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志々雄真実の無限刃が実在?「海部刀」

「るろうに剣心」で出てくる志々雄真実が使用している無限刃。
ノコギリ状の刃には今まで切ってきた人の油が染み込み、そのノコギリ状の刃を鞘走りさせることで摩擦熱により刃に染み込んだ油が発火、そのまま斬る技「壱の秘剣 焔霊(ほむらだま)」は超有名。

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(画像出典:漫画「るろうに剣心(和月伸宏)」より)


こんな志々雄真実の無限刃のようなノコギリ刃が付いた日本刀が実は実在しました。
それが海部刀(かいふとう)。
ノコギリ刃が付いているのは棟側ではありますが。


①ノコギリ刃が付いた「海部刀」とは

阿波国(現在の徳島県)の海部地域で海部氏の生産奨励により鎌倉時代~幕末まで盛んに作られた刀。
鎌倉時代初期は海部川流域で取れる砂鉄を使い作刀を始めたと言われ、室町~戦国時代になると長宗我部元親により海部氏の海部城が落とされて以降一時衰退。
しかし江戸時代に入り、徳島藩主であった蜂須賀家が海部刀工を城下に呼び寄せると幕末まで繁栄することに。

刃の形の特徴としては「片切刃造」と「のこぎり刃造」。

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(画像出典:「大刀剣市」図録より)

因みに上記写真は「片切刃造」。
小柄の刃がノコギリ状になっているのは面白い。

そして以下が「のこぎり刃造」。
棟がのこぎりの刃のようになっている。
また下写真のように鎬地に銘を切った物もあるのが特徴。

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(画像出典:つるぎの屋 佐倉家臣藤原政吉於洛陽造之


因みにこのノコギリ状の刀は人を斬る為にあらず。
竹や木を切ったり、船上で舫い綱などを切る用途に用いられたものだとか。
海部刀にのみこのようなノコギリ刃が見られるが、これは水軍用の刀だったからとも言う。
「日本刀大百科事典(著:福永酔剣)」によると海部物の特徴として、地鉄に綾杉肌が交じるのは波平流という伝称を裏付けるものであり、刃文は末相州物に似ているらしい。
名物の横須賀江がはじめは海部物に極められていたのはその為との事。

②終わりに

尚、阿波海南文化村の海陽町立博物館では今回紹介した海部刀が常設展示されているようです。
一般的な美術館ではなかなか見る機会が無いかと思いますので、興味ある方は是非行かれてみては如何でしょうか。


因みにヨーロッパにも海部刀のようなコンセプトがあったようですよ。


現在刀剣博物館で行われている「日本刀多彩なる造形展」にて展示中の水心子正次の脇差が刀身に銘が入り珍しいと思っていましたが、海部刀に何か繋がりがあるのかもしれませんね。

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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