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愛刀調査⑤ 所持銘の佐々木八郎についての手がかりをchat gpt o1で探る

④はこちら


さてこの行光短刀について、以前X線を撮影して所持銘が残っている事が確認できたので、ここに書かれた佐々木八郎という人物について調査を進めていたのですが難航しており調査が停滞していました。

茎のX線写真 表
茎のX線写真 裏


最近chat gpt o1がリリースされ、回答を出す前にgpt内部で数秒~数十秒ほどの思考タイムが発生し、複数の思考ステップを踏むことでより正確な回答を導き出せるようになったようです。
他にも以前と異なる戦略を試したり自らの間違いを認識したりする事でアウトプットの質も上がっているようです。

今まで使っていたchatgpt4oと比較すると以下のグラフの通り飛躍的に伸びており、科学、コーディング、数学など複雑な思考を要する分野で特に優れたパフォーマンスを発揮するとしています。

画像出典:OpenAI


今回はこのchat gpt o1モデルを利用して、いきずまった愛刀の伝来調査のヒントを得たいと考えています。
結論から言えば、調査すべき実在している資料(江戸時代の物も含めて)をいくつか提案してもらう事に成功したので、これを中心に調べていく作業が出来そうです。

長くなるのでChat gptの回答のスクショを貼るのは大変かつ、海外読者の方が翻訳を掛けられないのでそのままコピペしています。また回答の太字箇所も私ではなくchatgptが太字にしています。ご了承下さい。

※因みにChatgptの内容が全て史実に基づき正しいと考えるのは早計です。
間違いが含まれていることも考慮して読んで頂ければと思います。




①中村→chatgptへの質問

刀の茎に「佐々木八郎所持」と刻まれた刀があります。 ここでいう佐々木八郎とはどのような時代のどんな人物と推定できるでしょうか?

①に対するChat gptの回答

「佐々木八郎所持」と刻まれた刀における「佐々木八郎」という人物については、残念ながら有名な武将・著名人として一意に特定できるほどのはっきりした史料が残っているわけではないと考えられます。以下の点から、推定できる可能性をいくつか挙げてみますが、あくまで一般的な推察にとどまることをご承知おきください。


1. 「佐々木」姓とその背景

  • 佐々木氏は古くから近江国(現在の滋賀県)を中心に勢力を持っていた武家の一族で、鎌倉時代以降、様々な分派(六角氏、京極氏など)を輩出しています。

  • 戦国~安土桃山・江戸時代にかけても、全国各地に佐々木姓を名乗る武士が散在しており、一口に「佐々木」といっても広範囲に渡ります。

2. 「八郎」という通称について

  • 江戸時代以前、武家の男子には「太郎」「次郎」「三郎」…といった通称(幼名・通称)がよく使われました。「八郎」はその第八子、または幼名・通称としての一例と考えられます。

  • 個人を同定するには、本名(諱)や家督を継いだ後の名乗り(官途名・受領名など)との対応が必要ですが、「八郎」だけでは特定が難しいのが実情です。

3. 刀に「所持銘」を入れる時代背景

  • 刀の茎(なかご)に「所持(所持主)」「蔵人」「之持」などを刻む慣習は、とくに江戸時代以降に見られることが多いです。

  • 戦国期・安土桃山期などに実戦刀として使われていた頃は、刀工銘はあっても所持者名を残すことは比較的少なめでした(もちろん例外はあります)。

  • 江戸時代に入り、平和な時代が長く続くと、刀剣が「武士の嗜み」やステータスの一部として位置づけられるようになり、所持銘を入れる例も増えていったと考えられます。

4. どの時代の人物と推定されるか

  • 上記の経緯から、刀の茎に「所持主」として刻む形が残っている場合、その多くは江戸時代以降の武家関係者である可能性が高いです。

  • もちろん、江戸初期~中期~後期と時代は長いので、一概に「何代将軍の頃」と断定することは困難です。

5. 史料や家系図との突合せ

  • もし「佐々木八郎」の具体的な出自を調べるのであれば、**刀剣の年代測定(刀工銘・作風・茎の形状などから製作年代を推定)**や、刀の来歴(傳来/由緒)の記録を照らし合わせることが重要です。

  • さらに、その刀が伝わってきた家や地域の古文書、家系図、寺社に残る過去帳などを調査することで、「八郎」と名乗っていた人物と結びつく記録が見つかる場合があります。


まとめ

  • 「佐々木八郎」単独の名からでは、特定の戦国武将や江戸期の著名人を直接想定することは難しいです。

  • 刀の茎に持ち主名を刻むのは、主に江戸時代(特に中~後期)に広まったとされるため、**江戸時代のいずれかの時期に佐々木姓を名乗っていた武家の「八郎」**が有力な推定になります。

  • さらに深く調べたい場合は、刀そのものの製作年代、銘、外装(拵)、あるいは来歴に関する記録との突合せが鍵となります。

以上のように、一般論としては江戸時代の武家の所持者名である可能性が高いですが、詳細を絞り込むにはさらなる一次史料・家系図や刀剣の属性との比較検証が不可欠です。


②中村→chatgptへ追加情報提供

「更に深く調べたい場合は刀そのものの製作年代、銘、外装(拵)、あるいは来歴に関する記録との突合せが鍵となります。」と合ったので、もう少し刀の情報を伝えてみる事にしました。

中村→chatgptへ追加情報提供
その短刀には「行光」と銘があり、鎌倉時代の相州伝の短刀と思われます。 金無垢台付二重鎺には徳川の家紋が入っています。


②に対するchat gptの回答

短刀に「行光(ゆきみつ)」銘があり、さらに金無垢台付二重鎺(はばき)には徳川の家紋が入っているという点から、

  1. 刀工「行光」について

    • 一般的に「行光」の銘をもつ刀工は複数存在しますが、鎌倉時代の相州伝(相州鍛冶)で著名なのは「正宗(まさむね)」の流れをくむ一派や「新藤五国光(しんとうごくにみつ)」周辺の刀工たちです。

    • 鎌倉時代後期~南北朝時代頃の相州鍛冶(重行・行光・貞宗など)には、優れた短刀を残した例が多く、美術的価値も高いとされます。

  2. 拵や鎺に徳川家の家紋が入っている理由

    • 鎌倉時代作の短刀であっても、時代を経るうちに所有者が変遷していく中で、江戸時代に徳川家(将軍家・御三家・御三卿)や徳川家に近い高家などが所持した可能性が高いです。

    • 徳川家の家紋(葵紋など)が入った金無垢の鎺は、高位の武家や、将軍家から拝領した刀に付けられた格式の高い拵(こしらえ)の一部であることを示唆します。

  3. 「佐々木八郎所持」の刻銘について

    • 「佐々木八郎」という人物が具体的に誰であるかは、現存する記録・系譜だけでは特定が難しい場合がほとんどです。

    • 佐々木氏(近江源氏の流れなど)は分流が数多く、室町時代~戦国時代~江戸時代を通じて全国に広まっており、江戸期には幕府や諸藩に仕えていた家も多く存在しました。

    • 江戸時代には、拝領刀や購入した名刀に「◯◯所持」「◯◯蔵」といった形で銘を刻むことが見られ、武家の嗜みやステータスの表明として刻銘を入れたと考えられます。

  4. 「佐々木八郎」はどの時代のどんな人物か?

    • 前述のとおり、刀の銘や刻まれた所持者名からだけでは、有名武将や特定の歴史上の人物に結びつけるのは非常に難しいです。

    • ただし、金無垢鎺+徳川家紋入りという高級仕様の短刀を持つからには、それなりに家格の高い武士、あるいは徳川家との縁が深い家臣であった可能性が高いと推測できます。

    • また、刀の刻銘「行光」が示す鎌倉時代の作刀に対し、拵や刻銘(「佐々木八郎所持」)は江戸期に整えられたものであることが多いため、「佐々木八郎」も江戸時代の武家であった可能性が最も高いでしょう。

  5. 調査を進めるうえでのヒント

    • 刀剣の「伝来書」や「押形(おしがた)」などの史料に「佐々木八郎」の名や所蔵の履歴が残されていないかを確認する。

    • 佐々木家の家系図や藩政資料(もし特定の藩に仕えていたことが分かれば、その藩の藩史・家臣団名簿など)を調べる。

    • 刀剣登録証や古い鑑定書に、過去の所持者や由緒が書き添えられている場合がある。


まとめ

  • 鎌倉時代の相州鍛冶「行光」作とされる短刀であり、さらに金無垢台付二重鎺に徳川家の家紋が入っていることから、江戸時代には相当に格式の高い武家が所持していたとみられます。

  • 「佐々木八郎所持」の銘は、おそらく江戸期における所持者の名入れと考えるのが自然です。

  • 具体的に「佐々木八郎」がどのような人物だったかは、刀そのものの由来や家系図・古文書などの一次資料調査が必須ですが、徳川家周辺ないし有力諸藩に仕えた佐々木家の一員であった可能性が高いでしょう。

以上のように、刀そのものは鎌倉期の名工による作刀で、徳川家筋に関わる高家や家臣、あるいは縁故の深い家の人物が江戸期に所持・拵を整えたと推定されます。その中で「佐々木八郎」という武士が名刀の持ち主だった…という流れがもっとも plausible(蓋然性が高い)と思われます。


③中村→chatgptへ追加質問

補足説明を与える事で推論に少し精度が上がったようにも思えます。
調査を進める上でのヒント3つはどれも的を得たものである事に驚きます。
最初の押形については色々と調べていますがありません。
刀剣登録証や古い登録証に情報記載の可能性というのは現時点で情報有りません。
という事で、「佐々木家の家系図や藩政資料(もし特定の藩に仕えていたことが分かれば、その藩の藩史・家臣団名簿など)を調べる。」に何かヒントを得られそうです。
そこで以下を聞いてみました。

中村→chatgptへ追加質問
佐々木家の家系図や藩政資料について現存している良い資料があれば教えてください。

③に対するchat gptの回答

佐々木氏はもともと近江源氏の棟梁として知られるほど、非常に大きな分流・分家を輩出してきた一族です。そのため「佐々木家系図」とひと口に言っても数多くの系譜が存在し、藩政資料においてもさまざまな藩に仕えていた佐々木氏が見られます。特定の「佐々木八郎」を探すには、系譜資料・藩政資料を総合的に当たっていく必要がありますが、下記のような代表的な史料群・系譜集・アーカイブを調べてみると手がかりが得られる可能性があります。


1. 江戸幕府公式編纂の諸家譜・家系図

(1) 『寛政重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)』

  • 江戸幕府が**寛政年間(18世紀後半〜19世紀初頭)**に編纂した、主に旗本・御家人や譜代大名を中心とした家譜(系譜)集です。

  • 佐々木姓の家は複数掲載されており、「佐々木氏 ○○家」「佐々木氏 △△家」といった形で、家祖や家系、役職などがまとめられています。

  • 国立公文書館や各大学図書館などで閲覧が可能です。また、一部はデジタルアーカイブとして公開されています。

(2) 『寛永諸家系図伝(かんえいしょかけいずでん)』

  • 『寛政重修諸家譜』より古い、**寛永年間(17世紀前半)**に江戸幕府が編纂した諸家の系図集です。

  • こちらにも佐々木姓の諸家が掲載されている場合がありますが、掲載範囲や家数は『寛政重修諸家譜』ほど多くありません。


2. 武家家伝・系図集

(1) 『続群書類従(しょくぐんしょるいじゅう)』

  • 室町時代から江戸時代にかけての公家や武家の古文書・系図などを集成した大規模な叢書です。

  • 「近江源氏佐々木氏系図」など、佐々木一族に関連する複数の系譜が収録されている可能性があります。

  • 大学図書館などで所蔵されていますが、一部は国会図書館デジタルコレクション等でも閲覧できます。

(2) 『姓氏家系大辞典』(太田亮 編)

  • 昭和初期に編纂された大部の姓氏・家系辞典です。佐々木氏に関する記述も比較的充実しており、どのような分家・流派があるかなどを俯瞰できます。

  • ただし網羅的ではあるものの、個々の情報については古文献に基づく部分と伝承的記述が混在しているため、裏付けが必要です。


3. 藩政資料(各藩の家臣録・史料)

佐々木家がもし特定の藩に仕えていた場合、その藩の**「家臣録」や「藩政史料」**に名前が残っている可能性があります。代表的に下記の調査先が考えられます。

  1. 各都道府県の公文書館・県立図書館

    • たとえば佐々木一族の本拠地である近江(滋賀県)ゆかりの家の場合、滋賀県立公文書館滋賀県立図書館が所蔵する古文書・家系図・藩政資料(甲賀藩、高島藩など)を調べると手掛かりが得られることがあります。

    • 他県でも、藩政期に佐々木家が移封や転仕をしていれば、その先の藩の資料を当たる必要があります。

  2. 藩主家や旧士族の私文書

    • 各藩の藩主家が現在も所蔵している私文書や、旧士族・旧家の文書に「家臣系図」や「御家人系譜」「留守居文書」などが残っているケースがあります。

    • 地方自治体や大学の史料館に寄贈・寄託されている場合もあります。

  3. 『藩史文献』シリーズ

    • 藩ごとに編纂された『○○藩史』『○○藩士名鑑』のような郷土史研究書も数多く出版されています。佐々木姓が該当藩に仕えていたかどうかを調べる糸口となります。


4. 古刀剣に関する由緒書・押形集

  • 刀剣に関する由緒や押形、所有者の変遷が掲載される専門書として、以下のようなものがあります。

  • 『日本刀大百科事典』(福永酔剣 著)

  • 『刀工総覧』(大河内信秋 著)

  • 『日本刀銘鑑』(東京国立博物館 編)

  • これらは刀工銘や来歴に重点が置かれますが、名刀の所持者として歴代の持ち主が記録されている場合もあり、その中で「佐々木八郎」の名前に言及があるかもしれません。


5. 調査を進める際の具体的な手順

  1. 刀剣登録証・鑑定書の付属資料の確認

    • もしその短刀に登録証や古い鑑定書、もしくは家伝・由緒書などが付いている場合、まずはそこから過去の所有者についての記述がないかを再確認する。

  2. 年代・地理的手がかりの絞り込み

    • 「佐々木八郎」の刻銘がいつ頃入れられたか、拵(こしらえ)が作られた時期など、刀剣の専門家の見立てや拵の考証をもとに、江戸時代のどの頃かをある程度推定する。

    • 徳川家葵紋の入った鎺がどの藩や家格にどの程度授与されたものかを調べることで、持ち主の可能性を絞り込む。

  3. 『寛政重修諸家譜』などで「佐々木」姓を網羅的に当たる

    • 江戸時代に旗本・御家人として幕臣になった佐々木家が何家あったのか、それぞれの家で「八郎」の通称を持った人物がいないかを探す。

    • 大名家であれば、系譜に「佐々木八郎」の通称が記載されているか調べる。

  4. 藩史・家臣録の照合

    • もし旗本・御家人ではなく諸藩士であれば、その藩の家臣録を確認し、「佐々木」姓の人物に「八郎」の名乗りがあるかどうかを調べる。


まとめ

  • 「佐々木八郎」はあまりにも一般的な通称(武家の幼名や通称としてよくある「◯郎」)であり、一族が全国各地に存在する佐々木家の中のどの流れなのかを一義的に特定することは困難です。

  • しかし、鎌倉期の名刀(行光銘)に、江戸期に付けられた高級な拵・徳川葵紋入り鎺があり、なおかつ「佐々木八郎所持」とあるという点から、何らかの格式ある身分の武士であった蓋然性が高いでしょう。

  • 実際に特定したいのであれば、まずは**『寛政重修諸家譜』や『寛永諸家系図伝』などの幕府編纂諸家譜や、各藩の家臣録などを丹念に調べ**、該当人物と刀剣来歴が一致するかを突き合わせていくのが王道となります。

これらの史料は国立公文書館、大学図書館、都道府県立図書館、あるいは公文書館などで所蔵・閲覧できる場合が多いので、一度そちらをあたってみるとよいでしょう。もし専門家に依頼する場合は、刀剣研究家や郷土史研究者、あるいは各地の地方史編さん室などに相談すると、より具体的な調査が可能になります。


④終わりに

chatgptのお陰で次に繋がりそうなヒントが得られました。
以下の資料について当たってみようと思います。
明確な答えが得られなくても、そこで得た情報から推論してもらう事で何か分かる事もあるかもしれません。

(1) 『寛政重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)』
(2) 『寛永諸家系図伝(かんえいしょかけいずでん)』
(3) 『続群書類従(しょくぐんしょるいじゅう)』
(4) 『姓氏家系大辞典』(太田亮 編)


それにしても提示された資料の説明内で『網羅的ではあるものの、個々の情報については古文献に基づく部分と伝承的記述が混在しているため、裏付けが必要です。』などの注意文まで出るようになっている事に驚きました。

もう既に世の中の殆どの人間よりも頭の良いAI。
シンギュラリティは既に起こっている気がしますが、これを利用する事で様々な調査が楽になっていく可能性や、推論が出来るようになったことで歴史の新発見や新薬の開発などが一気に進むかもしれません。
面白そうな未来がもうすぐそこまで来ていますね。
その時人間は何をしているのでしょうか。
仕事、つまりお金稼ぎは全てAIに任せて人間は膨大な時間の消費方法に悩まされる時代が来るのかもしれません。
その時に好きな事を見つけて楽しむ技術、というのがこの先大事になってくるのではないでしょうか。


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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