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現代の目貫か、古い目貫か。

現代の目貫か、古い目貫か。
画像ではなかなか分からない物があり試しに購入。

いわゆる典型的な這龍目貫で宗乗以降に後藤家でもテンプレ化した姿のものであるが、三角鏨など見られない事や口周りの形状、薄造りな点から、鑑定で極められる可能性があるとすれば京金工あたりだろうか。

丸鏨に見える

ルーペで見ていくと龍の鱗などはじめ細部まで細かく作り込まれているようにも見える。
ここだけ見れば古い物に見えなくもないが、しかし違和感もある。

鱗など細部まで作り込まれているようにも見えるが
縁は薄いがちょっと違和感も

何というか龍から生気が感じられないのだ。
普通これだけ丁寧に作られている作であれば何かしら迫りくるものがあるが不思議とそれが無い。
生気が無い、というのは実に抽象的な書き方であるのでそう見える理由を考えてみると、主に以下3点だろうか。

①表面全体のヌメっと感

まず表面全体がヌメっとしている点。
普通表面は鏨を入れて作るので角が立つが、そうした部分が見られず全体的にヌメっとしている印象がある。
勿論柄に付けて使用する中で柄糸が当たる部分などは部分的に摩耗してヌメっとする部分は時代物の目貫ではよく見られるのであるが、柄糸の当たらない部分も含めて「全体が」という部分で引っ掛かっている。
因みにそれ故か手に持った時にはすべすべしている。

②裏行の真っ黒さ

次が裏行が真っ黒で艶がある点。柄と目貫の接着に使用される松脂が全体に付いている雰囲気でもない。

③鍍金っぽい

少なくとも金無垢ではない。
恐らく鍍金だろう。しかし蝦夷のような味のある鍍金とも違う。
もっと近代のものに見える。
因みに金無垢目貫と並べた物が以下になる。

今回の目貫と金無垢目貫(右)

縁や側面部を見ると剥がれている所が随所に見られる。

目貫裏側の縁
目貫側面


・終わりに

細部まで見れば見るほど立体感の無い造り込みが見て取れる気がする。
こうした事が積み重なって直感的に「生気がない」と感じているのかもしれない。
感想としては、現代の居合用の目貫、こういった感想が現在感じている所でり、つまり目貫としての品位は低く感じている所。

ただこれが正解かは分からないので是非詳しい方にも意見を聞いてみたいです。
しかし引っ掛かるのは丸鏨など細部まで作り込めるのだろうか、という素朴な疑問。3Dプリンターや電鋳を使えば出来るのだろうか。
そうして作られた物かは分かりませんし、もしかしたら古い物かもしれず、また何か分かれば更新しようと思います。


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現代目貫として販売されている物も非常に精巧に見える物が多いですね。
詳細は以下よりご覧ください。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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