私は刀剣商には絶対なりません。といううかなれません。
刀好きが高じて刀剣商を始める人は多いらしい。
で、殆どは失敗するらしい。
ということで周りの人から時々冗談交じりに「刀屋さんやったら?笑」と言われる事があるのですが絶対やりません。
というか私には絶対出来ません。
言わずもなが、趣味とプロの間にはとてつもない差があり、まして趣味の中でも初心者をギリギリ抜け出したような位置にいる人が安易な気持ちで手を出すことは自滅と同じ。
という事で素人が刀屋をやろうとした時に起こりそうな事を想像してみます。
①安いものを高く仕入れて安く売ってしまう
まず最も考えられる事がこれな気がします。
刀の相場観を把握するだけでも大変と思いますが、更に刀は偽物が溢れ、疵を隠したようなものも沢山あると言います。
値段に影響する致命的な疵から、あっても対して問題とされない疵まで様々あります。
そこを的確に捉えられないと安い物を高く仕入れてしまう事になりそう。
また同業者からのはめ込みも沢山あるでしょう。
なので高く仕入れて安く売る(赤字)が頻繁に発生すると予想します。
それを上手く搔い潜るのは至難の業なはず。
②刀を売る相手がいない
当然売るとなるとお客さんが必要になります。いなければ探すことになるのですが、普通に考えて初めたばかりの素人のお店で刀を買いたいと思う人はいないでしょう。
「なんで貴方の店から刀を買うのか?」という理由づくりが明確に出来れば可能性はありそうですが、私は出来る気がしません。
③仕入れ先がない
良い刀と出会う為にはコレクターから刀を買いとるか、市で仕入れないといけないですが、市には大抵もの凄く良い刀は滅多に出ないらしく、やはり良い刀はコレクターの下に納まっている事が多いらしい。
なのでそのコレクターと繋がる事が大事なのは想像に容易いですが、これはかなり難しい事間違いありません。
仮に繋がれたとしても、有名なコレクターは既に別の刀剣店とも繋がっているはずなのでそこに割って入るのは相当難しいはず。
そことの刀の取り合いになるわけですから。
④自分の好きな刀だけ扱うわけにはいかない
備前が好きだから備前刀だけ集めるとか、名品だけ集めるとか、変わったものだけ集める、古刀もしくは新刀だけ集めるとか…趣味だと出来た事が難しくなります。自分が欲しい物ではなく、お客さんが欲しそうな刀を選ぶことになりますが、自分が全く興味の無い刀を仕入れるというのはかなりの苦痛になりそうです。
興味がないので勉強しないので作風もイマイチ分からない。
すると鑑定書頼みになっていわゆる紙至上主義になってしまい純粋に刀を見る事が出来なくなってしまう…かもしれない。
⑤終わりに
他にも実際は沢山あるんでしょうが、やはり私は安全な池の中(プロが選定したものから)で自分が好きと思う刀を選ぶ方が性に合っています。
刀鑑賞はやはり趣味に留めておきたい。
今は刀を純粋に「好き」という視点で見れていますが、商売にすると純粋な目で刀を見る事が出来なくなりそうなので、私が今後刀剣商を目指す事は100%ありません。
私はあくまで刀の展示ケース製作を通して「刀とくらす」生活を提供する人になりたいです。
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
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