シェア
電楽サロン
2022年10月29日 12:26
アパートの階段を降りると、クマゼミが死んでいた。仰向けでピクリとも動かない。 危なかった。踏む直前に気がついた。通り過ぎていればクマゼミが大暴れし、階段から転落死もあったかもしれない。 私は階段の両側の手すりに体重を預け、両足を浮かす。下手くそな吊り輪の選手のポーズのまま、よちよちと手を前にずらしていく。この瞬間にも、クマゼミが騒ぎださないか心配だった。手汗がにじみ、錆びた手すりから滑りそう