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刀装はもっと注目されるべき

刀の代わりに「繋ぎ(木の刀身)」を買う、実際に名物刀剣などを1:1で寸分たがわずに製作した物が人気を博している様子が3~4年ほど前からXで伝わってくる。
値段はうる覚えだが6~8万円位だった気がする。
これは個人的に結構衝撃的であった。

しかし考えてみれば名物刀剣は博物館に所蔵されているので買う事も手に取る事も出来ないし、かといって紙上で1:1サイズで見てもいまいち手持ち感は分からない。
そうした部分で「繋ぎ」というのは存在感であったり所有感を満たしてくれるものの1つなのかもしれない。
こういう需要も一部で開拓されているのは間違いなく刀剣乱舞効果だろうと思う。

つなぎ
ハバキなども精巧に再現されている
鎬筋もあり刀身がそのまま木になっていることをイメージ頂ければ。
ハバキが外れるものも多い

そしてその上位互換品はタカハシアオイさんが手がける本物そっくりの作品に個人的には感じる。
以下は「日本刀と未来展」で鑑賞させて頂いた三日月宗近と本作長義だが、ここまでくるともはや木には見えない素晴らしい出来栄えをしている。

こうした名物刀剣を模した物が刀剣乱舞をプレイする人の間で流行るのは理解出来る。きっと欲しい人も多いのではないだろうか。
そして実際の刀を買う層とはまた別の層の人にこうした「繋ぎ(木の刀身)」の需要があるのは間違いないと思う。
故に競合するとすれば「模造刀」だろうと思うが、そういう立ち位置としてこの繋ぎというジャンルが新たに開拓されたことに驚かされたわけである。


さてそれはそうと刀装(拵)というのはまだまだ刀身に比べて注目されていないように感じる。
実際に周りの愛刀家の方を見ても刀身と刀装(もしくは刀装具)両方に興味を持っている人は意外に少ない。体感値であるが10人に1人位かと。
昔から刀身の入札鑑定はされているが、刀装となると後回しにされてきた風潮があり、都支部などの鑑賞会でも刀の鑑賞は混んでいるが刀装具はガラガラだったりする。

そのような事が表すように日本人は刀身だけでも買うが、海外の人は拵が無いと買わないと聞いた事もある。
これはなかなか面白い差ではないかと思う。
拵も個体により値段の差は大きく開くが、かなりざっくりな相場感で言えば特別保存刀装で150万位、重要刀装で400万円以上という印象がある。
しかしこれはかなり優れた歴史的にみても価値の高い拵であり、そうでない拵は実は10万円以下で買える物がある事は意外に知られていない。

画像出典:喜楽 - kiraku2018  7.5万円
画像出典:喜楽 - kiraku2018  5.5万円

少なくともamazonでウレタン塗装の拵の付いたちょっと良い模造刀に5万円払う位なら、時代物の漆や蒔絵、螺鈿細工が施されていたり、実際に昔の職人が製作した刀装具が付いているこれらの拵を買った方がリーズナブルかつ歴史的な楽しみも味わえるように思うのだが、その思考自体がもう既に老害化しているのだろうか。(上記にはもちろん「繋ぎ」も入っている。勿論名物刀剣のではないが。)

しかも刃文や銘を描いている。
皆大体考える事は同じで面白い。笑

画像出典:喜楽 - kiraku2018  7.5万円


刀身だけ楽しむ人は多いが刀装だけを楽しむ人はなぜか少ない。
なぜだろうか。
刀装も刀身と同じくらい奥深く面白いのでフォーカスが当たり、刀装や刀装具の入札鑑定が行われるくらいに需要が伸びると面白いと思うのだが…。
刀剣乱舞では宝物機能により鐔や三所物などといった物が徐々にフォーカスされつつあるが、刀身と比べると遥かにまだまだ細かい所までは行き届いていないし、そもそも行き届かせるつもりもないかもしれない。

刀装は先ほど紹介した物のように5万位出せば面白い物も買えるのでもっと注目されても良いのになと個人的には思うものの、結局のところゲーム起点で火が点かない限り悲しいかな日本国内での需要や研究もあまり伸びないかもしれないですね。

なんというかこの以下の新作スタジアムの画像を見てこれを採用しようと決めた上級日本人の美意識レベルの低下を感じずにはいられず、それも相まって上記の様に感じてしまいました。

以下が完成デザインなのでしょうが…うーんデザインに調和が…感じられない。


刀装は海外での方が美術的な視点で伸びそうです、というより伸びています。

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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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