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第67回 重要刀剣等新指定展レポ
1/8~2/20まで両国の刀剣博物館にて67回の重要刀剣等指定展が行われています。
昨日見てきましたのでその感想です。
以下に書いたように今回は在銘24振、無銘66振と無銘率の高さが伺えます。
回を重ねる毎に良品は減るのが常なのでこれはしょうがない事と思いつつ、そんな事もあり正直そこまで期待はしていなかったのですが、これは!という凄い刀もやはり中にはあり、想像以上に楽しめました。
まだまだ新指定品もレベルが高いものもある。
刀装や刀装具は例年合格数が少ない事もあり、いつもながら見応えのある作ばかりです。
因みに今回の展示は全て写真NGですので、写真はありません。
①展示リスト
合格品はもっと多いですが、全てが展示されるわけではない事に注意です。
(画像出典:刀剣博物館Twitter)
②個人的に凄く良かった作
お気に入り順。
個人の好みが存分に入っているのでそれを考慮してください。
・貞宗(短刀)
少し肌立ちつつも地鉄の潤いが素晴らしくそこに刃の冴えも加わる。
梵字と素剣の刀身彫りが非常にバランス良く入っていて見ていて気持ちが良い。ぱっと見で相州上工と分かる作で一際異彩を放っていました。
匂い口も柔らかく、神秘的なオーラを発している。
・金象嵌青江恒次(刀)
大摺上げなものの健全性が申し分ない。持たずともゴリっとした感じが伝わってくる。
逆がかった刃に映りが立ち、特重と変わらない雰囲気を個人的には感じた。
きっといつの日か特重展でまた会える事だろう…。
・備前国雲生(短刀)
鎧通しのように重ねの厚い小ぶりな短刀。小さな身幅に小のたれの刃文と、樋が入っている。銘がはっきり残りそれだけで貴重だが、地鉄と刃文の冴えが素晴らしい。小さい中に見所が凝縮された刀で状態も頗る良く、欲しくなる作。
・三原正家(大太刀)
靖国神社の大太刀。
流石奉納された太刀というだけあり、ここまで勇壮な姿は圧巻の一言。
地鉄も肌立ち変化が豊富で楽しめる。
入ってすぐの入り口に展示されていた。
・薩陽士元平(刀)
地鉄が黒々していて匂い口がとても深く柔らかい。
薩摩の荒い沸というのもあまり無かったように思う。
元平は新々刀を代表する刀工であるが、改めてその技量の高さに感服。
その他にも薬王寺や宇多友則、藤原清則(吉井派)、冷泉貞盛など有名ではないが素晴らしい作も多々見られた。
ネームバリューだけではなく、こういった作がしっかり評価されるのは良いですね。
有名所では長谷部国信が典型的で良かった。延吉も地鉄が精美であった。
新藤五の太刀は珠玉の名品展の物に比べると地鉄の冴えが劣っていたが、姿には気品を感じた。
③傑作という表現が多かった気も
一方で傑作という言葉(似たような言葉含めて)が使われ過ぎているようにも感じた。
本当に傑作が多いのかもしれないが、重要美術品や特別重要刀剣などと比較しても尚傑作と呼べるものなのか、そこは個人的に言葉の選択に少し疑問を感じたところ。
過去の指定品には素晴らしい作が沢山ありますから…。
そういえば1振鎌倉時代の太刀がありましたが、地鉄が非常に積み新々刀のようでなぜ鎌倉時代に極まったのかという疑問もありました。
鎌倉時代のその刀工であれば少しは肌立つ部分等見られる気がしますが果たして…。これは重刀解説が出たら確認して勉強してみようと思います。
展示会は2/20(日)まで行われています。
拵えなども意匠の凝った素晴らしい物ばかりですので、ご都合の合う方は是非行かれてみてはいかがでしょうか!
全て個人蔵なので今後なかなかお目見えしない作が大半だと思います。
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