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野晒目貫③ 町彫目貫の陰陽根の不思議
②はこちら
目貫には陰陽根と呼ばれる根がある。
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「(室町時代の)後藤家上三代(祐乗、宗乗、乗真)の目貫の根は、陰陽根であると伝えられているが、これは柄を巻かない古式の腰刀に用いられていたことを意味するものである。(引用元:刀装具の起源 著:笹野大行 P194)」
と書いてあるように陰陽根はもともと以下の様に鞘の目茎孔を貫通させて固定していたものと考えられている。
(以下は阪井俊政氏による春日大社の耳ずくの腰刀の目貫を写したものであるが、角棒と角孔の組み合わせで目貫の回転防止も工夫しているとのこと。鎌倉期から南北朝期の短刀の茎にまま見られる角形の目釘孔はこうした目貫を使用した名残りだと思われる、とも笹野氏は以下で述べている)
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さて、以下の目貫は無銘で大月派の作と極められた目貫であるので、時代としては江戸後期位の作だろうか。
仮に大月派でなかったとしても出来からしても時代が上がらないのはまず間違いないと見える。
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さてこの目貫を合わせてみると陰陽根はピッタリはまるのだろうか?
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合わない。
そう、合わないのである。
因みに以下の横谷宗珉の目貫も全く合わないようである。
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以下の野晒目貫の陰陽根の断面を見てみると、切断して短くしているようには見えず、元からこの形、大きさで作られていると思われる。
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室町時代の陰陽根などは長い物を切断しており昔は陰根と陽根がぴったりと嵌っていたと思われるが、町彫目貫に関しては見様見真似でとりあえず陰陽根にしているだけとしか思えないのであるが、何か他に理由があるのだろうか?というのが今回書きたかった不思議というか疑問である。
例えば後藤家上三代の作ではないが、同じ時代と思われる古金工極めの作の裏行を見ても陽根と陰根が嵌るサイズで作られている事が分かる。
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町彫目貫は両目貫が正しい組み合わせであるというサイン的な意味合いで陰陽根にしている可能性などはあるのだろうか?
しかしそれであればそれこそお互いがぴったり嵌るように作っていた方が良いようにも思える。
なぜピッタリと合わない陰陽根を作っているのか?
実は違う取り合わせだった可能性はあるのだろうか。
そうも見えないが…。実にモヤモヤする。
この辺りまた色々詳しい方にも聞いてみようと思います。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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