おすすめ刀剣本③「短刀図鑑」
今回ご紹介するのは短刀好きなら1冊は持っておきたい、まさに短刀の名品を集めた本です。
そして今開催中の26回特重展が終わり次第、2020/8/8から「鈴木嘉定コレクション寄贈展」が刀剣博物館で開催されます。
その予習にもなるかもしれない本です。
・短刀図鑑
1.どんな本?
鈴木嘉定(すずきかじょう)さんのコレクションした短刀が掲載されています。
最初に時代毎の短刀の特徴説明があり、その後写真付きの短刀で115振掲載されています。
最後に押形集が載っています。(写真の刀とはリンクしていません)
特に最後の押形集にはその刀工の見どころ(特徴)が簡潔に分かりやすく書いてあります。
これについては後述します。
2.鈴木嘉定ってどんな人?
1925~2004年。埼玉県で生まれ、父は神武一刀流15代、奥山念流柔術3代免許の父から柔術と剣道を習得。
刀剣研究は父を経て、薫山、寒山に師事。
日刀保で5代会長を務めた方です。
コレクションした物は、古刀から現代刀、刀装や刀装具まで幅広く、いずれも名品が多いようです。
(重要美術品2点、特別重要刀剣3点、特別重要刀装1点、重要刀剣21点、重要刀装等5点)
短刀図鑑に掲載されている佐藤寒山氏の紹介文は鈴木嘉定さんの人となりが伝わってくるようです。
(以下一部抜粋)
「堂々たる太刀や刀には申すまでもなく大きな魅力があるが、小さな短刀にも、それとは別な捨て難い味わいが溢れている。鈴木君は、これらの短刀に魅せられて、その美しさをそれぞれの時代、それぞれの作者の持味とを楽しみ~(以下略)しかも、いたずらに国宝とか重要文化財とかいうかねて世上に知られているものよりも、一般にも入手し易く、心温まるものを感ずる。」
今ではこれらの刀も特重などの指定を受けていたり、納まるところに納まっており一般的にはるかに入手しづらいですが、昔は入手しやすかったのかもしれません。
3.目次
目次の殆どが掲載されている刀の名前が書いてあります。
ちなみに古い本で以下の物がありますが、こちらは押形集がないので、買うなら表題の「短刀図鑑」の方をお勧めします。
刀身写真の見え方もほぼ同じです。(紙質による見え方の違い位)
4.一部内容紹介
・名物信濃藤四郎
・愛染国俊
・村正
・押形集
写真付きの短刀とリンクはしていませんが、刀工毎に並んでいて見やすいです。
例えば下の赤枠の粟田口国吉。
「樋(ひ)が細長く上に延び、棟の方に相当寄って彫られているのは粟田口ものの重要な見所」というように、ふむふむと思わずにはいられない内容が沢山書いてあります。
こういった知識を付けてから、美術館で粟田口の刀を見てみると確かに面白そうですね。
例えば、下は粟田口国吉(鳴狐)の写真です。
(画像転載元:http://photozou.jp/photo/photo_only/3150094/218534664?size=1024#content)
そして下は粟田口国吉(鳴狐)の押形です。
(画像転載元:https://kougetsudo.info/kuniyosi-nakigitune/)
確かに樋が棟に寄っている…!!
本を読んでおくとこういう視点で刀が見れるので面白いですね!
5.終わりに
刀の時代後の姿の変化を表した図や写真は沢山あるんですが、短刀を時代毎に並べた写真は見かけません。
この本は古刀から現代刀まで時代毎に並んでいて、しかも名品なので、パラパラめくるだけで変化が分かり面白いです。
値段は4000円と少し高いですが、短刀だけに特化してかつこれだけ名品が並び解説のある本は他にないと思います。
短刀好きな方には満足してもらえる本だと思います。
(※2020/7/13現在、品薄だからか配送料が高くなっているので、様子を見てから購入するのが良いかもしれません。)
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それでは皆様良き御刀ライフを~!