「刀が好きな人だけ業界に来ればいい」は順番が違う件
刀が本当に好きな人だけ業界に集まればいい、にわかは来るな、というような意見や風潮が稀に見られるがこれは行き過ぎた主張で現実的ではないと思う。
これは主に刀剣乱舞をプレイしているユーザーに対して古くから刀業界にいるごく一部の人が向けている傾向があるように感じる。
(古くから刀業界にいる人で刀剣乱舞ブームを歓迎している人が多い事も忘れてはいけない)
刀が好き、というのは主観的であるし第三者がその人の「刀好き度」を測る事が出来ない時点でそもそも破綻してる。
それに刀の売買を生業にしているプロからしたら刀を勉強して1年目の人も10年目の人も、皆「にわか」だろう。
にわかを経験せずしていきなり知識を付ける事は出来ないのだからこれも破綻している。
こうした主張をする人も昔は刀を初めて見た時、刀を初めて手に取った時、刀を初めて買った時というのが必ずあるはずである。
どういう理由で刀に興味を持ったのか、好きになったのかは人それぞれだろうが、そんなまさに初めての体験をしている最中に「にわかは来るな」とその道にいる人から言われたら悲しい気持ちにならないだろうか。
極論を言えば業界全体がそういう風潮になると誰もその業界に集まらなくなるし、誰も集まらなければ刀を生業にしている人も巡り巡って生活が成り立たなくなる。
そういえば昔からの愛刀家の方で剣客商売という漫画をきっかけに刀にはまり、美術館に刀を見に行くようになった、そして漫画にも出てきた井上真改の刀ばかりを実際に追い求めている方がいる。
この方は漫画をきっかけに刀の世界に入ったわけだが、今でも刀が好きで好きで堪らない様子だ。
恐らくこの人の場合は冒頭の人の言う「刀が本当に好きな人だけ業界に集まればいい、にわかは来るな」という主張には当てはまらない人になる。
なぜかと言えば「現時点で知識が豊富で、現時点で刀を沢山持っている=本当に刀が好きな人だ」というロジックと考えられる。
しかし先にも書いたが、現時点の状態は時間をかけてゆっくり刀を楽しんだ結果であると言える。
「刀が本当に好きな人だけが業界に来れば良い」
は順番が違う。
「刀を見たり調べたりする内に更に刀を好きになって今刀の業界にいる」
のではないだろうか。
(刀の業界という表現は混乱を招きそうだが、鑑賞会に参加したり、刀剣美術に寄稿したりしている、などの広い意味で今回は使っている)
今の時代はたまたまゲームが出てきてそれにより刀好きな人が増えている状態なだけでいつの時代も大して変わらない気がする。
30年後くらいにはゲームや漫画、アニメではない何か新しいジャンルが出て来て同じような主張が出ていそうな気もするが、大事な事は折角今これだけ刀好きな人が増えているので、好きになっている過程の人達を妨害しない事なのではないかと感じた次第。
好きな人が増えれば刀の需要も高まるし、それに伴い研究も進むはず。
まぁでもそんな事は個人が気にする必要はなく、今自分自身が楽しいと思う事があれば他人の意見など気にせず(でもマナーは守って)全力で楽しめば良いんじゃないですかね。
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それでは皆様良き刀ライフを!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)