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異彩を放って見えるあの感じ

こういう鐔ばかりが並べられた場に来ると心が躍る。
無論、好きな鐔、探している鐔が見つかる事がある為である。

そうした物は不思議とどれだけ沢山並んでいても異彩を放っているように見えるから面白い。
その異彩は自分にしか見えない。
それはまるで作品が主張しているような感じに近いが、無論そんな事は幻想でありカラーバス効果に過ぎないのだろう。

カラーバス効果
例えば街中で「黄色を探す」とイメージして周囲に目を配ると黄色い物が沢山見つかるように、特定のことを意識し始めると日常の中でその特定のことに関する情報が自然と目に留まるようになる現象のこと。

そういえば先日とあるコレクターの方の御宅にお邪魔させて頂いたところ、200~300近い鐔が並べられた空間に目を奪われた。
色々と処分するものを整理していたと言う。
折角なので拝見させて頂いていたところ、不思議な事に2mほど手前位からでも部分的に光って見える箇所があるのである。

その部分に目を近づけてみると、古そうな鐔であったり、成木鐔っぽいものであったりと、やはり何となく自分が好きなジャンルのものが点在している。(成木鐔は無かったが…)
しかしよく見ると好みと似ているが完全一致していないこともまた多い。
イメージで言うと純粋な黄色を探していたところ、よく見ると薄黄色や濃い黄色であったりと黄色ではあるがそれではないという感じ。

しかしその中に一際大きな異彩を放っている物が…!
手に取らせて頂くと心をくすぐられ鷲掴みにされるようなあの感じ。
ここまで心を掴まれた鐔は過去を見ても殆ど無い。
そしてこの機会を逃すと一生目の前に現れない気が直感的にする。

そんなこんなで気持ちが高ぶりすぎてしまい何を話していたか覚えていないものの、1時間ほど話している中で遂に譲って頂ける事に。
弓矢八幡の成木鐔を偶然手にした時と同じ位に一番嬉しい出来事なのは間違いない。

このように鐔は形も色もデザインもぱっと見で異なっている物が多いので探している物が異彩を放って見える事が多いのだが、こと刀になるとなかなか難しい。
好きな姿や刃文の形、地鉄の色味などは遠目からでもある程度スクリーニング出来るが、結局最後は手に取って見たときに感じる心の動きにかなり左右される。
鐔は2m手前から見た時と手に持って見た時のギャップがあまり無い気がするが刀は結構ある。
その違いだろうか。

話は脱線したが今回手にしたこの鐔とは直感的に長い付き合いになりそうな気がしている。
もう毎日時間があればずっと見ているし、なんならスマホと同じ位見ているかもしれない。(流石にそれは無いか…)
いずれにしてもこうした鐔との出会いはなかなかなく、譲って頂けたコレクターの方にただただ感謝です。
好きな作品が手元にあるだけで日々の暮らしの充実度が増すのは愛刀家、愛鐔家冥利に尽きるかもしれません。


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それでは皆様良き刀ライフを!

探し求めているとある時不思議な事が起こるものです。
以下はその実体験記。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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