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成木鐔㉓ 山吉兵写

今回鑑賞記録を残すのは山吉兵写の成木鐔。
横82.4㎜×縦85㎜×厚5.3㎜。

地鉄が常に見る成木鐔とは異なり、赤茶けている。
以下左の柳生鐔写しはよく見る成木鐔の艶のある少し白みのある黒色、右は今回の山吉兵写しである。赤茶けている様子が伝わるだろうか。

拡大して見ると、明らかに異質な地鉄が露わになっている部分が見られる。

肌触りも独特で全体的にカサカサしたような触り心地。
成木氏なりに山吉兵に近づけるような材質の研究などした結果だろうか。

銘については珍しく太字で一見悩まされる銘だが、全体的な書風は常に見る物と同様で、柔らかそうな鉄に打ったと考えると鏨を入れた際に太くなりがちなのは理解出来る。


因みに同手の鐔がヤフオクに過去出ていたようでこちらには箱書きもしっかりとある…。

(画像出典:Aucfan

…と思いきやよくよく画像を見てみると、銘から鍛肌の位置まで全く同じように見える。
箱書きをよく見ると表に「切支丹(キリシタン)紋鐔」「打返耳木瓜形」とあり、明らかに中身と箱が異なっている事が分かります。
こういう事、成木鐔ではたまにあります。
所有者が成木氏の鐔を複数枚持っていて混同してしまったりなどあるのかもしれません。
故にこの出品物と今回紹介した鐔は恐らく同一物と思われます。
但し私が買った際はこのオクの画像にある箱は付属していませんでした。
きっと中身が異なる事から外されたものと思われます。

銘については先に書いた通り常と異なる太字感があるものの、書風は同じで地鉄もオリジナル感がある事から成木鐔の正真物と個人的には考えています。
一応今後も研究課題として残しておきます。


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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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