名品はぱっと払う決断のする人の元へ
買いたい品があって冷静になる為に数日間を置いたが故に売約となるケースというのは私の場合でもこの1年間でも2回程あったので、こういった事は恐らく他の方も日常茶飯事で起きていることだろう。
逃したその時は何故あの時!!!と後悔の念が凄く1週間位引きづったりする事もあるが、当然の事ながら手元には買う予定だったお金は残るわけで気持ちを切り替えて別の品を探したり、買うのをやめてお金を別に回したりする。
最近はコロナの関係もあるのか品が動き出したというのをネットの書き込みで見たり、円安の影響で海外の方が買い漁っているという噂も聞く。
そんな中で元々興味は無かったジャンルで名品を紹介頂いて、見ているうちに何となく興味が出てきた場合、それを買うべきかどうかという問題に個人的に凄く悩まされる。
今興味が無くても後々興味が出てくることというのはこの4年間でも経験済みである。何よりその興味が無い分野が開拓される事で更に面白くなることもある。
例えば刀で言えば最初は新刀が好みで古刀に興味は無かったが、1~2年程で好みが逆になった。古刀でも最初は相州伝に興味があったが、次第に備前伝や山城伝にも興味が出てきた。
先の話で言えばこんな状況下で例えば特に興味の無かった美濃伝の名品が出てきて値段的も買える場合、それを買うかどうかという話。
名品を買えるタイミングはやはりそう多くは無いだろうし、このタイミングを逃せばもう手に入らないかもしれないと思ってしまう事もしばしば。
それで焦っているうちに段々と脳内が買うモードになっていく事があるが、最近は少し考え方を改めた。
確かに今は名品が動き出しているタイミングなのかもしれない。
しかしこれから数十年先また同じように動くタイミングは必ず来る。
また、名品は名品でも更にその上の超名品は存在するし、名品だからという括りで物を判断してしまうとそれよりも上の名品の存在を知った時にそちらが欲しくなるなど、キリがない気もする。
何より超名品などはもっと別のお得意様との間で取引が進むだろう。
そう考えると「今このタイミングで焦る必要はない」という思考になってくる。
次にお金の話であるが、仮に今1000万円で何かを買おうとしているなら、その1000万円を投資に回して30年毎年3%で回せば30年後には2300万位まで増えている。
これがもし毎年5%で回せれば30年後には4100万円位になっている。
そう考えると20代での1000万円と60代での1000万円は同じ価値ではない。
時間を味方に付けると価値の上がる1000万円を今目の前の品に払うべきなのか。
しかししかし。
20代で名品を手元に置いて鑑賞し続けるのと、60代で名品を手元に置いて鑑賞するのとでもまたその後の感性の伸びしろという点ではかなり違うはず。
うーん…やはり悩ましい。
まぁこんな事で悩んでいるようでは名品を持つ資格がないのだろう。
そんな事で悩まずお金をぱっと払う決断のする人の元へ、つまり名品を持つにふさわしい他の誰かの元にささっと納まるのだ。
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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