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刀装具も減らすは難儀

おかしい。

減らすはずが増えている。
少し前に立てた今年の目標は新しく刀装具を1買うなら下取に2~3を出すはずであったが。
なぜか微増している。
おかしい。

散らかりすぎたコレクションを減らしてまとめるにはジャンルを絞るか、質を高めて厳選していくしかないはずだが。
ジャンルは現代の成木鐔、桃山期の埋忠や真鍮鐔、室町以前の山銅鐔に絞っているが当面はこれ以上絞れる気がしない。
因みに目貫は一旦ストップで良いかな、という気持になれたのは自分の事ながら自制が効いて有難い。
というよりも金銭的にも手が回らないと言った方が正しいか。

ジャンルがこれ以上絞れないとなるとこのジャンルの中で質の良い物にコレクションを厳選、昇華させていくという事になるが、いざやろうとしてもなかなかそんなに単純に事を進める事が出来ない。
ふとした時にこれらのジャンルから外れるが個人的にストライクな物に出くわしてしまう。

例えば以下の鐔などは世間的には安鐔で評価は低いが、猿が月を取ろうとしたところ水に落ちてしまう(欲を起こして前後をわきまえず無謀な行動をとって大失敗すること)という猿猴促月図をモチーフにしつつ、月を蛤にすり替えているなど一味面白みの効いた点が好ましかったり、出来の面でも猿のなんともいえない表情や絶妙な美しいバランスをした構図、毛まで彫り込んで丁寧に作られている点などが感じられ、そんなところが気に入っている鐔。

毛や筋肉など丁寧に表現されている

と、このような感じでコレクションにままこうした物が紛れ込んでくる。
多くの人からしたらこうした物は評価は低いが故に買う時も安いが売る時も安い。
手放すことを考えた際に、そこまで安くして手放すくらいなら手元に置いておこうか、という思考にはついなりがち。
これは1つ物を減らせない要因に間違いなくなっている。

こうした物よりも例えば以下の様に同ジャンル、同デザインのものの方が1番良い物を手元に残すなどして減らしやすいかもしれない。
が、これらも町彫のような華やかさが無くジャンルとしてはマニアックなので需要も少なく手放す時は安くなりがち。
ならば無理せず手放さなくて良いかとなるのは先の鐔と同じ。

更に更にこれとは別に成木鐔も質よりも資料性を優先してしまっている物があったりと減らすには越えなければならないハードルが結構ある。
成木鐔も…先の鐔と同じ。

という事で今年もあと少しですが年内に減らすのは無理そうです。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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