江戸時代の武士の服装は身分ごとに決まっていた(位の高い武士編)
江戸時代は武士の中でも身分が細かく規定されていて、それらの差が一番はっきり分かるのが装束であったようです。
(装束は単なる服装ではなく、身につけることに様式や格式といった特別な意味を伴う衣服)
ですがそもそも武士とは「士農工商」の身分の中では一番上になります。
なので武士の中で一番身分が低くとも、武士自体の身分が高かった事は忘れないでおきたい所です。
今回は大名や旗本など位の高い武士の服装に限定して、格式が高い順に紹介します。
①束帯(そくたい)
最も格の高い礼服に、「束帯」と「衣冠」があります。
束帯は宮中の正装です。
武官の場合は刀を帯び、平緒という布を前に垂らすことになっていたので、武士である将軍や大名達もそのような着方をしていたそうです。
(画像転載元:日本服飾史)
②衣冠(いかん)
束帯の略装にあたるのが衣冠。
(画像転載元:日本服飾史)
③長直垂(ながひたたれ)
将軍をはじめ大名(四位以上)の江戸城内での礼装。
将軍は紫、将軍の後を継ぐ嗣子(あととり)は緋色(赤)を着る決まりがあり、他の人がこれらの色を使う事は許されませんでした。
小さ刀を身に着けるのが決まりです。
(画像転載元:小林豊子きもの学院)
④大紋(だいもん)
大名(五位)の礼服。
家紋が大きく入っています。
小さ刀を身に着ける決まりになっています。
「忠臣蔵」の浅野内匠頭が着ていたのもこの大紋。
(画像転載元:日本服飾史)
(画像転載元:忠臣蔵「松の廊下」)
⑤素襖(すおう)
武士(六位以下)の礼装。
大紋を簡略化した装束で、胸紐や菊綴に革紐が用いられているので、革緒の直垂ともいう。
(画像転載元:風俗博物館)
⑥直衣(のうし)
将軍家の通常礼服。(平安時代は貴族の普段着)
将軍は正月の3日、7日、11日、15日に着用していたそうです。
(画像転載元:日本服飾史)
⑦狩衣(かりぎぬ)・布衣(ほうい)
狩衣は従四位下の侍従の身分を持つ大名の礼服。
布衣は旗本の礼装として用いられたそうです。
因みに狩衣は現在も神職の服装として用いられています。
(画像転載元:日本服飾史)
⑧長裃(ながかみしも)・肩衣半袴(かたぎぬはんはかま)
大河ドラマなどでも一番目にしたことがあるかもしれません。
長裃(以下画像)は将軍家から御目見え以下の御家人にまで広く用いられた通常礼服です。肩衣半袴も似たような感じ。
江戸時代中期には鯨ひげを入れて肩を張らせる仕立てが現れたそう。
(画像転載元:風俗博物館)
⑨終わりに
取りあえず今回は位の高い武士の服装について調べてみました。
次回は位の低い武士の服装について調べてみようと思います。
因みに最後に紹介した長裃ですが、江戸末期には紋付羽織袴のほうが一般的になり廃れていったそうです。(以下は紋付羽織袴姿の徳川慶喜)
(画像転載元:紋付羽織袴)
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