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電楽サロン
2021年4月5日 11:33
信濃国、仁科の里へ向かう山道はすでに夜の帳が下りていた。人気のない闇に立つ3人の影と、6匹の狼。1人は深編笠の素浪人、2人は子供であった。「怖いよう」金太が深編笠の袖を掴む。「大丈夫、大丈夫よ」もうひとり、お松も気丈に振る舞うも肩が震えている。「すみません、私たちのために」お松と金太が狼に襲われかけているのに、この浪人が通りかかったのだ。狼たちは唸り声をあげ、半円を縮める。狼