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粟田口に沸映りあり。

粟田口の刀は青い清涼な地鉄をしている。
私だけかもしれませんが、粟田口と聞くと「地鉄が美しい」という一種のおまじないのような先入観が頭にこべりついていて、恥ずかしながら粟田口にも映りがある事すら知りませんでした。
本を見ると粟田口は来と同様「沸映り」と紹介されています。
確かに以下の押形を見ると沸映りが見て取れます。

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(引用元:「五ヶ伝の旅 山城編 著:田野邊道宏」)

因みに以下も沸映りとの事。
以前拝見した事のある国吉も以下のような映りでその時は乱映りのような地斑映りのような、粟田口にもそんな映りが見えるとはと衝撃を受けたものです。(沸映りだったとは…難しいですね)

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と、こんな粟田口なのですが、手に取って拝見出来る機会はまずそうある事ではありません。
それはもう本当になく…。
お店に出ているのを見つけらたら超ラッキー(たぶん)。
そして例えば鑑賞会で運よく粟田口が出てきても映りの鮮明な粟田口とは限りません。
粟田口に対する個人的な先入観とその遭遇率の低さもあり、そんなこんなで映りの存在は3年経った最近初めて知ったのでした…。

そして…

・今日ふらっと訪れた帝国ホテルでまさかの遭遇!

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名札がありませんでしたが聞くと粟田口との事。
大摺上げされているので無銘で短くなっており、個銘までは極められていないそうです。
そしてなんと有難い事にこちらの刀を出して頂ける事に…!(※撮影&掲載許可を頂いています)

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見えますかね?!
赤い線を境に白いもやが。これが沸映りです。

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写真を変えて。

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上記が沸映りです。
「五ヶ伝の旅山城伝編(著:田野邊道宏)」と「合本版古刀新刀刀工作風事典(著:深江泰正)」を読む限り、粟田口の中で沸映りがあると表現されているのは以下の5刀工。

・久国
・吉光
・国吉
・国安
・国清

国友、有国、国綱、則国については映りがあるとは書かれておらず、真相は不明。いつか拝見出来る機会に恵まれれば映りについても良く見てみようと思います。


・終わりに

刀にはまってそれこそ1年目は粟田口を見ても面白みがないなぁなんて贅沢な事を思っていたのですが、最近では見れば見るほど味わい深くなっていくのが粟田口のようにも感じます。
こんな事書くとあーまた本の影響受けてる、みたいに思われるかもしれませんが。。
地鉄が詰んで、刃も沸づいて明るく冴える。
でもじっくり見ていると実は変化に富んでいて地鉄の詰んだものばかりではなく、実は肌立ったものもあったりする事が分かる。
今回のように沸映りの立ったものもあれば、立っていないものもある。
粟田口は難しいが綺麗だ。

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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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