東京都支部 刀鑑賞会(2023/7/15)
本日は楽しみにしていた3か月に1度の東京都支部の刀鑑賞会に参加しに、東京美術倶楽部へ行ってきました。
①鑑賞刀
鑑賞刀は「短刀 時代の変遷」というテーマで鎌倉期から寛文新刀までの短刀が並びました。
名短刀がずらりと並びました。
まさかの粟田口国吉の剣と、吉光も手に取り鑑賞する事ができ発狂。(発狂したのは勿論心の中で、ですよ)
粟田口国吉は先の張らない古い体配をしており匂口が深く、地沸がびっしりとつく名品でした。状態も健全そのもの。
延寿国時も少し寸長めで重ねの厚い健全な短刀でした。
地鉄も非常に精美でやはり来に通ずるものを感じます。
埋忠明寿は第1回の特別重要刀剣指定品の名品。
身幅の広い片切刃の作風でしたが、解説によると彫を入れる前提でなるべくキャンバスを大きくとる為に身幅の広い形にしたのではないかとの事。
また、明寿の彫は浅く、研ぎ減りで彫が消えかかっている物が多いそうです。
国広は重ねが厚く先が内反りになり直刃、という来国光を写した作でした。
過去入札鑑定に出した際は皆来国光に入札していたとのこと。
内反りを強調して写しているようにも思えましたが、重ねの厚い作(健全な作)でそこまで内反りの強い短刀は有るのでしょうか。
写しているという事は本歌があったはずですが、この辺りまだ勉強不足で分かりません。
井上真改の短刀は反りの強めな短刀で、江写しだろうとのこと。
匂口が深すぎて、刃文全てが匂口のように見える素晴らしい作でした。
こうした作は引き込まれます。
虎徹の短刀は数が非常に少なく非常に珍しい物です。
加えて太刀銘に銘が切ってあります。両面に彫がありますが、龍などの彫ではなく鶴が亀?に乗っているような作でした。
古色感のある細直刃に流れるような地鉄と潤いが素晴らしい短刀。
今回並んだ作で一番好みでした。
解説の中で寛文新刀になると短刀が途端に少なくなるのはなぜだろうか、という話が挙がりましたが、個人的な考えを書くとすれば、江戸時代になると戦も無くなり、大小(刀と脇差)が武士の正装となった為に短刀の役目自体が無くなった為だと考えています。
勿論大名間で嫁入りなどの際は短刀も贈られていますが、古名刀が沢山あり、新たに作る必要は無かったのではないか?と考えています。
②刀装具
刀装具は、南北朝期の蝦夷目貫をはじめ、古美濃、古金工、後藤、江戸金工、京金工、明治金工と実に様々な目貫の名品が時代毎に並び、こちらも時代の変遷を捉える事が出来ました。
蝦夷目貫の1つは陰陽根が残っていることに加え、陰根の側面に更に丸い穴が開いているという古色な特徴をそのままに残している物で、非常に見応えがありました。
そして躍動感が素晴らしい。
蝦夷目貫は鍍金が剥がれているのが常であるが、中が白っぽい物は江戸時代に写されたものであるので、必ず金属の組成を見極めるのが大事なようです。
以下の蝦夷目貫は以前真玄堂さんで拝見させて頂いておりましたが、改めてじっくりと。
とても素晴らしい物で眼福でした。
古金工(後藤、美濃、正阿弥、埋忠、鏡師を除いた金工)の定義は桃山時代までを指すと思っていましたが、どうやら江戸時代初期まで時代を下げて見るようです。
最近買った目貫も古金工極めでしたが江戸期の物に見えていたので納得です。
その他、山銅で黒っぽいものと青い物でなぜ違うのか個人的にずっと疑問でしたが、この違いはどうやら砒素(ひそ)を含んでいると「黒味銅」と言って黒っぽくなるようです。勉強になりました。
古美濃はやはり非常に薄く絞り込まれているのが特徴で、そうでない物は古美濃ではないようです。この辺は見た目が顕著ですので、初心者の人でも分かり易いかもしれません。
後藤家は2代宗乗、4代光乗、6代栄乗、7代顕乗、9代程乗、10代廉乗の作が並びました。
江戸金工は宗珉や岩本昆寛など、後藤家10代廉乗の大体50年後の作品群になります。この時代になると画題も多様になってくるように感じます。
京金工は長常など色絵の物が並びました。
これは宗珉の時代から更に50年後となります。
明治金工は一乗派、学校派(夏雄、勝珉など)などが並び、段々と様々な色の金属を組み合わせて表現も繊細さが増しているように見えます。
蝦夷から明治まで約400年の変化を名品中心に一同に拝見出来たのは至極でした。
その他では以前私もTwitterに上げましたが、動物の目貫を柄に取り付ける際の注意事項についても解説がありました。
③終わりに
今日は疲れたのでブログはここまでにして、鑑定刀の振り返りは明日行います。
因みに鑑定刀は以下でした。
鑑定結果は…!
0点…(´;ω;`)無念
という事で振り返りは明日まとめようと思います!
これだけ沢山の名品を見るにはあと5時間ほど時間が欲しかったです。
楽しいなぁ!刀!
楽しいなぁ!刀装具!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑
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