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第11回「刀屋さん見学会」レポ

今日は11回目となる「刀屋さん見学会」を帝国ホテルにある霜剣堂さんにて行いました。
帝国ホテルにはアーケードと呼ばれる様々なショップが立ち並んだ場所があるのですが、どうやら今年で100年目の節目のようです。

お店に到着

(※ブログに掲載の写真は全てお店の許可並びに見学会参加者の方の許可を頂いて撮影しております)

今回は「脇差フェア」最中での開催です。脇差フェアは2023年6月30日までとのこと。
長船勝光の刀身の出来も良いが拵が洒落ていて良い
お店の正面に鎮座した青山家伝来の助広の名刀
店内は見事に脇差で統一されています
右から小脇差、中脇差、大脇差と長さ毎に並べられた脇差

①刀屋さん見学会開始!

初めに刀の鞘の払い方や、刀の持ち方、鑑賞の仕方などをお店の方から教えて頂きます。
刀を人に渡す時は相手が握りやすいように渡してあげるのが事故も起き難く良いです
刃文を鑑賞する時は右手で柄を持ち、袱紗で刀身を支えながらライトにかざします。
いざ実践!
と言えど、今回の参加者の方は皆刀を持った事があるそうで既に鑑賞の仕方が十分に綺麗でした。

という事で基本的な所作を軽くおさらいして、刀を買う時の見所についてのレクチャーが。
健全な脇差を見ながら、どこを見ると刀の健全さが分かるかという話でした。この知識は変な刀を掴まない為にも非常に重要な知識で、今回の見学会の中でも一番「なるほどぉ」という声が多く上がっていたように感じます。


②とにかく刀を色々鑑賞!一部紹介

マナーや持ち方を教わった後はもうとにかく次から次へとひっきりなしに刀を見せて頂きました。16時くらいの時点で10振以上は拝見させて頂いたような気がしますが、その中で鑑賞刀を一部紹介します。

・近江大掾藤原忠廣

片切刃の近江大掾藤原忠広。
いわゆる肥前刀で小板目肌の詰んだ精美な地鉄に地沸が良くついている。
分かり易く言えば鉄の表面が非常にキラキラしている。
茎の状態も素晴らしい
この近江大掾の彫と鎺の繋がりが非常に面白い。
この線のような彫は「滝」を表しているようです。
そして滝が地面についた様子を鎺で表現、つまり滝つぼをイメージした鎺なのである!
何と洒落ているのだろうか…。


・津田越前守助広(青山家伝来)

お店の正面に飾ってあった青山家伝来の助広。
流石に地鉄の冴えが凄まじく、匂口がグラデーションのようになり地と刃の境目が見ていてよく分からなくなってくる様は思わず息を呑む美しさ…
遠くから見ても異彩を放っている
その美しさに足を止めて眺めている人も多いそうです


・堀川國廣

こちらもまた出来の良い国広の脇指。
地鉄はザングリしたものではなく、肌の詰んだ作風。
この脇差は左文字あたりを目指したもののようです。
相州上工を範にとったと言われる慶長頃の作。銘も力強いですね。


・備前長船盛光(偽銘)

尚今回は名品の他にも世の中にはこんな刀もあるよ、普段は展示してないけど、という事で「偽銘」の刀を見せて頂きました。
普段刀剣店で偽銘の刀を見れることは殆どありません。
それが以下の長船盛光の偽銘脇差なのですが上の出来がとても良い。

長船盛光と偽銘が。
裏には年紀も入っています

写真だと映りが捉え切れていないのですが、肉眼で見ると乱れ映りがはっきり立っており、刃も明るく破綻のない美しい作でした。
石堂派の作だろうとの事。
そしてこの脇差、偽銘なのでなんと10万円台。

偽銘とはいえその価格帯のクオリティを遥かに超えています。
状態と出来の良い偽銘と、正真だけど出来も状態も悪い作、同じ値段ならどちらを買うのが良いのか。
良い意味で偽銘の向き合い方について改めて考えさせられました。
偽銘と知っていて持つ分にはとても良い脇差で、初めての一振りとして持つにも良さそうです。
見ていても飽きの来なさそうな脇差に感じました。


③終わりに

とにかく脇差フェア開催中とあってか人が多かったです。
見学会中もお客さんで店内がぎゅうぎゅうに。
聞くところによると土日はやはり人が多いとの事で、平日が狙い目との事でした。
今回の見学会でもここには載せられないような名品も登場し、参加者を感動させていました。
普通は美術館に入っているような作ですから、そうした作を拝見させて頂けるというのは本当に有難い事です。
改めて霜剣堂さん、ありがとうございました!
そして参加者の皆様ありがとうございました!


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。



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