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七星剣に目釘孔が無い件について

先日七星剣の画像を見ていてふと目釘孔が無い事に気が付いた。

上古刀には茎に小さな目釘孔が開いているパターンと、茎下に大きな孔が開いているパターンがある事は把握していたが目釘孔が無いのは個人的に衝撃的であった。
以下は水龍剣で茎下に大きな孔が開いている。

(画像出典:Wiki水龍剣

七星剣になぜ目釘孔が無いのか?という疑問を解決したくツイートしたところ、七星剣の茎孔は朽ちて無くなったのではないか、という意見を頂いて一旦腑に落ちていたのですが、一方で以下のような意見も頂きました。

和包丁の柄を付ける際に茎部分を熱して柄に入れるというもの。
これでしっかり刀身が柄と固定されるようです。
この説を聞いて、七星剣以外に生ぶ茎で目釘孔の無い物があればその説もあり得そうと思い上古刀について少し興味が出てきました。
そこで先日フォロワーさんに上古刀の本のオススメとして「正倉院の刀剣」を教えて頂いたので早速購入。
今日届きました。


①上古刀の写真が多く掲載「正倉院の刀剣」

こちらの本まだパラパラ眺めた程度でしかありませんが、地鉄がはっきり見える綺麗な写真に加えて、別冊で押形まで付いていたり、顕微鏡で刀身を見た写真などが載っていて資料としてとても面白そうです。
七星剣(呉竹鞘杖刀)も載っています。(以下の写真は別の物)

地鉄の見える写真(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
押形も(但しここまではっきり刃文が描かれていないものも多い)
(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
顕微鏡写真も面白い(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)


②目釘孔の無い生茎らしき作が他にも沢山

そのような感じでパラパラ眺めていたところ、ありました。
目釘孔の無い生ぶ茎らしき作。
それも沢山。

特に以下のような短めの刀については目釘孔が必ずと言っていいほどありませんでした。茎尻の形状も似ている事から生ぶのように感じます。

(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)

一方で以下のような切刃造のような形の物にも目釘孔の無い物がありました。こちらもやはり茎尻の形状は同じ。

(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)
(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)

両刃造の剣はというと、こちらも目釘孔の無い物がありました。
両刃の場合、茎先が尖るのは良く見る形状です。

(画像:「正倉院の刀剣 発行:日本経済新聞社」より)


という事で、目釘孔の無い生茎の上古刀が七星剣の他にも沢山ありました。
和包丁のように茎を熱して柄に固定していたかは分かりませんが、目釘孔を使用しない何かしらの方法で固定されていた可能性は高そうです。


③改めて七星剣を見てみる

改めて七星剣の写真を見てみます。

(画像出典:Wiki七星剣

茎尻を見てみると少しごつごつしており、先に挙げた他の上古刀の写真のような綺麗な状態ではありません。
この事からやはり七星剣に限って言えば茎孔部が朽ちて無くなったように個人的には感じます。
…が、目釘孔の無い上古刀も沢山あることから、目釘孔を使用しない何かしらの方法で柄に固定したものがあることもまた事実と言えそう、というのが今回の着地点です。

どのような固定方法がされていたかは、紹介頂いたもう一つの本「正倉院の大刀外装」、こちらを読んでみれば少し何かしらの答えに近づけるかもしれません。
ただ今在庫ある所が無いので、暫く待ちになりそうです。


日本刀のルーツとも言える上古刀、今まではただの鉄の塊にしか見えていませんでしたが、今度美術館に行った際は少し興味を持って見る事が出来そうです。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。



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