後藤の金無垢目貫を買いました
昨日訪れたのは虎ノ門にお店を構える日本刀剣さん。
ネットで良さそうな目貫があったので実物を拝見しにお邪魔しました。
実物を見てみると画像で見るよりも二匹の獅子がとても活き活きしているように感じる。
後藤家の獅子には1匹獅子、2匹獅子、3匹獅子とがありますが、今回は2匹獅子の図です。
目を合わせながらじゃれ合っている姿が何ともかわいらしい反面、筋肉がしっかりついていそうな獅子からは眉毛の太さや手の踏ん張り具合も相まってか、勇ましさも感じられる気がします。
見ているうちに欲しい欲は高まりその場で購入を決断。
お迎えする事になりました。
サイズで言うとどちらも大体3㎝位。
しかしルーペで見てみると毛並みや歯など実に細かい所まで鏨で表現されている。
他にも目。直径0.5mm程度の中でもしっかり瞳孔が描かれており対象物を捉えているような目力を感じる。
手や足にも小さな丸型の文様が所々に入っている。
実に細かな作業の積み重ねが、遠目から見た時に二匹の獅子が活き活きと見える事に繋がっているのかもしれない。
・日刀保の極めと目貫の裏側など
この目貫には日刀保の鑑定書が付いており、日刀保の鑑定書では、
後藤(桃山)と極められていますが、個銘極めではありません。
桃山頃の後藤と言えば4代光乗、5代徳乗、6代栄乗あたりでしょうか。
上三代(初代祐乗、2代宗乗、3代乗真の事)の作であれば鑑定書は「古後藤」となるので、桃山時代と書かれているという事は4~6代あたりの作と鑑定されたと見て良いのかもしれません。
脇後藤や加賀後藤の場合は鑑定書にそのように書かれるので、鑑定としては本筋の作として極められているようです。
目貫は裏側に情報が詰まっているとの事で、裏を見てみます。
中心のでっぱり部(陽根)を見ると、上三代に見られる陰陽根(凸と丸筒型)ではなく、4つの力金が両方に見られます。
「刀装具御家彫名品集成 著:福士繁雄」を拝読すると、このように4つの力金があるものは主に6代栄乗以降の作に見られるとのこと。
因みに6代以降の作には足し金(切り金)といい、金を叩いて伸ばして縁が薄くなった箇所に金を足している工作をされている事があるらしい。
これがどういう物かまだ分からないので気づけていないだけかもしれないが、ひとまず縁を全て見てみた所そのような感じの箇所は見られない気がする。
これは今後も要勉強が必要。
という事で現在は御家彫集成と、後藤家十七代の本と睨めっこしながら各代の二匹獅子と比較して誰の作かを探っている。
首の傾げ具合や、手の開き角度、爪の具合など細かい所をひとつづつ見て行くと、不思議と今まで全て同じに思えていた物が実は少しづつ違う事にも気が付く。
ただ写真でしか見ていないわけなので、色の具合や横から見た際の高さなどは一切分からない。
こればかりは実物を拝見出来る際に見るしかないと思っているが、写真を見ながら誰の作かと比較している時間はとても楽しい。
知識の追求、これが物を買う楽しさなのかもしれない。
格式が高いと言われる後藤家の作。
格式の意味を理解出来るようこの作品を起点に勉強していきたい。
いずれにしても全体のバランスや表情などとても気に入っており、見ていてとても楽しくなる目貫。
尚、日本刀剣さんでは10/25から名刀展示即売会もあるらしいのでまたお伺いしてみる予定です。
虎ノ門ヒルズすぐ側でご飯が美味しいお店も立ち並んでいるのも良いですね^^
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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