの中で互いの好きな部分を見つけていくのが面白みだと思います。あとは、そのキャラクターたちと読む側が時間を共にして、心の距離が近づいていくさまを見られる楽しさもあると思います。

 私はとにかく暴力の中に押し込むことで、この面白さを引き出そうと思いました。危険なシーンに身を置いたキャラクターのアクションによって関係の発展を期待しました。半分くらいは成功したと思います。

 それともうひとつ、話を書く上で日常シーンを書くのがあまりにも苦痛でした。学園ものなら放課後の寄り道や休日のお出かけを入れるべきでしょう。ですが本作の場合、それよりも人をバラバラにするシーンを入れた方が面白くなる確信があったので、告白シーンだけに絞って最低限の恋愛小説としての体裁を保つことにしました。いつかちゃんと恋愛小説が書ける人になりたい……。

 今回は、投稿する上での発見もありました。
 「生贄にならないあなたへ」は、最初に全部書き上げて少しずつ投稿していくシステムをとっていました。これは連日投稿によって話題になれば程度の試みでしたが、読んでくれた人の感想で何に注目するか、疑問に持つかがリアルタイムで分かったのが収穫でした。一人で書いていると気にしなかった部分も、他の人の目で見ると分かることが多かったです。木戸の父母については感想を見ながら追記していました。

 もうひとつ連載のシステムで思わぬ出来事が起こりました。noteの下書きに保存していたストックが消えてしまったのです。
 普段はGoogleのドキュメントで編集してるのですが、横着して下書きにいれていたらコピペミスで丸ごと消し飛んでしまいました。よりによって六話の西洋甲冑を出した後だったので大慌てです。そこからは記憶を頼りにストックのない更新をしていました。
 ストックのない更新は焦るけれど、楽しかったです。自分が書いたことから先を予測して一番面白い展開にして期待を煽る。そうすると期待に応えないといけないから、より責任感が湧いてきて書けてしまう。毎日、パズルを解いてる気持ちで眠いけどやめられない。続けてたら、考えすぎでいつか車に撥ねられそうです。
 そんな連載のおかげで甲冑の話はだいぶ面白く書けました。アーマーゲドンや畑一族の秘密は書いてるうちに足していったものです。畑アーデルベルトを探して鎧が彷徨い続けてるのを最後に回収できたのも、書き直したおかげでした。振り返ると、一度書いた後に書き直すと話の厚みが出て面白くなっている気がします。

 ラストはずっと迷っていたけれど、氷川に好きなものが出来て嬉しかったです。興味がなかったものに良さを見出す瞬間が大好きなのでこうなってくれて良かった。
 木戸も塚本も氷川も互いが好きなわけじゃない。それでも一緒にご飯を食べて絵を見てはしゃぐことは出来るんじゃないかな。そうだと良いな。
 私は芸術や食べ物がくれる喜びをすごく信頼してるのかもしれません。

 終わりに。お話を作るとEDに何の曲が流れるかなぁと想像します。
 「生贄にならないあなたへ」のEDは「俄然 Yeah!」です。
 どれだけ肉吹雪にしてもポジティブに進んでほしい。

【おしまい】



 今回、パンサーウォリアーは出せませんでしたが、カードゲームのキャラをモチーフにしたお話にはこちらがあります。

星型のピノに喜んでたらスカルライダーがやってきた!人を轢きながら恋を育む。


引っ越しのために荷物整理をしていたヘリオス・ティガ・ドラゴン。ふと社交ダンスの衣装を見つけ、ありし日の恋に思いを馳せる。


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