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刀のある生活に少しの変化をもたらす刀展示ケース

「部屋に刀展示ケース」というと刀を部屋に綺麗に飾るだけと思われがちですが、私としては刀を飾る事よりも飾った先にある日々の生活のちょっとした変化こそが良いものになれば嬉しい、と考え作っています。

例えばコーヒーやお茶を片手に飾られた刀を鑑賞する。
仕事の合間に数秒だけ刀を眺めて気持ちをリフレッシュする。
数秒でも必ず毎日刀を見るようになる。(見えると手に取りたくなる)
何度も刀が視界に入る事で刀に親近感が湧く。
家族や友人に刀を手に取らせることなく魅力を伝え趣味を理解してもらう。
料亭やホテルなど世界中の人が訪れる場所に刀を飾る事で日本の文化の理解とお客同士の会話の種になる。

これは一部ですが、刀を部屋に飾る事で従来の様に刀鑑賞の為に白鞘から抜いていた生活から少し変化が起こります。(白鞘から出す際に生じ得るヒケ疵も飾れば付かなくなります)

ここで私が良い変化と思っている事は主に2点で、1つ目は刀の所有者自身が毎日必ず刀を見るというルーティンを作れる事。
従来は白鞘に保管している内に数か月に1度お手入れの時にしか見ないという人も多い状況でした。
毎日見る事で刀に愛着が湧きます。毎日見てれば微かな状態の変化にもいち早く気づける可能性が高まり、白鞘に入れっぱなしで深く錆付いた、という事態は無くなります。

2つ目は愛刀家の方が周囲の人から趣味を理解してくれる可能性が高まるという事。
刀にライトを当てて刃文を見てくれればその綺麗さに多くの人が気づくのですが、刀に興味のない人に刀を手に持たせる事がそもそもハードルがとても高い事でした。手に持って見なと言っても「私は怖いからいいや」と美しさに気づく機会を失います。
綺麗な物に綺麗だよと言う必要は無く、最高の状態で実物を見せてあげれば勝手に理解してくれると思うのです。
その機会作りに展示ケースは役に立ちえます。

刀を部屋に飾るのは、自己満足の部分も大きいかもしれませんが、刀を安全に管理する、刀の魅力を多くの人にも繋げる事にも繋がると思うのです。


・昔の鑑賞スタイルにこそ大事な文化があるようにも思う

(画像出典:住友林業の家

とは書きつつも、忘れてはいけない大事な事もあると思います。
昔の鑑賞スタイルにこそ大事な文化があるように思うのです。

昔は誰もいない和室で正座をして一礼し、白鞘を払い刀身を鑑賞するというものが主流でした。
和室という厳かな空間でろうそくに火を灯し、暗闇に目が慣れたころに心を静めて白鞘を払い刀を鑑賞する。
刀と対話すると言った方が意味的には近いかもしれません。
この空間での一連の動作は身が引き締まり、そして適度な緊張感があり、言葉にし得ない不思議な感覚があります。
鑑賞し終わった後は雑念が振り払われどこか清々しい気持ちになっています。
そうした緊張感の中では初めての人でも一連の動作が丁寧になり刀を敬い大切に出来ます。
これこそが刀鑑賞の根幹にある大事な文化であるように思うのです。

とはいえ、現在の住宅に和室が無くなっているという問題があります。
洋室で先のような一連の動作をしても和室という空間とはやはり雰囲気が違うのです。どこか厳かさが足りません。
その中で大事な事は空間を補う事、例えば和室が無く洋室で鑑賞するのであれば眼の前の刀に集中して、緊張感を維持しつつ刀を敬い大切にする、事かと思います。
その心を持ち続ければ良いのですが、どうしてもガラス越しにそれをするのは少なくとも私は無理です。
そこは展示ケースの限界だと思っています。(刀に興味が無い人にはその位の方が緊張感が適度に緩和されるので良いようなのですが)

なので展示ケースばかり使おうと0か1で考えるのではなくて、私も普段の生活の中で白鞘から払い鑑賞する時間も設けています。
やはり刀は手に取ってこそ分かる独特な感覚も多いです。

・終わりに

色々書きましたが、本当は刀の緊張感の部分をまずは知ってもらいそれから刀を好きになってもらうのが個人的には文化を正しく伝える上で大事ではないかと悩んだ時期もありました。
しかしそれをしてきた結果が愛刀家が減り続けているという今の状態を作っている要因にも感じ、加えて和室も無くなっているという抗えない環境の変化もあります。
それであればまずは綺麗な最高の状態の刀を誰にでも分かり易い状態で見てもらい、刀に興味を持ってもらってから手に取り刀を敬う心の部分を知ってもらうのが良いのではないかと考えています。
勿論まずは愛刀家の方が満足してくれるものを作る事が第一ではあるのですが。

それにしても刀身がライトアップされて飾られているだけでその空間が厳かな空間になるのは不思議なものです。
それが刀の魅力なのかもしれませんね。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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