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第14回刀屋さん見学会レポ

先日14回目となる刀屋さん見学会を行いました。
刀屋さん見学会とは、刀をまだ手に取った事が無い人や、刀剣店に1人で入るのに抵抗がある初心者の方などを対象に、実際にお店で刀の鑑賞方法やマナーを教えて頂こう、という会です。

場所はいつもながら帝国ホテル内の霜剣堂さんです。
ロビーに綺麗な花が飾ってありますがその近くで参加者の方と待ち合わせお店に移動しました。


お店に到着。

店頭には備中守橘康廣の大小と、最上大業物に数えられている三善長道の作が展示されていました。

備中守橘康廣の大小は家紋がうっすらと浮かび上がる拵が上品ですね。
家紋の目貫が使用されていますが、刀の拵には紋3つ、脇差拵には紋2つ、というのがルールで決まっているそうですよ。(日刀保東京都支部での知識)
最上大業物に数えられている三善長道の作も。会津虎徹などと称されている刀工ですね。


①見学会スタート

今回はなんと虎徹からのスタートでした。
刀が完全に初めてという方の他に刀を手に取った事のある方もいらっしゃいましたが、初めての方に合わせて、姿や刃文、地鉄の鑑賞の仕方をお店の方から学びました。

経験者の方。流石に持ち方が美しいです…
刃文鑑賞の様子。部屋を暗くしてライトを当てると刃文が浮かび上がります。
地鉄鑑賞の様子。刀をこのように横向きで持つと地鉄が鑑賞しやすいです。


一通り所作を学んだ後は刀が代わる代わる出て来て様々な刀を鑑賞します。
これは大体いつもの見学会のスタイルなのですが、今回はなにやら3振目あたりから古名刀路線へ…。

おもむろに「中村さんどうぞ」と刀を渡され鑑賞させて頂く事に。

反りが深めで蛙子丁子のような刃文に乱れ映りが、区あたりには沸映りのような映りが鮮明に立っている。
もしや…と思いつつもまさか鎌倉期の古名刀が出て来るのか?と疑心暗鬼になる。
新刀を見た後ということもあり普通なら室町あたりの刀に行きそうだと刀に関係のない思考もよぎります。
しかし盛光や康光であれば棒映りになるだろうし、何より刃文の形や匂口の深さ、地鉄の色などが異なるように感じる。
「もしかして…長光ですか?」と伝えると、「そう」との事。
ぎゃあっ…!となった瞬間でした。

驚く瞬間はこれで最後かと思ったのですが、この後も名刀が次々と出て来て今回は刀屋さん見学会というより名刀鑑賞会になっていたような…。
という事で載せられる範囲の物を一部紹介です。


②鑑賞刀紹介(一部)

・堀川國安

片切刃は撮影が難しくあまり上手く撮れませんでした…
銘の保存状態がとても良い

個人的に心躍った作。片切刃で肌立った地鉄に彫が入る。
常に見るような堀川物よりも肌立ち具合は強い印象だが、そこがかえって魅力に感じどことなく惹きつけられる作。
國安の作は非常に少なく、茎の状態もとても良い。
國安は重文にもとても美しい片切刃の作が現存していますが、姿も良く品がありますね。
なんと見学会の日、開催ちょっと前に売れたとの事。残念。
有名な国広コレクターI寅さんの所蔵品だったようで。
刀を買う時は日をあけて3回見て欲しいと感じたら買うというマイルールを設定しているのですが、こうした刀は大体3回目までもたず売れてしまいますね。
縁というのも難しいです。
本当に欲しく後悔してもしきれなさそうな場合は1回目で決める度胸が大事という事はここ2年程で学んだことだったりします。

・相州行光

刃中の働きが盛んで、さきほどの國安と比較するとこちらは地鉄の奥の方に杢目や板目肌が見えます。
地鉄にも潤いのある作でこうした刀もまた鑑賞する度にじわじわ良さが出てくるのだろうなと妄想。


という事で2振り紹介してみましたが、他にも普段鑑賞会でもなかなか手に取れないような山城物の古名刀など様々な刀を見せて頂きました。
私個人としても普通に楽しくあっという間で感謝感謝です。

私はいつも通り家の事情で途中退席したのですが、皆さん結局閉店間際まで6時間近く様々な刀を手に取り楽しまれていたようで私としても嬉しく思います。
見学会は毎回2時間としているのですがお店の方のご厚意で参加者の方が満足するまで良いですよと言って下さり…有難い限りです。


刀屋さん見学会はまた行いますので、興味ある方は是非次回ご参加頂き刀の魅力を間近で味わわれてみて下さい!
開催の際は私のXにて告知予定です。


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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