見出し画像

サムライアート展② 刀を手に取ったように鑑賞出来る画期的なケース!

サムライアート展レポ2回目です。
①は以下。

さて東京富士美術館で行われているサムライアート展では画期的な刀の展示がなされていました。
それも「刀を手に持って鑑賞出来るようなケース」

ケースから出ている2箇所の持ち手を持って、ケースを自在に動かす事が出来ます。鑑賞出来たのはなんと虎徹の刀でした。

鑑賞方法の説明パネル

上は写真を撮るため左手を離しているのですが実際は左手は持ち手部を掴みます。
刀は目釘孔2箇所を用いてネジで固定され(茎には金属ネジが当たらないよう工夫されている)更に茎尻と区あたりに動かないようシリコンで挟み込んで抑てありました。
がっちり固定されており、ケースを動かした感じ刀身が動きそうな様子は一切なかったのですが、一応念の為か「急に動かす事をしないでください」と注意書きがされていました。
また、見た感じ汎用ケースではなく、この刀専用で作られていそうです。
(汎用で作るというのは可動部を増やす→その分ネジゆるみなどのリスクも上がる、という事になるので難しいのも分かります。)

切先から茎まで刀との距離がとても近いのでガラス越しに見る展示とは一線をかしています。

地鉄も刃文もとても良く見えます。指紋らしきものがケースに付着していたので間違ってケース本体を持って動かしていた方もいたのかもしれません。
鑢目や鏨運びまで間近で見れます

ケースの下に目をやると、PCモニターなどで使われる可動式のアングルに、ケース裏にボールジョイントを配すことで可動範囲を広く取っている事が分かります。
これにより手で刀を持って鑑賞する時に近い状態で刀を鑑賞出来るようになっています。
発想が素晴らしいです。

尚ボールジョイントの可動域の関係上、以下のように刀身を45度以上倒して見る事は出来ませんでした。(この角度が取れて目線を刀から遠ざける事が出来れば古刀の映りなどが見やすかったりします)
ただこれが出来なくても充分に地刃は見やすかったです。

このくらい刀身を寝かすのは出来なかったです


因みに私が美術館を訪れた際に、ガラス越しに刀の展示を見て「これで斬っていたのよね。怖いわねぇ…」とつぶやきながらサラッと刀の前を素通りしていたご高齢の女性も、このケースは面白そうに触っていました
これは実はとても凄いことに感じます。

他にも小さな子供なども安全に鑑賞できて間近で刀の迫力や美しさを体験できる経験はとても素晴らしいものに感じます。
悪ふざけする(ケースをガンガン勢いよく動かすなど)子供からどうケース内の刀を守るかという課題は付きまといつつも、中に入れるのは何も重要文化財などでなくて良いわけですし、現代刀でも良いわけです。
勿論将来的に全ての問題が解決出来て重文などが展示出来るようになったら最高ですが。

個人的にはこうした体験型のケースというのは刀の鑑賞という文化があることを知る良いきっかけになると思いますし、何より刀の美しさに気付く人を増やす事に繋がると思います。
こうした体験をした子供たちの中にはもしかしたら何十年後かに刀の世界に飛び込む人がいるかもしれません。少なくともガラス越しに刀を見る時よりも遥かに可能性は高そうに感じます。
という事で刀の魅力を多くの人に届けられそうな素晴らしいプロダクトでしたので是非全国の美術館でこうした試みが行われると嬉しく思います。

因みに、2台ある奥の方のケースは稼働式ではないのですが(旧式)、こちらもとても見やすかったのでお勧めです。
展示刀は和泉守兼定(ノサダ)でした。

和泉守藤原兼定作(ノサダ)


サムライアート展は2024/12/22まで東京富士美術館にて行われています。
東京からは電車で1時間位で行く事が出来ますので悩まれている方はぜひ!

画像出典:サムライアート展


今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると嬉しいです。
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き刀ライフを!

よろしければ以下もご覧ください。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


いいなと思ったら応援しよう!